空室対策

空室対策としてのシェアハウス転用|リスクから成功事例まで

空室対策としてのシェアハウス転用|リスクから成功事例まで

シェアハウスの需要が年々高まってきている現在では、賃貸物件のシェアハウスへの転用が空室対策として有効だと注目されています。ただ、安定した黒字経営を目指すには、リスクの把握とトラブル回避の対策が必要です。

そこで今回は、空室対策としてシェアハウス転用をおすすめする理由とリスク、成功事例までまとめてご紹介します。

「今まで行ってきた空室対策ではあまり効果を感じられなかった」という賃貸オーナーは、必見です。

なぜ空室対策にシェアハウス転用がおすすめなのか

平成26年3月、国土交通省が行った「シェアハウス等における契約実態等に関する調査」で、2006年以降シェアハウス事業者が大幅に増加傾向にあり、現在では東京都のような首都圏を中心に供給量が年率30%増え続けている」という結果が公表されました。

では、なぜシェアハウス経営者が増え続けているのでしょうか?

理由として、以下の2つが考えられます。

  • 今後もニーズが増加していく可能性が高い
  • 通常賃貸に比べて入居率や収益率が高くなりやすい

ここからは、それぞれの理由についてより詳しく紹介します。

今後もニーズが増加していく可能性が高い

シェアハウスの特徴は、コミュニケーションをとりながら他人と共同生活ができるという点です。

他人同士で適度な距離感を保ちながら生活ができるシェアハウスは、学生だけでなく、社会人や外国人からのニーズも高まっています。

このように、他人との共同生活を楽しむことができるシェアハウスは、人間関係が希薄になりがちな現代において、とても大切な役割を果たしています

そのため、今後もニーズが増加していく可能性が非常に高いと言われています。

通常賃貸に比べて入居率や収益率が高くなりやすい

敷金・礼金として家賃の3,4倍の費用を払うことが多い賃貸物件に比べ、シェアハウスは敷金・礼金ではなく、「デポジット」として家賃の1~2倍ほどの初期費用を払うだけで入居できることが多いです。

一般的な賃貸物件よりかなり安くで入居できるケースが多いため、入居率も高まりやすくなっています。

また、一般的な賃貸物件は戸単位で家賃が発生しますが、シェアハウスは住んでいる住人の数で家賃が発生します。

そのため、通常賃貸として物件を貸し出すより、シェアハウスとして物件を貸し出す方が収益率が高まりやすくなっています。

このように、入居者からのニーズの多さと、高い入居率や収益率が目指せることから、シェアハウス経営は空き家対策としておすすめの手段と言えます。

戸建て・マンションのシェアハウス転用リスク

ご紹介したように、戸建て・マンション等を所有する賃貸オーナーにとって非常に魅力的なメリットを持つ「シェアハウス経営」。ただ、シェアハウスへの転用には、以下2つのリスクも存在します。

  • 初期投資額・維持費の増加による資金繰りの悪化
  • 入居者同士のトラブルが発生しやすくなる

成功すれば大きな収入を得られるシェアハウス経営ですが、リスクをしっかり踏まえ、常に対策を行わなければ、失敗する可能性は格段に上がります。ここからは、それぞれのリスクについて詳しく解説します。

初期投資額・維持費の増加による資金繰りの悪化

既存住宅をシェアハウスへ転用する場合は、住民が快適に共同生活を送ることができるよう必要に応じて住宅を造り変えるケースがほとんどです。

中でも特に、数人での利用が可能な広いリビングや、水回りへの設備投資などが必要となる場合が多いため、一般的な賃貸物件に比べ、初期投資額が大きくなってしまうことは避けられません。

また、住人が多いことや、日本製品の取り扱い方に慣れていない外国人の入居者も対象となる可能性があることから、共用部設備の破損や劣化リスクが高まり、維持費が増加する場合もあります。

このような背景から、事前にしっかり予算を見積もっておかなければ、資金繰りが悪化し経営が困難になってしまうことも充分考えられます。

そのため、シェアハウス経営を始める前には、ある程度資金に余裕を持たせることが重要です。

入居者同士のトラブルが発生しやすくなる

シェアハウスは他人との共同生活を行うため、騒音問題といった入居者同士のトラブルなども、一般的な賃貸物件に比べシェアハウスの方が比較的多い傾向にあります

また入居者同士のトラブルが発展し、一人だけでなく数人が一気に退去してしまう可能性も考えられます。

入居者同士のトラブルは、事前にルールを定めていなかったオーナーの責任でもあります。そのため、シェアハウス経営を始める際は、事前にトラブルを回避するための入居ルールを定めておきましょう

シェアハウス転用の際に必要な準備

では、実際にシェアハウスに転用する際に何が必要になるのかを見ていきましょう。所有している投資物件をシェアハウスとして貸し出すには、以下3つの準備が必要です。

  • リフォーム・リノベーションを行う
  • 共有部分の家具・家電を揃える
  • トラブルを防ぐための入居ルールを定める

ここからは、上記3項目について詳しく解説していきます。

リフォーム・リノベーションを行う

シェアハウスとして運用していくために、まずはリフォーム・リノベーションを行いましょう。改築する際のポイントとしては、ターゲット層を明確にすることと、建築基準法をしっかり守ることです。

ターゲット層を絞ることで、他の収益物件との差別化を図り、シェアハウス物件独自の価値を引き出すことができます。

社会人や起業家向けのシェアハウスにするのか、外国人向けのシェアハウスにするのか、育児世代の支援型住宅にするのかなど、必ず「コンセプト」を考え、そのコンセプトに沿った間取り、デザインを考えてリフォーム・リノベーションを行いましょう

また、シェアハウスを建築するにあたり建築基準法」を守ることは必須項目です。

国土交通省では、「シェアハウスは形状により、建築基準法の”寄宿舎”に該当する」という見解が示されています。

寄宿舎は「特殊建築物」となるため、一般の賃貸住宅には適用されない規定が適用されます。

適用される規定は数多くあるため、シェアハウスへの転用としてリフォーム・リノベーションを行う際は、必ず事前に専門の建築士に相談しましょう

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共有部分の家具・家電を揃える

シェアハウスへの入居希望者は、家具・家電が付いているかどうかで物件を探す人も多いため、シェアハウスの共用部分や個室には、家具・家電を設置しましょう。

「すぐに生活を始められる」というイメージを持たせることで、シェアハウスの入居率を高めることが可能です。

また、コンセプトに沿った少しユニークな家具や家電の設置もおすすめです。

例えば”お洒落なカフェ”がコンセプトのシェアハウスなら、共用部となるリビングにコーヒーメーカーや木製のダイニングテーブル、さらにシーリングファンなどを設置することで、カフェスタイルを簡単に演出することができます。

トラブルを防ぐための入居ルールを定める

トラブルのない共同生活のためには、予め入居のルールを定めておくことが必須です。共用部分の利用方法や清掃方法はもちろん、プライベートや迷惑行為に関するルールは必ず定めておきましょう。

もし大きなトラブルが発生してしまった場合、退去者が続出することも考えられます。

シェアハウスで生活するすべての入居者に気持ち良く住んでもらえるよう、新しい入居者にも、あらかじめ定めた入居ルールを提示し、理解と徹底を求めましょう。

シェアハウス転用で家賃収入が増加した事例

最後に、シェアハウスを転用した結果、家賃収入が増加した事例を紹介します。実際の成功例を確認することで、シェアハウス経営のヒントを学びましょう。

以下の図は、最寄駅から徒歩30分ほどの持ち家を、シェアハウスへと転用した事例です。

Aさんの事例シェアハウスへの転用前
(戸建て経営)
シェアハウスへの転用後
リノベーション内容と費用4LDKの戸建て物件 → 全5室のシェアハウス
リノベーション費用: 合計約600万円
月間/年間
家賃収入
(満室時)
月15万円 / 年180万円(1室4.5万円×5室)
月22.5万円 / 年270万円
270万円(シェアハウス転用後の年間収益)-
180万円(シェアハウス転用前の年間収益)
90万円
初期費用は約600万円かかったものの、結果収益は年間90万円UP↑

Aさんはこれまで4LDKの持ち家を月15万円で貸し出していましたが、長年住んでくれていた入居者が退去したことをきっかけに、なかなか空室を埋めることができませんでした。

そこで、Aさんは持ち家をシェアハウスへと転用することを決意しました。

最寄駅から徒歩30分ほどの物件ということもあり、空室を埋められるか不安に思ったAさんは、「ペットと暮らすシェアハウス」というコンセプトを定め、コンセプトに適したリノベーションを行いました。

その後もシェアハウス専用の管理会社に依頼し、定期的な物件の清掃や無料インターネット設備の導入など、空室リスクに対する対策を常に行いました。

そのおかげで、半年以内に5室すべての部屋に入居者を集めることができ、満室経営のまま年間270万円の家賃収入を得ることができました。

戸建住宅を経営していた際の年間家賃収入よりも、100万近く多い収入を手にしています。

このように、貸家からシェアハウスへ転用することで、家賃収入の増加した事例もあります。

しかし、Aさんはただシェアハウス経営を行ったから家賃収入が増加したのではありません。空室リスクに対する対策を常に行ってきたために、このような結果を出すことができたのです。

空室対策としてシェアハウスへの転用を検討しているのであれば、経営後に考えられるさまざまなリスクを見越して、事前にしっかり対策を行うことが大切です。

まとめ

近年、シェアハウスの人気が高まってきたことにより、空室が目立っていた賃貸物件をシェアハウスへ転用するケースも増加傾向にあります。

しかし、通常の賃貸経営に比べ、シェアハウス経営が成功するノウハウを持っている方は多くありません。そのため、常に自身でシェアハウス経営におけるリスクや注意点を把握しておく必要があります。

所有物件の空室対策としてシェアハウスへの転用を前向きに考えている方は、ここまでご紹介したシェアハウス経営のリスク・必要な準備なども把握した上で、一度不動産管理会社に相談してみることをおすすめします。

ABOUT ME
フドシル専属監修者 東
賃貸不動産経営管理士。 2017年、不動産管理事業の立ち上げから1200戸を新規受託。 リーシング、入居者対応、トラブル対応、リフォーム、保険対応、キャッシュフロー見直しなどあらゆる業務をこなす。 自身も不動産オーナーとして日々奮闘中。 株式会社TonTon執行役員。
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