賃貸経営にとって長期的に空室を抱えるような事態は致命的であり、避けたいものです。
空室対策として何か良い手段はないものでしょうか。そこで考えたいのが、入居者のニーズに合わせた設備を加えることです。
入居者から便利に思われるような設備があれば、賃貸住宅の人気が高まり、入居率向上に結びつきます。
ここでは賃貸経営の成功のために知っておきたい、ターゲットに合わせた設備導入について解説していきます。
家賃が高くても入居したい!設備によって入居が決まる
話題となりました。多くの猫好きから支持を集め、入居待ちをしている人もいるようです。周辺エリアの相場より家賃が高いにも関わらず、常に満室になっている物件は存在します。
駅に近くて便利、治安が良いといった立地は大きな要因ですが、ターゲットや入居者ニーズに沿った設備が整っていることも入居率向上のポイントとなります。
似たような物件があった場合、住み心地が良いと思われる方を選ぶのは当然のことです。自分のライフスタイルに適した設備が整えられていれば、少々家賃が上がっても満足感が得られます。
最近ではキャットウォーク付きのペット可物件が家賃が高くても入居したい!と思わせる設備があれば、空室のリスクを解消できます。
単身者が必須と考える設備は?
例えば、同じ間取りであったとしても、単身層とファミリー層では必要な設備が異なります。
全国賃貸住宅新聞より発表されたアンケート調査「入居者に人気の設備ランキング」の2019年版、この設備があれば周辺相場より家賃が高くても決まるTOP10」によると、単身者が必須とする設備の上位には、次のようなものが並んでいます。
- 1位:インターネット無料(Wi-Fi、無線LAN)
- 2位:エントランスのオートロック
- 3位:宅配ボックス
- 4位:浴室換気乾燥機
- 5位:ホームセキュリティ
2019 入居者に人気の設備ランキング(全国賃貸住宅新聞)より
インターネット無料(Wi-Fi、無線LAN)
家でも調べものをする機会が多い学生などは、無料インターネットのある物件を最優先で探すようです。
個人契約をすると手続きが煩わしく、工事費がかかる場合もあるため、インターネット付きの物件は歓迎されます。

エントランスのオートロック
ひとり暮らしの安全性を確保する上で、「エントランスのオートロック」や「TVモニター付きインターホン」機能も必須とされています。
特に女性の場合には、家探しで挙げる条件に欠かせない項目と言えるでしょう。スマートフォンを始め、IoT家電の普及が目覚ましい現代では、インターネットが生活インフラとなってきています。



宅配ボックス
ネット通販の利用が増加している背景もあり、宅配ボックスのニーズが急激に伸びています。
配送時間内に帰宅できなくても荷物の受け取りが可能となり、セキュリティの観点からも支持されています。



浴室換気乾燥機
「浴室換気乾燥機」や「独立洗面台」、「洗浄機能付き便座」は、快適に生活をする上で必須とされる水回り設備です。
特に若い世代では生まれたときから洗浄便座で育っている場合が多く、独立するときにも水回りの設備の有無を重視する傾向にあります。
5位のホームセキュリティの他には、防犯カメラ、ウォークインクローゼット、システムキッチンなどが人気となっています。
女性入居者に人気の設備は?
キッチン
女性入居者の人気の設備としては、キッチン関連が目をひきます。2口以上のコンロやシステムキッチンなど充実した調理設備を、部屋を借りるときの選択肢として加える女性が多いようです。また、キッチンの蛇口はシングルレバーの混合水栓が、使い勝手が良く喜ばれます。
クローゼット
収納部分が狭くなりがちな賃貸物件では、クローゼットの有無も選ばれるポイントです。手持ちの衣類を効率的に収納できる設備は、入居率を高める大きな要素となります。加えて全身が映せるドアミラーなど、ちょっとした設備によって女性の支持が得られることもあります。
南向き・バルコニー
環境的な面では2階以上の南向きで、バルコニー付きといった物件が、女性入居者からは好まれます。
ペット可物件
ペット可物件へのニーズについては、男性よりも女性に多く見られます。



男性入居者に人気の設備は?
エアコン・追い炊き風呂・駐車場
男性に人気のある設備としては、エアコンや追い炊き風呂、駐車場などが挙げられます。
インターネット完備は男女ともにニーズがありますが、男性の方がより重視しています。
エアコン付きの部屋であることは男女とも必須要素ですが、こちらも男性の方がより重要視しているようです。エアコンは個人で設置すると工事費負担があるため、最初から設置されていることでお得感がアピールできます。



女性が景観や雰囲気の良さを部屋に求めるのに対し、男性はどちらかというと実用的な条件を上位に挙げる傾向が見られます。
追い炊き風呂は男性からのニーズが高いですが、女性の必要設備としては挙がっていません。一方で、収納能力に優れたクローゼットに関しては、男女とも高いニーズがあります。
また、駐車場の有無を選択条件とする男性入居者は多く、屋根付きスペースを数台分でも確保できれば、特に愛車にこだわりのある入居者の応募が殺到する可能性があります。
単身者世帯に人気が高まっている設備は?
宅配ボックス
単身者世帯でのニーズが今後も高くなっていきそうな設備としては、先にも挙がっていた宅配ボックスがあります。
最近の新築物件では珍しくなくなっていますが、築15年以上の賃貸物件では設置されていない設備のひとつです。在宅率の低い単身者層には、宅配ボックスの設置で通販が利用しやすくなるという利点があります。
後付けでも十分対応でき、あまり費用をかけずに設置できる設備ですが、入居率を高める効果はあります。



室内干しワイヤー・電子ロック
室内干しワイヤーや、電子ロックも比較的導入が容易で、単身者ニーズの高い設備です。
単身者でも毎日、少なくとも週に2~3回は洗濯をするという人が多く、部屋干しアイテムは必須とされています。しかし、ワンルームタイプの部屋では、意外とひっかかりが少なく、洗濯物を乾かすスペースがありません。
浴室乾燥機と併せて設置できればベストですが、予算的に難しい場合には適当な場所に室内干しワイヤーを設置すれば数千円程度の支出で済ませられます。
電子ロックはカギを用いずにドアの開閉ができるため、利便性が高く、またセキュリティにも役立ちます。
入居者が変わってもカギを変えたり、返却したりする必要がないというメリットもあります。帰宅のたびにカギを探す手間がなく、紛失のリスクもないので、単身者世帯からは大歓迎されそうです。
立地条件が悪い場合におすすめの設備
自動販売機
周辺にコンビニがないというのは、賃貸物件としてはかなりのマイナスです。こうした立地条件の悪さをカバーするためにおすすめなのが、自動販売機です。
最近はさまざまな物販が可能な自動販売機も登場しており、アイスクリームや缶詰など飲み物以外の種類も増えています。
設置の状況やエリアにもよりますが、インスタント食品やパン、お菓子が購入できる自動販売機を設置すれば入居者の利便性を高められます。
設置さえできれば不動産オーナーの負担もなく、販売が順調であれば、不労所得が入るという利点もあります。
近くに店がないからとあきらめていては、入居者は集められません。入居者の層に合わせて自動販売機の種類を検討し、設置の可能性を探っていきましょう。
まとめ
空室がなかなか埋まらないからといって、待つだけでは入居者を集めることができません。
多少立地が悪くても、設備を充実させ、空室を減らす工夫をしている賃貸経営者もいます。賃貸経営を順調に進めていくためには、常に入居者のニーズを知る努力が必要です。
大がかりな設備の導入は無理でも、予算内で物件の魅力を上げる設備の手掛かりが得られるかもしれません。必要とされる設備は、ターゲットとする入居者の層によって変わります。
空室リスクに頭を悩ませながら賃貸経営を続けるよりも、新しい施策を実行し、自らの手で危機を脱する方法を探るべきではないでしょうか。
また最近ではIoT賃貸住宅も注目されています。様々な事にアンテナを張って施策を選択していきましょう。






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