退去者が発生してから数ヶ月経っても、空室がなかなか埋まらないという悩みを持つ賃貸マンションや賃貸アパートのオーナーは少なくありません。
その中で、設備投資やモデルルームなど幅広いアプローチを行ったにも関わらず、
入居希望者がなかなか現れない場合、
最終手段として「家賃を下げる」ことを検討している賃貸オーナーもいるのではないでしょうか。
確かに、家賃を下げることは最も大きなアピールポイントとなるかもしれません。
しかし、安定した収益を確保するためには、「単純に家賃を下げることは考えない」ことが大切です。
では、どのような家賃の下げ方を行うことが望ましいのでしょうか。
この記事では、家賃を下げる金額の目安と、家賃を下げる際に気を付けるべきポイントについて詳しくご紹介します。
目次
入居者はどれほど良い物件でも「賃料」はほとんど妥協しない
そもそも家賃は、賃貸入居者にとってどれだけ重要性を持つのでしょうか。
参考データとして、とある不動産の総合情報サイトが行った「物件探しで重視する項目アンケート」の調査結果を見てみましょう。
物件探しで重視する項目(統計) | |
【第1位】 | 家賃 |
【第2位】 | 最寄り駅からの距離 |
【第3位】 | 通勤・通学時間 |
男女・単身者・ファミリー問わず約7割以上の方が「家賃を重視する」と回答しています。
つまり、物件を探す多くの方にとって「家賃」はなかなか妥協できるものではないということが分かります。
上記の結果は、家賃を下げるべきか検討されていた方にとって決定打となるかもしれませんが、
だからといって単純に家賃の値下げをすべきだということではありません。
実は、家賃を下げなくても、大家さんと入居者の双方にメリットとなる方法はあるのです。

そのままの家賃設定で入居者を増やすには?
空室が続き、家賃設定の見直しを検討している賃貸オーナーにとって、
「家賃を下げることなく入居者を増やす」ということは魅力的に感じるものでしょう。
しかし前述したように、物件を探している多くの方は「家賃」を重視しているため、
家賃を下げる以上にお得さを感じさせることが重要です。
では、物件を探す入居者に「お得だ」と思わせるためには、
単純に家賃を下げる以外にどのような工夫を施すと良いのでしょうか?
家賃を一定期間だけ半額にする
家賃設定を見直すのではなく、思い切って一定期間だけ半額に設定するという方法は、
意外と多くの賃貸オーナーが行っています。
半額の期間は基本的に半年が多いですが、
「2ヶ月家賃半額」の物件か「半年家賃半額」の物件であれば、
半年間も家賃が半額になる物件を選ぶ方が多いことは当然です。
「いかに早く空室を埋めて損失を抑えるか」を重視しているのであれば、
半年間の半額キャンペーンを設定することをおすすめします。
フリーレントを複数月に設定する
一定期間のみ賃料が無料となるフリーレントは、初期費用を抑えたい入居者に人気です。
賃貸情報サイトなどで「フリーレント」というキーワードで検索してみると、
およそ1~3ヶ月を期間として設定している物件が多く、
中でも1ヶ月のフリーレントは最も目立ちます。
競合物件との差をつけるなら、
フリーレントを複数月に設定することがおすすめです。
例えば、3ヶ月の空室期間後に家賃7万円の物件の家賃を3000円下げた場合と、
3ヶ月のフリーレントで空室が埋まった場合で比較してみましょう。
【空室3ヶ月後に家賃を3000円下げて空室が埋まった場合】 6万7000円×21ヶ月(2年契約・3ヶ月空室)=140万7000円 |
【家賃を下げず空室が埋まった場合】 7万円×21ヶ月(2年契約・フリーレント3ヶ月)=147万円 |
フリーレント3ヶ月と大盤振る舞いの設定をしたにもかかわらず、
空室対策として家賃を下げるよりも収入が多く得られることが分かります。
空室を埋めるため単純に家賃を下げることを考えるよりも、
なるべく早い段階でフリーレントを設定した方が、
賃貸オーナー・入居者どちらもお得となる可能性が高いです。
駐車場代等の家賃以外を値下げする
駐車場代による収入は入居者が車を持っていればこそ得られるものですから、
賃貸物件に付随した駐車場代はメイン収入として考えるものではありません。
しかし、ここに空室対策のヒントがあります。
もし、車を所有する入居者から家賃交渉をされた場合は、
まずは元々メイン収入ではない駐車場代の値下げを先に考えてみましょう。
駐車場以外にも倉庫付き賃貸や貸農園付き賃貸など、
賃貸物件に付随して貸し出している所有物件があるなら、
家賃ではなくこういったものから値下げを提案することがベストです。
わざわざ家賃を下げなくても、
入居者からしてみれば毎月の家賃が下がるという事実は変わらないため、
結果的にwin-winの結果を生むこととなります。



魅力的に感じさせる家賃の下げ方
これまでご紹介した工夫をすることで、必ず空室が埋まるとは限りません。
建物や設備が古くなれば資産価値も当然落ちているため、
家賃の値下げはいずれ考えなければなりませんが、
実際にどれぐらい家賃を下げるべきなのでしょうか。
また、家賃の値下げは築1年ごとに1%という話をご存知の方もいらっしゃるかもしれませんが、
逆に言えば多くの賃貸オーナーが目安にしている数字であるため、
同じ値下げ幅では競合物件との差別化ができないということも考えられます。
そのため、より魅力的に感じさせる家賃の下げ方や工夫を行うことが大切です。
ここからは、賃貸経営に成功しているプロの賃貸オーナーも行っている「家賃の下げ方」をご紹介します。
適正賃料から2000円~3000円
まず、物件を探す入居者から「相場より安い」と思ってもらうことが重要です。
そのため周辺相場をしっかり確認し、
管理会社や不動産会社と相談しながら、
適正賃料から2,000~3,000円ほど安くした賃料がベストな賃料設定だと言えます。
早く空室を埋めたくて、大幅に値下げしたいと考えている賃貸オーナーもいるかもしれません。
家賃が安ければ安いほど、入居者にとっても喜ばしいことです。
しかし、周辺相場より家賃が安すぎると「何故こんなに安いの?」と不審がられてしまう可能性もあり、
本末転倒になりかねません。
そのため、家賃の下げ方は「適正賃料の2,000~3,000円」程度と考えることが、
物件を探す入居者から不安を持たれずバランスの取れた金額であると言えます。
家賃は下げて共益費は上げる
家賃は下げて共益費は上げるという方法も、意外と入居率アップに繋がる魅力的な家賃の下げ方です。
結果的に入居者が支払う合計家賃に変わりはないのにもかかわらず、
なぜ入居率アップに繋がるのでしょうか。
それには、「ポータルサイトでの露出」が関係しています。
賃貸住宅情報サイトでは、「6.5万円以下の物件」など家賃を指定して物件を検索することが可能ですが、
実はこの数字に管理費や共益費は含まれていません。
そのため以下の表のように、合計家賃は同じでもポータルサイトでは露出が増えるため、
多くの方から物件を見てもらえます。
多くの方から物件を見てもらえるということは、
それだけ入居に繋がるチャンスがあるということです。
単純に家賃を下げることは最後の手段と考えて、できるだけ多くの方に物件を見てもらうことを意識して工夫を施しましょう。
家賃6.7万円+管理費・共益費2000円 合計家賃が6.9万円の物件 | 家賃6.5万円+管理費・共益費4000円 合計家賃が6.9万円の物件 |
「6.5万円以下の物件検索」ではヒットしない | 「6.5万円以下の物件検索」でヒットする |




家賃を下げる際の気を付けるべきポイント
さて、ここまで家賃を下げる前に考える事や家賃を下げる場合のコツなどを紹介してきました。
最後の手段として、家賃を下げる際に気を付けるべきポイントを考えていきましょう。
家賃と共益費の表示について
- 家賃のみを下げると敷金や礼金も下がる
- 駐車場代や施設利用料を込みに設定すると、別途消費税がかかる可
家賃を下げて共益費を上げても合計家賃は変わりませんが、
敷金や礼金は基本的に管理費・共益費の金額は含まれません。
そのため、毎月の合計家賃収入には変わりないものの、
敷金や礼金などによる収入は減少してしまうことを覚えておきましょう。
また、部屋とは別の敷地内にあった倉庫を入居者に貸し、
利用料を共益費に含む場合などは消費税がかかる場合があります。
消費税は最終的に賃貸オーナーが納めなければならないものであるため、
課税か非課税かをしっかり確認し、入居者から徴収することを忘れないようにしましょう。
現入居者への対応
最後に、家賃の値下げで気を付けるべきポイントが「現入居者への対応」です。
家賃を下げた場合、賃貸情報サイトには値下げ後の家賃で入居条件を掲載することとなります。
しかし、家賃が下がったという情報が既存入居者に伝わった場合、
同じように家賃の交渉をされる可能性は十分考えられます。
交渉を断った場合は不満から退去に繋がる可能性もあるため、なるべく受け入れましょう。
まとめ
ここまで、空室対策の手法として家賃を下げる以外の方法から、家賃を下げるコツや注意点までご紹介しました。
しかし、家賃の値下げや各キャンペーンを行うことも、少なからず収入を減らす方法である事に変わりはありません。
そのため、入居者や物件を探している方に対して積極的に提案するものではなく、
入居希望者が家賃の値下げを希望している際など、喜ばれるタイミングで提案することが大切です。
また、家賃の値下げはあくまで最終手段として残し、
家賃以外の部分で入居者に喜んでもらえるサービスや工夫を提供することが、最も有効的な空室対策となることを覚えておきましょう。





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