不動産投資を始める際、初期費用が少ないほど投資を始めやすいと考える方も多いかもしれません。
当然ながら物件価格によって初期費用は異なります。しかし、単に初期費用を抑えればいいというものではなく、不動産投資ローンの融資を受ける際の組み方やローン事務手数料、購入後の費用についても十分に理解しておく必要があります。
今回は初期費用を抑えるポイントと物件購入後の費用などについて分かりやすくまとめました。
不動産投資にかかる費用について確認のうえ、投資を検討するようにしましょう。
不動産投資の【初期費用】種類と金額の目安
不動産投資を検討するにあたって、初期費用にいくら掛かるのかが気になる方は多いと思います。初期費用にどんな種類の支出があり、いくらくらい掛かるのかが分かれば、不動産投資を始める計画も立てやすくなります。
ここでは、不動産投資で必要となる初期費用と物件を維持管理するのに必要な費用について分かりやすく紹介します。
不動産投資に必要な初期費用
不動産投資をするに当たり、初期費用として必要になる項目は次の8つです。
不動産投資ローンの事務手数料
ローンなど融資を受ける際にはローン事務手数料が必要です。定額の場合と借入額に対して定率で支払う場合があり、定額の場合は高くて10万円程度、定率だと1%程度であることが多くなります。
ローンの保証会社に支払う保証料については、金融機関側で費用負担する場合と借り主側で負担する場合とがありますが、金利に上乗せされる契約を選ぶことで初期費用は回避できます。
印紙税
印紙税は、不動産売買契約書とローンなど融資を受ける際の金銭消費貸借契約書の作成で必要になり、1,000万~5,000万円程度の物件なら合計3万円くらいの税額です。
登録免許税
登録免許税は、所有権移転登記に必要な費用で物件価格(不動産価額)の2%の税額です。
不動産投資ローンを組み、抵当権を設定する場合は、借入額の0.4%が登録免許税となります。
司法書士に対する報酬
登記手続きや抵当権の設定などを司法書士に依頼する報酬として、5万~10万円程度の初期費用が必要です。
不動産取得税
不動産取得税は、不動産を購入した際に掛かる税金です。固定資産税評価額に対して、4%の納税が必要です。
ただし、一定の要件を満たしていれば、軽減措置が受けられます。

不動産仲介手数料
仲介手数料は、中古物件を購入する際、不動産仲介会社に支払う報酬です。
物件価格400万円超の物件の場合は、3%+6万円を上限に不動産仲介会社が決めた金額を支払います。
火災保険料
火災保険は、火災による家屋の損害だけでなく、台風や豪雨などの自然災害や盗難などに備えて加入する保険です。
火災保険料として1~2万円程度の金額が初期費用として発生し、損害保険会社に支払うことになります。
地震保険料
地震保険は、地震や噴火などに起因する家屋の損害に備えて加入する保険です。損害保険会社に支払う地震保険の保険料は、火災保険と同じく1~2万円程度が目安となります。
火災保険の特約として加入できる場合もあります。






初期費用以外に必要な維持管理費
初期費用以外に必要となる維持管理費には、管理費と修繕費、光熱費などがあります。
管理費
管理費は、賃貸アパートなどの経営で必要となる管理業務を委託する際の費用です。
家賃の入金管理や入居者への対応、共有スペースの清掃や消防設備の点検などを行います。
オーナー自らが管理を行う場合もありますが、一般には管理委託業者に管理費として家賃の3~5%程度の金額を支払い、管理業務の委託をしています。



修繕費
修繕費は、大規模修繕と原状回復にかかる費用のことです。建物の外壁や屋根のメンテナンスなどが大規模修繕に該当します。
原状回復は、入居者が退去した後に必要となる修繕で、経年劣化によるものをオーナーが費用負担します。
クロスやクッションフロアの張り替えでは、それぞれ1戸あたり5万円程度の費用がかかります。



光熱費等
光熱費等には共有部分の電気代や清掃にかかる水道料金などがあります。
入居者から共益費として受け取ることが一般的ですが、維持管理費の一部として見込んでおきましょう。建物の規模により数千円~数万円の費用が発生します。
初期費用以外に毎年支払う必要がある税金
初期費用以外で必要な費用は、固定資産税と都市計画税です。
固定資産税
固定資産税額は、物件がある市区町村により異なる場合がありますが、
- 「課税標準額×税率(1.4%)」
で求めます。
都市計画税
同様に都市計画税は、
- 「課税標準額×税率(0.3%)」
で計算します。
一般的に課税標準額は土地の評価額と同額となりますが、特例措置や調整措置が適用されると、評価額よりも課税標準額のほうが低くなります。
初期費用を抑えるためのポイント
不動産投資で初期費用を抑えるためには、住宅設備修繕の必要がない物件を選び、交渉・選択次第で下げられる費用を把握しておくことが重要です。
ここでは、4つの初期費用を抑えるポイントについて解説します。
設備の整った中古物件を購入する
まず不動産を購入後、集客のために設備を整えることになる物件は、想定外の初期費用が掛かることがあります。
賃貸物件の借り手が見つかりやすい宅配ボックス(集合住宅の場合)や浴室換気乾燥機、エアコンなどがある物件を選んでおけば、後から購入しなくて済みます。
また、浴室やキッチン、トイレなどの水回りが古くなり過ぎていると、近い将来、リフォームが必要になることもあります。
しばらくの間、住宅設備の更新が必要ない物件を選んでおけば、急な出費に慌てることがなくなります。
安く購入できる中古物件もありますが、修繕費などが必要な場合は思わぬ高額出費が生じかねないため、購入後の費用も意識して慎重に選ぶのがおすすめです。
仲介手数料が低い物件を購入する
不動産仲介会社に支払う仲介手数料は、法律で上限額が決められているだけで、交渉できる費用です。
物件価格が400万円を超えているときは、消費税を除く「物件価格(売買代金)の3%+6万円+消費税」が上限額となります。
例えば、1000万円の物件なら、売主と買主の双方から合計「72万円+消費税」を上限に仲介手数料が決められるということです。
不動産仲介会社によっては、上限額の半額で契約できると宣伝していることも珍しくありません。
しっかりと仕事をしてくれることを前提に仲介手数料が安い不動産仲介会社を選びましょう。少し交渉をしてみると値下げに応じてくれるケースもあるようです。
登記費用は司法書士との交渉で抑える
司法書士に代理で行ってもらうことが多い登記申請ですが、その際司法書士へ支払う登記費用を抑えることもできます。
登記費用はどこも一緒と考えている方もいますが、登記費用には司法書士への報酬も含まれているからです。
司法書士介入のうえで不動産投資ローンを組む場合、金融機関に報酬額が安い司法書士を紹介してもらったり、司法書士に報酬について交渉したりすることで、登記費用が安くなる場合もあります。
必ず安くできるものではありませんが、試してみる価値はあるでしょう。
保険は複数社で比較して決める
物件の保険を自分で選べるときは、複数の保険会社から見積もりを取り寄せることで初期費用を抑えられます。
インターネットで複数の保険会社から見積もりを受け取れるサービスもありますので、そこまで労力もかからないでしょう。
自ら保険を比較すると、費用が抑えられるだけでなく、火災保険に関する知識も得られます。
その過程で、自分が必要とする補償内容は何なのか、適した特約は何かといったことが分かってくるでしょう。
たとえば、火災保険に不動産投資に適している家賃収入特約や施設賠償責任特約などを付けることも可能なので、自分の投資スタイルに合った内容にカスタマイズできます。
フルローン・オーバーローンはやめた方がいい?
フルローンやオーバーローンで不動産投資を始める方がいますが、一般的に不動産投資の自己資金は投資額の20%〜30%程度が理想的と言われています。
自己資金ゼロから投資できると宣伝しているものもありますが、少なくとも30%の自己資金は用意しておくことをおすすめします。以下で詳しく解説します。
金融機関のフルローン・オーバーローンについて
フルローンというのは、物件の購入資金の全額を不動産投資ローンで借入れすることです。
一見すると、自己資金が手元に残り、将来の支出に備えられる印象を受けますが、借入れの割合が大きくなるほど投資収益が悪化するデメリットは大きくなります。
また、オーバーローンは、購入する物件の価格を上回る借入額でローンを組むことです。
不動産仲介会社などがオーバーローンでの融資を提案してくることもあるようですが、金融機関側からすると明らかな契約違反になり、違約金の請求や一括返済を求められるリスクがあるだけです。
さらに、フルローン以上に投資の収益性が悪くなってしまうデメリットもあります。
フルローンやオーバーローンでなければ投資出来ないという状況なら、投資を始めるタイミングは少し先延ばしにする方がよいでしょう。
オーバーローンは危険性が高い
オーバーローンで融資元の金融機関から一括返済を求められるリスクがあると説明しましたが、それだけではありません。
オーバーローンは、基本的に金融機関を欺いてお金を出させる行為なので、民法と刑法における詐欺に該当することがあります。
刑法上では、相手を欺いて金品を受け取ろうとしたときに詐欺罪の未遂が成立し(刑法第43条)、金品を受け取ると詐欺罪が成立します(刑法第246条)[注1]。民法では、相手を欺いて金品を受け取ったときに違法行為となり、過去に行った意思表示を取り消せるようになります(民法第96条)。[注2]
金融機関側に悪質だと看做されると、刑事罰や損害賠償請求が必要となることもあります。リスクの大きいオーバーローンは避けて他の方法を検討しましょう。



不動産投資の費用についての注意点
初期費用だけでなく経営コストを見据えて資金を集める
不動産投資をする際は、初期費用だけでなく、物件を購入してからの費用も考えてから始める必要があります。
物件購入後に考えられる費用とリスクには、次のようなものがあります。
物件の修繕費用
たとえば、給湯器やフローリング、水回りなどの修理・交換費用のことです。
他にも入退去に伴って必要になるクリーニング代やマンションのエレベーターの保守費用、戸建て住宅の外壁や屋根の修理などが必要になることがあります。
管理会社に管理を委託する場合には、管理会社との管理費用の折衝も有効です。
資産価値下落のリスク
建物の老朽化や入居者の自殺、大学や企業の移転、災害などの理由で、物件の資産価値が大幅に下がることがあります。
とくに自殺による心理的訳有物件になってしまうと、入居者を見つけるのが困難になります。万が一のために数カ月分の備えは準備しておきましょう。
表面利回りが高すぎる物件には注意する
高い投資の利回りには魅力を感じるかもしれませんが、利回りは高くなる程ハイリスクハイリターンの物件といえます。
東京都内のアパートやマンション経営なら新築で3~5%程度の利回り、中古だと5〜7%位が相場です。
あまりに利回りが高すぎる物件には、必ず何らかの理由があります。その理由が分からないまま購入するのは危険なので、十分に注意する必要があります。
維持管理費は上昇していく
購入した物件の維持管理費は、上昇していくものと考えてください。物件が古くなる程、住宅設備の更新が必要になりますし、入居者も見つけにくくなります。
ある程度の維持管理のための資金を用意しておかないと、不動産投資ローンの返済や住宅設備の取り換えができなくなってしまいます。
不動産投資は、このようなリスクもしっかりと理解したうえで、余裕をもって始めましょう。
まとめ
物件価格により初期費用は異なりますが、不動産投資で初期費用を抑えるには、不動産仲介会社や司法書士に支払う費用を交渉してみるといいでしょう。
しかし、不動産投資を事業として捉えた場合は、さらに物件購入後の費用についても理解しておく必要があります。
修繕費、万が一の出費などに備えて資金を準備しておきましょう。
また、物件を選ぶ際は、利回りが高すぎるものに注意し、できる限りフルローンやオーバーローンでローンを組まないことが大切です。
とくにオーバーローンは、契約違反で一括返済が求められると、借金だけが残るという事態を招きます。不動産仲介会社が提案してきたとしても、安易に話に乗らないように気をつけましょう。
不動産投資で大切なのは、物件の購入から将来にわたって安全に所有し続けることが可能か、という視点です。
分からない点があれば勉強も必要になりますし、それなりの自己資金も用意する必要があります。







- ・ちゃんと管理してくれているのかよくわからない
- ・毎月の管理手数料が腑に落ちない
- ・担当者がイマイチ冴えない
- ・空室が長期化して困っている
- ・入居者が長く住んでくれない
- ・経営に関しての最適な提案がない
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