民法改正によって変容した不動産にまつわる常識についてお話していくね!
なぜ民法が不動産投資に影響するの?
2020年の4月に民法が改正されたことをご存知の方も多いかと思います。
今回の記事ではその民法の改正によって変容した不動産投資の「常識」
についてお話していきますが、
その前に、なぜ民法の改正が不動産投資にも影響を及ぼすのかについてお話していきましょう。
そもそも民法って何のためにあるの?
民法が初めて設立されたのは1896年(明治29年)のこと。
幕末で活躍した武士であり政治家である勝海舟さんが亡くなった年が1899年であることを考えると
とても古くから存在する法律だという事が分かりますね。
そんな民法は、夫婦間の関係や相続にまつわる権利や
売買取引などのビジネスにおける法律を規定しています。
その為、民法は個々人の生活や権利をよりフェアなものにする為に存在していると言ってもいいでしょう。
民法の改正で不動産投資に影響が出るポイントはどこ?
さて、ここからはなぜ民法の改正が不動産投資にも影響するのかについてお話していきましょう。
先ほど、民法は1896年に設立されたと言いましたが、
2020年4月に改正された民法はなんと120年ぶりの出来事です。
その影響もあってか、1044条の内、200箇所の変更点があり、
特に債務に関する法律などが多数変更されました。
その中で不動産投資に影響が出るポイントは以下の三つです。
- 連帯保証人
- 敷金や設備に関する規定
- 遅延損害金の法定利率
ここからは、この三つのポイントの内訳を詳しく解説していきます。
連帯保証人に関する変更事項
不動産投資を行う中で入居者さんと賃貸借契約を結ぶ際、
連帯保証人を取る方ももしかしたらいらっしゃるのではないでしょうか。
しかしながら、
民法改正によって連帯保証人に関する様々な事柄にも変更点が生まれた為
気を付けないと連帯保証人の契約が無効になっていた…という事態も逃れられません。
そこでここからは、連帯保証人に関する変更事項についてお話していきましょう。
従来の連帯保証人の問題点とは?
民法改正によって生じた連帯保証人の変更点をお話していく前に、
なぜ連帯保証人にまつわる民法が改正されたのか、について考えてみましょう。
その理由は、保証人と連帯保証人の違いを見てみれば一目瞭然です。
保証人と連帯保証人は両者とも、債務者がお金を支払えなくなった際に
その方に代わって支払いを行う義務を背負っています。
しかしながら、
保証人は債務の請求が来た際にはそれに対して反論(主張)することができる権利がありますが、
連帯保証人にはそのような権利は設けられていません。
例えば、友人が家を購入する際に連帯保証人になったとしましょう。
しかしながら、友人がローンを返済できなくなってしまい夜逃げしてしまったとすると
連帯保証人が肩代わりしなくてはいけません。
夜逃げされてしまうような額であれば、
連帯保証人さんが負担しなくてはならない額も相当なものである場合が多く、
連帯保証人さんが自己破産に追い込まれてしまう、というケースが多発していました。
このシステムはあまりに悲惨だという事で、従来の連帯保証人さんへの民法を
改正するに至ったのです。
連帯保証人が保証する限度額の規定が必須に
ここまでも記述した通り、従来の連帯保証人というものには以下の3つの問題点が存在していました。
- 自身がお金を借りていなくても、事実上自分がお金を借りているのと変わりない状態になってしまう
- 債務者さんが逃げてしまったら必ず対応しなくてはいけなくなってしまう
- 債務者さんに支払いの能力が無い場合は問答無用で連帯保証人さんに債権請求可能である
上記の3つの問題点や破産者を減らすための処置として改正された点は
連帯保証人を取る場合は、連帯保証人が保証する限度額を必ず設けるという点、
また、限度額の記載がなければ連帯保証人の契約は無効になるという点です。
不動産投資を行っているオーナー様の中には
賃貸借契約を結ぶ際に連帯保証人さんを取る方も多くいらっしゃると思います。
そこで注意を払わなくてはいけないのは、
従来のままの賃貸借契約で連帯保証人さんを取っている場合、
連帯保証人さんが保証する限度額の記載がない為に契約が無効になる可能性があることです。
その為、今も従来の契約のまま引き継いでいるのであればお早めに対応することが必要でしょう。
連帯保証人さんが保証する限度額の相場は、
凡そ家賃の2~3年分だと言われていますので、それを目安に改正することをおすすめいたします。
敷金や設備に関する民法が規定されるように
不動産投資を行っている方々にとっては
敷金や設備に関する問題は非常に注意を払わなくてはいけない問題ですね。
今回の民法改正では、その両者に関する法律も新たに規定されましたので
ここからは、敷金と設備に関する新たな規定を見ていきましょう。
敷金が規定された
そもそも従来の民法では「敷金」というものは規定されていませんでした。
その代わりに、今まで行ってきた敷金に纏わる裁判の判例を基に
敷金を決めていた方も多いのではないでしょうか。
そんな敷金も民法改正によって規定されるようになりましたが、
内容は従来の敷金の考え方とは大きく変わらず、
入居者さんが普通に生活していてついてしまった汚れや、
太陽の光によって褪せてしまった壁など
経年劣化による汚れを原状回復する際には敷金を使うことはできません。
その為敷金に関しては、民法で規定されただけで
従来から判例があったために、運用の面での大きな変化はあまりないと言えます。
設備が使えない場合は家賃減額対象に
民法改正によって「設備」に関する常識には大きな変化が生まれました。
その一つとして挙げられるのは、
入居したは良いものの、お部屋の設備に不備があった場合は
家賃減額の対象になる事が民法によって規定された点です。
主な設備不具合による減額対象の例は以下の通りです。
- 電気・水などのライフラインが使えない場合
- お風呂やトイレが壊れていた場合
- お部屋が雨漏りしている場合
そのような不備が無いようにまずは気をかけることが必要ですが、
オーナー様にとってそれと同等に気になる問題は
もしもこれらの設備に不具合があった場合、一体どれほどの額を減額されてしまうのか
という点ではないでしょうか。
実の所、減額する額の規定は民法によって規定されていません。
その為、賃貸借契約に
「万が一この設備が壊れていた場合は、この額まで減額します」
などの趣旨を記載すると
万が一設備に不具合があった場合にも
多額の家賃を減額してしまう状況を避けられる為おすすめです。
オーナー様が設備を直さない場合は入居者さんが対応可に
また、民法改正によって大きく変わった設備に関する常識は
オーナー様が対応する気がない、または、緊急事態によってすぐに対応できない場合
入居者さんが不具合のある設備を自身で直して、
オーナー様に請求することが可能になった点です。
その為、後々入居者さんから莫大な請求が来ないように
設備の不具合などには迅速に対応することが必要になります。
また、築年数が古いマンションなどを経営されているオーナー様は、
入居者さんの独断で耐震補強などを施されないように
賃貸借契約に条文を記載することをおすすめいたします。
遅延損害金の法定利率が変更された
家賃の支払いの遅延や、ローンの支払いが遅延した際には、
遅延損害金というものが請求可能である事をご存知の方も多いと思います。
そんな遅延損害金ですが、
民法の改正によってその法定利率も変化いたしました。
その内訳といたしましては、
従来であれば、特に定められていない場合の
遅延損害金の法定利率は5%だったものが、3%に変更されたというものです。
法定利率は別途定めることが可能ですが、
賃貸借契約などで遅延損害金の利率を特に規定していない場合、
入居者さんに請求できる遅延損害金の法定利率は3%となりますので注意が必要です。
まとめ
民法改正によって不動産投資における債務関係の常識が変わったんだね!
もしも従来の方法を引き継いだままなら、早めに改変していくのをおすすめするよ!
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