「タワマンの節税改正」で節税効果がなくなる理由とこれからの対策
についてお話ししていこうね!
タワーマンションが節税対策に有効だった理由
タワマンの節税効果がなくなってしまう理由についてスムーズにお話しする為に
まずはこれまでタワマンが節税対策に有効だと言われていた
二つの理由についてお話ししましょう。
既にご存知の方は次の章からお読み頂いても不足はございません。
元々は相続税対策に有効だった
タワーマンションが節税対策に有効だと言われていたのは、主に相続税対策の面です。
亡くなられた方から相続を受ける場合、相続税評価額が算出されます。
その相続税評価額に対応して相続税が決まりますが、
金額(購入額)が同じでも相続する財産によって評価額が変化します。
そんな中で注目されたのが、タワーマンションの購入です。
現金で相続するよりも、タワーマンションを購入して相続することで
相続税評価額を下げることができる為、相続税対策に有効だったのです。
固定資産税の対策にもなる
基本的に固定資産税は以下の様に計算されます。
「固定資産税評価額(土地・建物の時価の約70%)」×1.4%
しかしながら、小規模住宅用地の特例というものがあり、
面積が200㎡以下の住宅用地は固定資産税が6分の1に軽減されます。
マンションの固定資産税を算出する際には、
マンション敷地をお部屋の数(戸数)で割る為
部屋数の多いタワーマンションはほぼ確定で小規模住宅用地の特例が適応されます。
つまり、固定資産税の対策になる事もメリットとして挙げられます。
タワマンの節税改正が行われる理由
これまでタワーマンションは、不動産投資の中でも群を抜いて
相続税対策と固定資産税対策に有効だと言われてきました。
しかしながら、国税庁の意向から見るに
2024年までにはタワマンの節税改正が適応されると言っても良いでしょう。
ここからは、タワマンの節税改正が行われる理由についてお話ししていきましょう。
相続税の評価方法が過剰
相続税を評価する際、住宅と土地を分けて計算するのですが
その両方で得られるメリットが過剰だと指摘されています。
住宅の相続税
ご存知の通り、タワーマンションは上層階に行けば行くほどお部屋の購入金額が上がります。
しかし、相続評価額を算出するのに原則購入金額は考慮されず、
建物全体に対してお部屋の比率がどれくらいなのかと言う点が考慮されていたのです。
仮に上層階の高額なお部屋とそれ以外のお部屋の
購入金額に2000万円の差があったとしても相続税は同じと言うことになります。
土地の相続税
土地の相続税を計算する際にはタワマンに関わらず、
マンションの土地をそれぞれのお部屋の面積で分配します。
タワーマンションは戸数が多い為、
マンションの中でも土地の評価額を大幅に抑えることができます。
これらのメリットが税金の抜け穴だと指摘され
公平な評価ではないとして見直しが検討されています。
市場価格と相続税評価額に3.2倍もの差が!?
上記のメリットはあらゆる不動産において受けることができます。
しかし、その中でも特にタワーマンションはそれらのメリットによって
購入金額と評価額の差(乖離率と言う)が大きくなってしまっていると言えます。
この問題を受けて、国税庁はこれまで個別で対応し課税処分を行ってきました。
国税庁によると市場価格と相続税評価額の差は以下の通りです。
最も乖離率が大きいのは東京都で3.2倍、次いで福岡県で2.36倍、広島県で2.34倍と
これら三つを平均して2.6倍もの差があることがわかります。
この差を埋める為に、適切な改正が検討されています。
具体的にどの様なことが変わるのか
タワマンの節税改正が検討されている理由についてお話ししてきましたね。
ここからは、具体的にどの様なことが変わるのかという点についてお話ししましょう。
乖離率を埋める制度が加わる
タワマンが相続税を大幅に節税することができる事が乖離率を高めている為、
その差を埋める制度が加わる事が予想されます。
具体的には、今まで評価額が市場価格の60%以下だったタワマンは
60%まで引き上げ、乖離率を1.67倍までに抑える事が検討されています。
制度が加わると評価額はどれほど変わるの?
国税庁が発表した乖離率資料から東京の物件を使用して、
上記の算出制度が加わると評価額がどれほど変わるのかシュミレーションしてみましょう。
その際、乖離率が1.67倍以上のケースには
評価額に乖離率と60%をかける事で算出する事ができます。
東京都の物件シュミレーション
市場価格:11,1900万円(1億1900万円)
評価額:3,720万円
乖離率:3.2倍
3,720万円×3.2×60%=7,142万円
今までは、市場価格が1億1900万円でも相続税評価額は3,720万円でしたが
節税改正によって評価額は7,142万円になります。
相続人数によっても異なりますが、
様々な人々にとって相続税が数十万から数百万円跳ね上がる事が予想できます。
これはつまり、タワマンが相続税対策に有効ではなくなると言う事です。
既にタワマンを保有している方の相続税対策について
乖離率を抑える為に制定されようとしている制度は、
もはや相続税対策にタワマンを購入する意味がないことを意味しています。
そうとは言えども、プラスアルファの相続税対策が
既にタワーマンションを保有している方にとって最も重要なことになりました。
そこでここからは、これからの相続税対策について考えてみましょう。
お墓・仏壇・仏具などを生前購入しておく
プラスアルファの相続対策として一つ目に挙げられるのが、
お墓などを生前に購入しておく事です。
なぜかと言うと、お墓・仏壇・仏具などは非課税財産として数えられ、
相続税評価額を算出する際に、それらの非課税財産が引かれるのです。
結果、総合的に相続税を抑える事ができます。
ただし注意点として、ローンの支払いを残さない事、
生前の購入でないと非課税とされない事、
また、あまりに価値が高いものは対象にならない事などに気をつけましょう。
寄付を行う
プラスアルファの相続対策として二つ目に挙げられるのが、寄付を行う事です。
本人が遺言状に寄付する旨を書いた場合、原則寄付先に関わらず非課税になります。
相続後に相続人が寄付を行った場合、
公益性の高い団体として認められる場合のみ非課税となります。
相続人が相続を行う際には、
相続を受けた日から10ヶ月以内に申告を行わなければ
無申告加算税がかかってしまいます。
無申告加算税は、納税額の5%から20%の罰金が課されてしまいます。
それさえ注意を払えば、相続の額を抑える事ができる為、
相続人にとっても負担となりにくいと言えるでしょう。
相続人を増やす
プラスアルファの相続対策として三つ目に挙げられるのが、相続人を増やす事です。
相続人を増やすことで相続税の控除額が増えますので
相続税評価額が抑えられ、結果的に相続税も抑えられます。
相続人を増やす方法として最も多く語られるのは、養子縁組を行うということです。
実子がいる場合は、それらの人数にプラスして一人までを相続人とする事ができ、
実子がいない場合は、二人までを相続人とする事ができます。
ただし、家族や養子にする方ときちんと話し合って決めないと
大きなトラブルを招きかねません。
こちらの方法は、上手く行かない場合にはデメリットが大きすぎると言えますので
奥の手として頭の隅に置いておく程度で良いかもしれません。
まとめ
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