老後2000万円問題という言葉をよく耳にする昨今
会社勤めをしているサラリーマンや公務員の中でも不動産を所有して
不動産投資家として資産を築こうとしている方は増えてきています。
不動産を所有されている方の中には
最新の設備をそろえたり、少し背伸びしてでも築浅マンションを購入すれば、
何をしなくても勝手に入居者が決まり
安定した家賃収入を得られると思っている方もいるのではないでしょうか?
実は、新築物件や最新の設備を備えている物件であってもすぐに入居者が決まるわけではありません。
中には、空室率が入居率を上回ってしまうこともあるのです。
今回の記事では、築浅で設備も申し分ないのにも関わらず
空室の期間が長いオーナーさんに向けて
空室が長引いてしまう原因とその対策を紹介していきます。
全ての優良物件が満室になるわけではない!
日本では現在、人口の減少が大きな社会問題になっています。
内閣府の発表によると、
現在1億2610万人(2021年時点)いる日本の人口は
今後2060年にかけて8674万人にまで減少すると言われています。
国土交通省が2017年に発表した住宅経済関連データの「新設住宅着工度数の推移(利用関係別)」を見ると、
貸家の新築は2006年(平成18年)の53万戸をピークに、一時は30万戸を下回っていました。
しかし人口減少率に比べると着工戸数はそこまで減少することなく、現在でも毎年一定数以上の新築住宅は作られています。
人口減少も空室の原因
先ほども話した通り、
現在の日本では、人口の減少が予想されています。
2004年の1億2784万人をピークに、2030年には1億1522万人
2050年には9515万人で1億人を下回ることが予想されています。
人口が減少することによって相対的に空室物件も増加していきます。
しかし、上記したように新築の貸家が今も継続して作られ続けていることを考えると
今後必ず賃貸への需要に対して、貸家の供給量が過多な状態になると言えるでしょう。
築浅物件だからといって油断はできない
今までの不動産業界だと、
新築マンションは中古のマンションに比べて設備や内装の面で優れていることから、ある程度の入居需要が期待できました。
しかし、現状の不動産業界は貸家が供給過多の状態にあるため、
たとえ新築のマンションであっても、需要が必ずあるとは言えません。
そのため築浅物件でも油断せずに空室対策を練っていく必要があるのです。
優良物件なのに空室がなかなか埋まらない理由
今まで、人口減少による貸家への需要と供給がズレてきているという話をしました。
しかし、いくら人口減少に加えて新築の着工数が継続的に増え続いていると言っても、全ての築浅マンションの貸家の需要が低下しているわけではありません。
もし住むならだれもが、絶対に古い家よりも新しい家に住みたいと感じるはずです。
それでも、築浅でキレイなのに空室が埋まらない理由は一体なぜなのでしょうか?
考えられる主な理由には以下のようなものが挙げられます。
・入居募集が不十分
・家賃が周辺相場と比較して高い
・競合(ライバル)調査が不十分
それぞれの理由について詳しく解説していきます。
入居者募集が不十分
築浅物件や、設備が整っている物件であれば条件がいいため
入居者の募集活動に力を入れなくても問題なく入居希望者が現れるだろうと思っている人もいるのではないでしょうか?
しかしいくら物件の条件が魅力的でも、入居募集が不十分なら意味がありません。
極端な話、誰もが住みたくなる魅力的な物件でも入居募集をしてくれる仲介会社が0なら入居者が決まるわけがありません。
また、管理費が周囲と比べて極端に安い管理会社や不動産会社を選ぶと
コストを抑えられても営業力が低いなどの理由で、たとえ築浅の優良物件でも空室が生じたり、空室期間が長引く可能性があるので注意が必要です。
家賃が周辺相場と比較して高い
条件が魅力的なマンションだからと言って、家賃を高く設定しても需要があると思ってはいけません。
あくまでも入居者側の立場になって考えると、家賃というものは継続して発生するものであるので、家賃は少しでも抑えたいと思うのです。
そのため、周辺の同じグレードのマンションの家賃相場と比較して
家賃設定が高い場合にはいくら築浅で設備や内装が優れていても空室が生じる可能性があると言えます。
競合調査が不十分
首都圏など競合がひしめくエリアでは、周辺の競合となる物件の家賃や間取り設備がどうなっているかなど、ライバル物件に対して敏感になる必要があります。
例えば、似たような間取り設備や築年数のライバル物件が家賃7万円なのに対して、
何も対策や周辺物件の状況把握をせずにいる場合では、ライバル物件に見劣りしてしまい空室の期間が長引いてしまうでしょう。
まずは空室の原因を理解しよう
上記した理由は、どんなに条件のそろった物件を所有していたとしても本来できていなければならないことです。
たとえ優良物件を購入して空室ができてしまっても、購入前に戻ることはできないため、
その時にできる最善の対策を取っていくしかありません。
そのため空室期間をこれ以上長引かせないために
なぜ空室期間が長引いてしまったのか原因を知ることが今後の対策を練るうえでも非常に大切になっていきます。
空室が埋まらない物件の空室対策
優良物件だからと言って、高い入居率が必ずしも期待できるわけではないため
早めに空室対策を行うことが重要だということがお分かりいただけたでしょうか?
それでは、具体的にどのような空室対策を行えばいいのでしょうか?
前述した「空室が埋まらない理由」に対する空室対策を以下に挙げておきます。
・入居募集が不十分
→募集の幅を広げる
・家賃が周辺相場と比較して高い
→家賃を下げるor管理会社を変える
・競合(ライバル)調査が不十分
→管理会社との関係性を構築する
それぞれの空室対策について詳しく見ていきましょう。
入居募集の幅を広げる
現在、入居希望者に物件を紹介する不動産会社もまた数が増えすぎていて供給過多の状態になっています。
街中を歩けば何十社もの不動産会社が並んでいる光景を目にするでしょう。
そのため、あなたの物件を入居希望者に紹介している不動産会社が少ない状態では、
中々空室が埋まらなくなってきているのです。
まずは、多くの人に物件を知ってもらうために
できるだけ多くの不動産会社で自分の物件を紹介してもらう必要があります。
もし現状であなたの物件を紹介してくれる不動産会社が2,3店舗しかない場合は
入室が中々決まらなくても当然と言えるでしょう。
より多くの入居者を募集できる管理会社に変えよう
入居者の募集の幅を広げるために最も効果的なことは
より多くの入居者を募集できるような管理会社に変えることです。
まずは、今の管理会社の物件担当者に
「自分の物件は現在何店舗の不動産会社で入居募集が行われているのか」を聞き、
現状であなたの物件が十分な入居募集が行えているのかを確認しましょう。
その結果として、あなたの物件を紹介してくれている不動産会社の数が
そのエリアの不動産会社の数に比べて明らかに少ない店舗数でしか募集されてない場合は、
より多くの入居者を募集できる管理会社に変えるほうが良いでしょう。
外国人入居者を受け入れる
また外国人の入居者を受け入れることで
外国人の入居希望者を対象にしているような不動産会社にも入居募集の依頼ができるため入居募集の幅が広がります。
現在日本の外国人の在日率は増加しています。
そのため、外国人の入居者を募集することで一気に入居者の母数を増やすことができます。
しかし、外国人入居者の受け入れはメリットがある反面、
注意しておくべきこともいくつかあります。
【外国人入居者を受け入れて起こったトラブルの実例】
・家賃を滞納したまま帰国
・1人で入居する契約のはずが、複数人で住んでいる
・深夜の騒音による近隣住民からの苦情
・土足で部屋を使っていて退去時には部屋がボロボロ
せっかく入居が決まっても、家賃収入が発生しなかったり
修繕費が高くついてしまっては募集した意味がありません。
そのため外国人の入居者を募集する際には次のような対悪をとっておくとよいでしょう。
・家賃滞納で夜逃げされないよう保証会社に必ず入る
・入居希望の外国人に実際に会って自分の目で問題ないか確認する
・日本語で会話ができる方のみ入居を許可する
このようにしっかりと対策とって外国人入居者を受け入れることで
トラブルを最小限に抑えながら空率対策を行うことができるでしょう。
家賃を下げるor管理会社を変える
初期投資分を早く取り返すために家賃を高すぎる設定にしてはいませんか。
最初の投資分を早く取り返したいお気持ちはわかりますが
周辺相場よりも高く設定されている場合には、周辺相場に合わせて見直すことが重要です。
まずは不動産のポータルサイトなどを活用して周辺の家賃相場を確認します。
重要なポイントは「自分の物件と似た条件の部県を探すこと」です。
築年数、間取り、専有面積、設備面のスペックや、
最寄駅からのアクセスや周辺環境など交通の利便性の点でも比較して、自分の物件との優劣を整理していきましょう。
家賃を下げたくても下げられない。。。
家賃を周辺の相場に合わせて設定することで空室対策につながることはご理解いただけましたでしょか?
しかし、オーナーさんの中には
「家賃を下げた方がいいことはわかってるけど、これ以上家賃を下げてしまうとキャッシュフローがマイナスになってしまうから下げられないんだ。。。」
という方もいらっしゃいます。
その原因には以下のようなものが挙げられます。
・周辺相場より割高な価格で不動産物件を購入してしまった
・物件を購入する際の予想利回り計算を過大評価しすぎた
上記のような場合では、
キャッシュフローがマイナスにならないぎりぎりにまで家賃設定を下げたとしても、
なお周辺の家賃相場よりも高くなってしまい、
他の物件に入居希望者を取られてしまうという状況に陥ってしまうのです。
このような状況に陥ってしまった場合
これ以上損失が増える前に物件を売却してしまうしか方法はないのでしょうか?
早いうちに物件を手放してしまうのも1つの手なのですが
もう1つ満を持してご紹介したいのは”管理会社変更すること”です。
管理会社の変更をおすすめする理由のうつの1つとして今回は
「入居者募集の際の物件写真」にフォーカスを当ててお話します。
ここで1つ質問です。
「あなたが次の二つの写真を見てみて、住みたい!と思う部屋はどちらですか?」
おそらくほとんどの方が右の物件に住みたいと思うでしょう。
実はこの二つの写真はどちらも同じ部屋の写真なのです。
入居希望者さんが入居を決めるまでの段階で、
物件の写真などを見て何個かの部屋に候補を絞るという段階があります。
まずはこの「入居者希望者さんが”見てみたい”や”住みたい”と思う候補物件」の中に入らなくては入居は決まりません。
しかし現状、不動産サイトや管理会社が作成した入居希望チラシなども見てみると
物件の写真にこだわっていない会社がほとんどなのです。
理由は「管理会社は物件をよく見せる(質)よりも管理物件数(数)を増やすことに時間と労力を割くから」です。
実際に管理物件数が多いという事は、賃貸管理会社からすると
それだけ物件の管理を請け負えているという実績の照明になるのです。
大手の管理会社さんに対して漠然と「安全そう、管理がしっかりしてそう」と思うのはこのためです。
少しでも多くの人から「見たい」「住みたい」と思われるような
物件の写真までこだわって入居募集チラシを作っているような管理会社であれば
管理物件数(自分たちの利益)だけでなく入居率(オーナーさんの利益)までしっかり
考えられている傾向にあると言えるでしょう。
管理会社との関係性を構築する
管理会社の物件担当者との関係性を良好にすることも空室対策に繋がっていきます。
管理会社側も人間ですので
全部のオーナーさん対等に接しているかと言えば正直難しいでしょう。
ラーメン屋が、よく来てくれる常連さんにトッピングをサービスしてくれるのと同じで
管理会社も、お得意さんや親交のあるオーナーさんには連絡が少し丁寧になったり、対応がはやくなったりするものです。
また良好な関係性を築けていれば
「物件の周辺相場情報」や「空室対策の戦略」など有力情報を共有してくれるでしょう。
オーナーさんと管理会社で
ド虎が偉いという優劣をつけるのではなく、お互いに助け合って利益を出していけるような良きビジネスパートナーでいられるようにしましょう。
まとめ
どんなに優良物件や築浅のきれいな物件でも
なかなか空室が埋まらないという事は意外と多いです。
またそこには必ずそうなってしまった原因があります。
これまで家賃を下げることによって空室対策を取っていた方には
家賃を下げる以外にも様々な手段を使って
空室を埋めることができる事を知っていただけたら幸いです。
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