繰り上げ返済はしない方が良いっていう意見もあるんだ!
住宅ローンもアパートローンも、繰り上げ返済はしない方が良い理由を徹底解説していくね!
繰り上げ返済の仕組みと2つの種類
住宅ローンやアパートローンの繰り上げ返済を行わない方が良い理由をお話していく前に
そもそも繰り上げ返済とは何なのか、ご存知でしょうか。
通常、ローンは毎月、金利と元金の合計額を返済していきますが、
繰り上げ返済では、そのような毎月のローン返済とは別に、ローンの残債の一部を返済する事を指します。
また、繰り上げ返済で支払った額は元金の返済に充てられるのが一般的です。
このように、繰り上げ返済を行うと、残債を一気に減らすことができますよね。
すると、必然的に月々の返済金利が減額され、結果的に総返済額が少なくなる
というような仕組みで成り立っています。
そんな繰り上げ返済には「期間短縮型」と「返済額軽減型」の2つの種類がございます。
ここからは、双方の特徴を見てみましょう。
期間短縮型
期間短縮型で繰り上げ返済を行っても月々の返済額が軽減されることはありません。
しかしながら、その代わりに返済の期間を短縮できる事、また
期間が短縮された分の金利負担が軽減される事が特徴として挙げられる返済方法です。
返済額軽減型
返済額軽減型で繰り上げ返済を行っても返済期間が短縮されることはありません。
しかしながら、その代わりに月々の返済額が軽減される事が特徴として挙げられます。
期間短縮型・返済額軽減型の比較
どちらの返済方法を取っても総合的な金利の支払額は軽減されます。
しかしながら、利息を減らす効果は同じではありません。
期間短縮型と返済額軽減型を比べてみれば分かる通り、繰り上げ返済を行うのであれば
期間短縮型の返済方法を取った方がより多くの金利を節約することが可能です。
繰り上げ返済を行うメリットはある?
ここまで、繰り上げ返済がどのように成り立っているのかという事と
2つの方法についてお話してきました。
これらを踏まえたうえで、
繰り上げ返済を行う際のメリットを見てみましょう。
ローンを早く返せる
繰り上げ返済を行う際の一番のメリットとして挙げられるのは、
ローンを予定よりも早く返済することができるという点です。
特に、借金を抱えることに対してマイナスのイメージを抱いている方にとっては
繰り上げ返済を行うことによって早くローンを返済することで
精神的なストレスから解放される為、重宝される返済方法だと言えるでしょう。
返済総額が少なくなる
繰り上げ返済を行い、素早く返済をすることによって
金利の負担が少なくなるために返済総額が通常よりも少なくなるという点も
繰り上げ返済のメリットとして挙げられます。
仮に、借入額が5,000万円としましょう。
また、金利は変動がなく0.5パーセントで35年返済ローンを返済していく中で、
25年後に退職金の1520万円で全額繰り上げ返済を行うとしましょう。
その場合、
繰り上げ返済を行わなかった場合の総支払額はおおよそ54,510,000円であるのに対し
繰り上げ返済を行った場合の総支払額はおおよそ54,000,000円。
つまり、繰り上げ返済を行うことで、
残りの15年間分の金利約51万円分を節約できるという事になりますね。
もちろん、皆様の置かれている状況によって節約される金利額は変動してくるものの、
何十万円も上乗せして返済をするくらいなら繰り上げ返済を行う方が良いと考える人がいるのも
この理由に由来するものでしょう。
繰り上げ返済を行うデメリットって?
ここまで、繰り上げ返済を行う際のメリットについて触れてきましたね。
しかしながら、何事にもデメリットがあることも知っておかなくてはいけません。
そこでここからは、繰り上げ返済を行う際のデメリットについてお話していこうと思います。
手元の資金がなくなってしまう
繰り上げ返済を行う際の一番大きなデメリットとして挙げられるのは、
それを行うことによって、手元の資金が殆ど一切なくなってしまうという事です。
例えば、メリットをご説明した際にあげた例のように
退職金を用いて全額の繰り上げ返済を行ってしまうと
その後の生活が苦しくなってしまう可能性も否めません。
また、いつ何が起こるか分からない昨今、
重大な病気に侵されてしまった際や、大きな怪我などをしてしまった際に
充分な資金がなければ困ってしまいます。
その為、緻密な計画の上で繰り上げ返済を行う場合や
予想外の一時金があった場合に繰り上げ返済を行う場合以外はあまりおすすめできません。
生命保険が無くなってしまう可能性がある
一括で繰り上げ返済を行い、総支払額を軽減したり、
精神的なストレスから解放されることはとても良いことだとは思います。
しかしながら、もしも団体信用生命保険に加入している場合で、
そちらでの保険料が金利に含まれている際などは
一括で借り上げ返済を行ってしまうともしもの時の生命保険もなくなってしまいます。
繰り上げ返済はしない方が良い2つの理由
ここまで、繰り上げ返済を行う際のメリットとデメリットの両方に
焦点を当ててきましたね。
その中で、「結局、繰り上げ返済はしていいの?しない方が良いの?」
と疑問に思っている方もいらっしゃるのではないでしょうか。
結論から申し上げますと、繰り上げ返済はしない方が断然良いです。
ここからは、その詳細な理由を2つに分けてご説明していきます。
今は金利が激安の時代だから
繰り上げ返済を行うメリットとして
金利の節約に繋がり、総支払額が通常よりも少なくなることを挙げたかと思います。
しかしながら、実の所
今はどこも金利が激安の為、繰り上げ返済を行うメリットが殆ど無いのです。
支払総額が少なくなることを説明したところと同じ様に、
仮に、借入額が5,000万円だとしましょう。
同じく返済期間は35年とし、今回は変動金利で0.5パーセントと仮定します。
この中で、10年分の負担額である500万円を繰り上げ返済したとして、
繰り上げ返済を行わなかった場合と比較してみましょう。
繰り上げ返済を行わなかった場合の総支払額は前回同様おおよそ54,510,000円。
繰り上げ返済を行った場合の総支払額は54,190,000円になります。
ここから比較してみると、31万円程の節約にはなっているものの
残りの期間の25年間で割ってみると年間の金利はたった1万2000円程度しか節約できていないことがわかります。
500万円も繰り上げ返済を行って、
年間たった1万2000円程度しか金利が節約できていないのはコスパが悪いように思えませんか?
これでは繰り上げ返済を行うメリットはあまり感じられません。
住宅ローン控除の恩恵を受けられなくなる
繰り上げ返済をおすすめできないもう一つの理由として挙げられるのは、
住宅ローン控除のメリットもなくなってしまうという点です。
仮に、500万円繰り上げ返済を行ったとしましょう。
すると必然的にその年の住宅ローン控除も減少してしまい、
500万円×1パーセント、つまり5万円分の控除が受けられなくなってしまいます。
繰り上げ返済をおすすめしない理由の一つとして、
実際の所金利がそこまで節約できるわけではない事を前の章で挙げたと思います。
その際、500万円を繰り上げ返済しても、
節約できる金利は年間たったの1万2000円程度であるとお話したかと思いますが、
繰り上げ返済を行って1万2000円を節約するか、
もしくは繰り上げ返済を行わず5万円の住宅ローン控除を得るかを比較してみると
繰り上げ返済を行わない方がより良いことは明白ですよね。
こちら二つの理由を合わせて総合的に考えてみれば、やはり繰り上げ返済はおすすめできないのです。
例外として繰り上げ返済を行って良い時
ここまで、繰り上げ返済を行ってはいけない理由をお話してきましたが、
例外として繰り上げ返済を行った方が良いケースもございますので参照いたします。
しかしながら、やはり一般的にはおすすめできませんので、参考程度に頭に入れておいていただけたらと思います。
- 変動金利で借用している方で、金利が急激に上昇した際
- 高い金利から安い金利へ借り換えた際
代わりにお勧めするのは、手元資金を運用する事
ここまで、現在のような低金利時代には、
まとまった資金が手に入っても住宅ローンの繰り上げ返済は行わない方が良い理由についてお話しましたね。
その様にまとまったお金で繰り上げ返済を行わない代わりにおすすめできるのは、
不動産投資や株式投資などで資産運用を行う事です。
例えば、ETFの長期積立投資であれば、年利1パーセント以上で運用することも容易いですし
きちんと勉強すれば年利3パーセントで運用することも可能です。
また、500万円もの頭金があれば、安い戸建てなどを購入して不動産投資を行うこともおすすめです。
利回り15パーセントもあれば、年間75万円ものインカムゲイン(家賃収入)が手に入りますし、
土地値で買ってリフォームも行っている場合は、その数十年か後に売却することで
キャピタルゲイン(売却益)を得ることも可能です。
不動産投資も、勉強さえすれば大きなリスクは回避可能な事ばかりである為、
まとまった資金が手に入った際にはそのように資産運用について検討してみることがおすすめです。
アパートローンの繰り上げ返済もしない方が良いの?
ここまで、住宅ローンの繰り上げ返済の可否についてお話してきましたが、
アパートローンの場合はどうでしょうか。
事実、アパートローンの場合、
繰り上げ返済を行った方が良いか否かはケースバイケースです。
例えば、0パーセント台の超低金利で融資を受けている場合であれば
繰り上げ返済を行わないで、手元の資金を次の物件の頭金に回してしまう方がおすすめです。
しかしながら、ローンの金利が高い場合や、
レバレッジ効果のせいでデッドクロス(※1)に陥っている場合であれば
キャッシュフローが出せないことに繋がったり、
税金を多く払わなくてはいけなくなってしまうことにも繋がってしまう為、
一部繰り上げ返済を行うことがおすすめです。
(※1)デッドクロスとは
デッドクロスとは、元金返済額が減価償却費を上回ってしまう現象を指します。
不動産投資を行う上でとても重要な知識ですので、
詳しく知りたい方はぜひこちら↓の記事をご参照ください。
不動産投資で知らぬ間に黒字倒産にならない為には、デッドクロスに注目すべし!その概要を詳しく解決!
まとめ
だから、繰り上げ返済を行うメリットも感じられないし、やめようかな!
自分の状況をきちんと見極めてから慎重に行おうね!
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- 不動産投資を成功に導く7つの心得
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