相続登記の義務化で変わる事とその背景についてお話ししていこうか!
そもそも相続登記って何?
相続登記は、亡くなった方から相続した不動産の名義を
相続した方の名義に変更することを指します。
相続登記は所有権が相続者に移ったことを証明する為にあります。
それを取得する事によって、不動産の所有権利を得られ
売買を行う際や賃貸として運用していく際に役立ちます。
相続登記の二つの形
相続登記には「単独登記」と「共有登記」と言う二つの形があります。
その二つの違いは以下の通りです。
単独登記
単独登記とは不動産の相続人が1人の場合に適応されます。
相続後の不動産の売買や活用の権利は、単独登記した相続人のみが保有します。
共有登記
共有登記とは不動産の相続人が2人以上の場合に適応されます。
その際、誰がどの割合で所有しているのかを明記する必要があります。
相続後の不動産の売買や活用の権利もそれぞれが保有するため、
売買や活用を行う際には全員の合意が必要になります。
どうして相続登記が義務化されるの?
相続登記自体は以前からありましたが、それが義務化される事には理由があります。
ここからは、相続登記の義務化がされるに至った背景について触れていきましょう。
所有者不明の不動産たち
相続登記の義務化が行われる背景の一つとして挙げられるのが
所有者不明の不動産の数が多く、
その過半数以上が相続登記が行われていない事に起因していると言うことです。
平成28年に国土交通省が発表した
「所有者不明土地の実態把握の状況について」という資料によると
日本中の所有者不明の不動産の割合は20.1%にも昇り
その内66.7%が相続登記が行われていないが故に不明であるとの事でした。
この問題を解決するために今回の相続登記の義務化があると言っても良いですね。
近隣の住民への被害も
所有者が不明な為に放置されている住宅や土地が沢山あります。
それらはきちんと管理が行われていないために、
周辺の住宅が倒壊や害虫の危険に晒されています。
また付随した問題として、独断で取り壊す事もできませんし、
活用するにも所有者が分からないので売買の取引もできず、
放置された不動産の問題が長期化していることも挙げられます。
これら全ては所有者が分かれば解決する問題ですので、
相続登記の義務化に至りました。
相続登記の義務化で何が変わるの?
相続登記はこれまで義務ではありませんでした。
しかしながら、2024年(令和6年)の4月1日から相続登記が義務化します。
2024年は、働き方改革の影響(通称2024年問題)や
タワーマンションの節税改正も始まりますので変化の年とも言えますね。
そこでここからは、相続登記の義務化によって
どのような変化があるのかという点についてお話ししていきましょう。
相続から3年以内に登録すること
これまでは相続してから相続登記を登録するまでの期間は定められていませんでした。
しかしながら、相続登記の義務化によって
相続したことが発覚した日から3年以内に登録することが義務になりました。
ただし、以前と変わらない点として相続したことが発覚した日から3ヶ月以内であれば
相続放棄を行う事は可能であるということです。。
既に相続した不動産にも適応される
相続登記の義務化は施行前に相続した不動産にも適応されます。
その際の登録期間は、以下の二つから決められます。
- 相続を知った日から3年以内
- 相続登記の義務化施行から3年以内
これら二つを比べて、最も遅い日が開始日です。
過料が導入される
正当な理由なく相続登記の登録期間を過ぎてしまった場合は、
10万円以下の過料が課されます。
過料は国や自治体など行政から課される罰ですので、前科が付くものではありませんが
支払いを怠った場合は差し押さえされてしまうことも避けれません。
過料を支払っても相続登記の義務が無くなるわけではありませんので注意しましょう。
登録期間を過ぎてしまっても正当な理由として認められる例は以下の通りです。
①数次相続が発生して相続人が極めて多数であることにより,戸籍謄本等の必要な資料の収集や他の相続人の把握に時間を要するとき
②遺言の有効性が争われる訴訟が係属しているとき
③登記申請義務者に重病等の事情があったとき
④登記簿は存在しているものの,公図が現況と異なるため現地をおよそ確認することができないとき
遺産分割が間に合わない際には代理で相続人申告を行う
遺書や遺言状などを残さずに亡くなられた場合
残された財産は相続人全員が共有で所有し、話し合いなどで割り当てます。
これを遺産分割というのですが、
その場合でも3年以内に相続登記を行わないと過料がかかってしまいます。
それを避けるためには、相続人のどなたかが相続人申告登記というものを行います。
遺産分割でその不動産を受け継ぐ相続人が決まったら、
その日から3年以内に相続登記を行うことで過料の発生を実質延長することができます。
2026年からは所有不動産登録証明制度が利用可能
相続登記の義務化に伴って、
所有不動産登録証明制度というものが2026年の4月頃から利用可能になります。
所有不動産登録証明制度が始まると、ご自身や被相続人(亡くなった方)が所有している
全ての不動産の情報が載った証明書が発行できるようになります。
これによって、被相続人が所有していた不動産が把握できる為
相続登記の登録漏れや知らないうちに過料が請求される状況を防ぐことに繋がります。
相続登記の流れについて知りたい!
今まで義務で無かった分、
どのような流れで相続登記を行えば良いのか分からない方も多いと思います。
義務化が施行されることを考えれば、多くの方にとって無関係だとは言い難いでしょう。
そこでここからは、相続登記の流れについて簡単に説明していきましょう。
被相続人が所有している不動産を把握する
初めに行うのは、被相続人が所有している不動産を把握することです。
遺言などがあっても、過料を避けるためには怠らない方が良いでしょう。
被相続人の登記簿が自宅にあるのであれば、そちらでも確認できますし
法務局にオンラインで取り寄せすることも可能です。
2026年4月以降であれば、所有不動産登録証明制度を申請するのも良いでしょう。
誰がどの不動産を相続するのか確認する
次に、誰がどの不動産をどの持分で相続するのかを確認します。
遺言がある場合にはそれに従えば良いですが、ない場合には遺産分割を行います。
不動産の遺産分割を行う際には長期化が避けられませんので
やはり過料の発生を防ぐためにも相続人申請登記を行うことがおすすめです。
全ての相続人の合意が得られたら、財産分割協議書を作成し
自身が相続する為の準備を始めましょう。
必要書類を集める・登録免許税の計算
自身が相続するための準備として、必要書類を集めましょう。
ここに時間がかかってしまうケースが多いので、早めに行動に移しましょう。
相続登記に必要な書類は以下の通りです。
- 登記申請書(法務省のページでダウンロードできます)
- 登記簿謄本
- 固定資産評価証明書
- 遺言状・財産分割協議書
- 被相続人の出生時から死亡時までの全ての戸籍(特に時間がかかるので早めに)
- 被相続人の除標(死亡によって除された住民票)
- 相続人の戸籍・住民票(複数人の場合全て)
- 相続人の印鑑証明
また、相続登記を行う際に登録免許税というものがかかりますのでそれを計算します。
相続の場合、登録免許税の税率は1000分の4ですので
不動産の固定資産税評価額×0.4%で求めましょう。
その際、100円未満は切り捨てます。
法務局に申請する
最後に、必要書類を全て持って法務局へ向かいます。
申請の際に登録免許税の納付も行う必要がありますので、
法務局に行ったらまずは登録免許税分の収入印紙を購入しておきましょう。
それから、窓口で申請を行えばスムーズです。
基本的には2週間ほどで相続登記が受理されます。
まとめ
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