築年数が古いアパート・マンションの空室を埋めるため、破損個所や老朽化を改修する「リフォーム」を行ったり、中古住宅の間取りや機能を刷新する「リノベーション」を行ったりするオーナーも多いです。
リフォームやリノベーションは他の空室対策に比べコストがかかる方法ですが、綺麗なお部屋だと入居者に喜ばれる可能性も高いため、非常に効果の高い空室対策だと言えます。
しかし、中には「リフォームやリノベーションを行ったにもかかわらず、なかなか空室が埋まらない」という方もいるのではないでしょうか。
空室が埋まらない原因を理解していないまま、せっかくリフォームを行ったのだからと空室を埋めるためさらにコストをかけて広告を出すことは、資金繰りの悪化に繋がってしまいます。
今回は、リフォーム・リノベーションのよくある失敗事例から、その後見直すべきポイントまで詳しくご紹介します。
アパート・マンションのリフォーム・リノベーションでよくある失敗事例
空室対策として行ったはずのリフォームやリノベーションが失敗する要因には、以下2つの理由が考えられます。
- デザインだけが良い設備の導入
- コストを中途半端にかけてしまう
なぜ上記2つが失敗する要因なのか、それぞれの理由について詳しく解説していきます。
デザインだけを重視した設備で使い勝手が悪い
「リノベーション済み物件」は魅力的ですが、外観や内観だけを綺麗に整えたとしても住みづらいと感じてしまったら、物件としての人気は一気に無くなってしまうでしょう。
「住み心地の良い部屋」とは、デザイン性だけでなく設備の使い勝手の良さも決定要因になります。そのため、お洒落な内装にこだわることも重要なポイントではありますが、実際に自分がその家に住むということを想像しながら、設備の使い勝手の良さも重要視して選ぶことが大切です。
コストを気にしすぎて中途半端な仕上がりになっている
リフォームやリノベーション費用は、決して安いものではありません。そのため、出来るだけ安く仕上げたいと考えてしまう方も多いのではないでしょうか。
しかし、コストをかけずにリフォームやリノベーションを行ってしまうと当然中途半端な仕上がりとなってしまい、デザイン性も使い勝手も悪い部屋となります。
予算の都合上コストをかけすぎることが難しい場合は、少しクオリティーを下げてでも、限られたコストの中でデザイン性と使い勝手のバランスが取れたものを選ぶことを推奨します。
リフォーム・リノベーション後の空室対策で見直すべきポイント
リフォームやリノベーションをしても、空室が埋まらなければ意味がありません。しかし、実際にリフォームをした後に問題点を知ってしまったとしたら、次にどのような方法で対策すべきなのでしょうか。
ここからは、リフォーム・リノベーション後に再度見直すべきポイントをご紹介します。
「高い費用を払って工事を行ったのに!」と泣き寝入りしてしまう前に、参考にしてみてください。
実際に生活する事を想定し使い勝手の良い設備を取り入れる
前述したように、良い設備を取り入れたとしても使い勝手がよくなければ住みづらく感じてしまい、入居者が増えることはありません。
そのため、ただコストをかけた設備を導入するのではなく、実際に生活することを想定し、使いやすい設備を取り入れることが重要です。
「設備」というと高機能エアコンなどが多くイメージされるかもしれませんが、最近では入居者が求める賃貸の設備ランキング1位となっている無料インターネットの導入もおすすめです。
無料インターネットは比較的低コストで導入できるため、リフォームやリノベーション後の”コストをかけない空室対策”として、多くの賃貸オーナーに選ばれています。
良い設備を取り入れることは空室対策だけでなく賃料アップにも繋がるため、「設備投資」とも言われています。入居者のニーズを想定し、最適な設備を導入しましょう。

中途半端なリフォーム部分を改善する
予算の都合上、なるべくコストをかけたくないというオーナーがよくしてしまう失敗のひとつに「中途半端なリフォーム」があげられます。
【例】
- バスルームやトイレ、キッチンなど水回り設備のみ綺麗にリフォーム
- 和室だった部屋の床をフローリングに、しかし壁は砂壁のまま
コストをかけない中途半端なリフォームが原因で結局空室が埋まらなければ本末転倒です。
リフォーム費用はすべて「投資」と考え、例のような中途半端なリフォーム部分は積極的に改善しましょう。
外装と内装のレイアウトに統一感をもたせる
外装が古いアパートなのに内装が綺麗であったり、外装は洋風な建物なのに内装が畳部屋であったりと、外装と内装のレイアウトが統一されていないと内見時にがっかりされてしまうことがあります。
建物と部屋のバランスがよく取れたリフォームを行うためには、建物の外装工事や外壁のリフォームを依頼するか、再度部屋をリフォームするかのどちらかとなります。
部屋をリフォームするか、外装工事を行うか、まずは部屋内で行ったリフォーム内容をしっかり確認してから決めましょう。



競合物件と差別化できるポイントを作る
同じエリアに似たような賃貸アパートや賃貸マンションがあると、どうしても比較されてしまうため、競合物件に劣る部分があると入居者をとられてしまう可能性があります。
競合物件との差を付けるためには、差別化を図ることが必要です。
差別化を図ることで、競合物件が近場にあっても入居者を増やすことが出来るでしょう。
A物件 | B物件 | |
家賃 | 7.6万円 | 7.4万円 |
敷金/礼金 | 1ヶ月/1ヶ月 | 1ヶ月/1ヶ月 |
間取り | 1K | 1K |
部屋の広さ | 24.5m² | 25m² |
設備 | 無料インターネット有り | 無料インターネット無し |
また、無料インターネットのない部屋より、無料インターネットのある部屋に住みたいと考えている入居者は多くなっています。
そのため上の図の場合、B物件の方が家賃が安く人気物件かのように思えますが、実はA物件の方が入居希望者を集めやすいでしょう。
このように、競合物件の調査を行い、入居者が魅力的に思う設備や条件は何なのかを把握して、競合物件との差別化を図りましょう。



コストを抑えて実施可能な空室対策3選
リフォームやリノベーションを行った直後では、資金にそれほど余裕を持っていないオーナーも多い事と思います。
今すぐ行動に移せる余裕が無いのであれば、比較的コストを抑えて実施できる空室対策から行うことをおすすめします。
ここでは、低コストで実施可能な空室対策を3つ紹介します。
管理会社を見直す
物件を管理している会社を見直すことは、空室対策の一つとして数えられます。
物件のアピールや入居者対応などを管理会社が行っており、その対応によって入居率が大きく変わるためです。
管理会社を見直すポイントとしては、以下のことを考えて決めると良いでしょう。
- 地域に特化して長く営業している
- 駅から近いなど、物件を探している人が立ち寄りやすい立地である
- 管理している物件を複数持っている
- 積極的に営業してくれる
物件のある地域で長い間営業しているということは、地元のことを詳しく知り尽くしているということです。物件の広告や募集方法について、的確なアドバイスを貰うことが出来ます。
これらの条件に全て当てはまらなくても、例えば大手不動産会社のようにネームバリューがある会社なら来客も多いため、その分お客さんに部屋を紹介してくれる機会が増えるでしょう。



3家賃設定を見直す
不動産会社が積極的に営業をしてくれていても空室が埋まらない場合は、家賃設定を見直すと良いでしょう。
不動産会社に競合物件の家賃相場を聞き、設定してある家賃相場と比較した際、競合物件に比べ家賃が非常に高かったということはよくあります。
この場合、単純に競合物件より低い家賃で募集することが望ましいというわけではなく、自身の物件の現状を把握しながら適正家賃を見直すことで、契約に繋がる可能性が非常に高くなります。
募集から時間が経っているのになかなか入居者が集まらないというオーナーは、一度家賃を下げることを検討してみてはいかがでしょうか。



サブリースの依頼を行う
近年人気の賃貸経営に、「サブリース」という方法があります。
通常の賃貸では管理費を支払って管理会社に管理を委託するケースが一般的ですが、サブリースの場合はオーナーとサブリース会社が契約することとなります。契約時にサブリース会社が全部屋を借り上げ、賃料の一部をオーナーに支払う形となるため、通常の賃貸とは違い家賃全てが手元に渡ることはありません。
しかし、サブリースには「最低家賃保証」というメリットがあります。
「最低家賃保証」とは、たとえ空室があったとしても賃料の一定割合が月々支払われるというもので、本来は得られなかった収入を得ることが可能となります。
この最低家賃保障がサブリースにおける最大の魅力であり、近年サブリースが増えている要因とも言えるでしょう。
空室をそのままにして収入を得られないより、サブリースを依頼して最低家賃保障を貰う方が空室を無駄にせず済むため、長い間空室が埋まらないと悩んでいるオーナーは、一度サブリースを依頼することも検討してみましょう。



まとめ
リフォームやリノベーション後に空室が続く理由にはさまざまな原因が考えられるため、家賃や立地がすべてではありません。
リフォームやリノベーションが失敗だったと泣き寝入りしてしまうよりも、まずは問題点をしっかり把握することが大切です。
物件の現状とコストを考え、最適な改善プランを行うことができれば、失敗だと思っていたリフォームやリノベーションも大成功となるかもしれません。
アパート・マンションなどの賃貸物件に空室問題は付き物です。
リフォームやリノベーションに失敗してしまったオーナーもこれを機に、不動産投資に関する知識をより身につけ、「大成功を収めた賃貸オーナー」を目指しましょう。



「成功するプロ家主は腹の底で何を考えているのか?」


不動産投資のプロとして第一線で活躍する「三島毅久」が書き上げた不動産投資のノウハウが詰まった書籍。
黎明期から6万戸の物件を成功へと導いた筆者が初心者〜中級者のオーナーへ贈る、目から鱗の投資書籍の決定版。
- 本書のポイントをご紹介
- 表面利回りのからくり
- NOI利回り算出方法
- 負動産を富動産にする方法
- 不動産投資を成功に導く7つの心得
- 管理会社の選び方