不動産投資をはじめたいが自己資金が少ないという場合、金融機関から不動産投資ローンを借り入れることになります。
不動産投資ローンを組む場合、ローンの組み方やローンを利用するメリット・デメリット、どの金融機関を選べばいいのかなど、事前に知っておくべき情報がいくつかあります。
今回は、不動産投資ローンを利用する人が失敗しないため、知っておくべきポイントを整理しました。
これから不動産投資をはじめる方はぜひ参考にしてみてください。
目次
不動産投資ローンとは?申請手続きの流れやメリット・デメリット
まずは不動産投資ローンを利用するにあたって、知っておくべき基本知識をご紹介します。
不動産投資ローンと住宅ローンの違いや、申請手続きの流れ、ローンを利用するメリット・デメリットなど、ひとつずつ解説します。
不動産投資ローンと住宅ローンの違いは投資目的かどうか
不動産投資ローンとは、賃貸経営を目的として借り入れを行うローンのことです。居住用の物件を購入するための住宅ローンとは異なります。
不動産投資ローンと住宅ローンには下記のような相違点があります。
融資額
不動産投資ローン | 住宅ローン |
年収のおよそ10倍から20倍 | 年収のおよそ5倍から8倍 |
金利
不動産投資ローン | 住宅ローン |
およそ年1.5%~年4.5% | およそ年0.5%~年2.0% |
返済原資
不動産投資ローン | 住宅ローン |
家賃収入 | 給与収入 |
審査
不動産投資ローン | 住宅ローン |
個人の返済能力と物件の収益性 | 個人の返済能力のみ |
住宅ローンと比べ、不動産投資ローンは融資額も金利も大きくなります。そのかわり、ローンの返済原資として毎月の家賃収入を当てることが可能です。
また、投資目的であるという性質上、不動産投資ローンの融資条件は厳しく、銀行の審査では個人の返済能力に加え、賃貸物件の収益性も調査されます。
不動産投資ローンを申し込む5つのステップ
不動産投資ローンを申し込む際は、以下の5つのステップが必要です。
審査
1. 申請準備 |
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2. 申請手続き |
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3. 融資審査 |
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4. 融資決定通知 |
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5. 融資手続き |
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申請手続きに必要な書類は金融機関によって異なりますが、以下の5点は必要です。申請前に余裕を持って準備しておきましょう。
- 不動産登記簿謄本
- 源泉徴収票か確定申告書
- 本人確認書類
- 印鑑証明書
- 住民票
不動産投資ローンのメリットは自己資金の少なさをカバーできる点
不動産投資ローンでは、年収のおよそ10倍から20倍まで融資が受けられます。
そのため、自己資金が少ない場合でもローンで補えるのがメリットです。
自己資金が貯まるまで待つ必要がなく、収益性の高い物件が見つかれば、スピーディーに不動産投資をはじめられます。
不動産投資ローンの返済原資には家賃収入をあてることができるため、賃貸経営しながらローンを返済できるのです。
不動産投資ローンのデメリットはローンの返済リスクがある点
一方、不動産投資ローンで多額の借り入れを行った場合、返済リスクも高くなります。不動産投資ローンの返済原資は家賃収入です。
もしも空室状態が慢性的につづくと、家賃収入が得られず、返済が滞る可能性があります。
また、物件を手放すことになった場合、売却損が発生してローンの残債が残るおそれがあります。アパートやマンションの資産価値は、経年劣化にともなって下落するからです。
不動産投資ローンを行うおすすめの金融機関3種類
不動産投資ローンを借りるなら、地方銀行・都市銀行・日本政策金融公庫の3種類がおすすめです。
不動産投資ローンを選ぶ際の基準として、各銀行の特徴のほか、金利、融資額、借入期間などの基本情報を整理します。
なお、融資が受けられる難易度は金利の相場と連動している点に注意が必要です。
つまり、メガバンク<日本政策金融公庫<地方銀行・信用金庫<ノンバンクの順に金利が高くなるのですが、同時に金利が高くなればなるほど融資が受けやすい傾向にあるということです。
審査はゆるいが金利が高い地方銀行の不動産投資ローン
地方銀行の不動産投資ローンは、審査基準が比較的ゆるく、年収や自己資金の金額といった個人の属性もそれほどチェックされません。
ただし、メガバンクなどと比べて金利は高めに設定されています。地方銀行の場合、不動産投資ローンの金利の相場は、3.3%から4.5%ほどです。
また、地方密着型の金融機関であるため、原則として同じ都道府県内でしか融資が受けられません。
金利 | 高い |
融資額 | 大きな融資も対応可 |
借入期間 | 最大35年までと長い |
審査は厳しいが金利が安い都市銀行の不動産投資ローン
都市銀行はメガバンクとも呼ばれ、全国各地で融資を受けられる金融機関です。三菱東京UFJ銀行、みずほ銀行、三井住友銀行の3行が存在します。
地方銀行と比べて金利は大幅に優遇されており、おおむね1%前後が相場です。ただし、融資評価基準は厳しい傾向にあります。
年収が1,000万円以上、上場企業の役員や社員、自己資金が豊富、といった個人の属性もチェックされます。
借入期間は地方銀行と同様、最大35年までです。
金利 | 低い |
融資額 | 大きな融資も対応可 |
借入期間 | 最大35年までと長い |
金利は安いが借入期間が短い日本政策金融公庫の不動産投資ローン
日本政策金融公庫とは、財務省所管の政府系金融機関です。
小規模な事業者向けに融資を行う目的で設立され、不動産投資がしたい人へ低金利で融資をしています。金利は優遇されており、1.2~1.9%程度に固定されています。
また、年収や自己資金など属性のチェックがゆるく、融資が受けやすいのも特徴です。
ただし、借入期間は最大15年と短く、融資額の上限も低く設定されています。
金利 | 低い |
融資額 | 少ない |
借入期間 | 10年から15年ほどと短い |
金融機関から有利な条件で融資を受けるための4つの条件
金融機関から有利な条件で融資を受けるには、4つの条件を満たす必要があります。
まずは住宅ローンの審査と同様、個人の返済能力が求められます。不動産投資ローンの場合は、賃貸物件の収益性もチェックされる点に要注意です。
年収が400万円~500万円以上あること
個人の返済能力を審査する上で、重視されるのはやはり年収です。
目安としては、年収が400万円~500万円ほどあれば、融資を受けられるケースがほとんどです。
都市銀行(メガバンク)で金利優遇を受けたい場合は、年収1,000万円以上が目安になります。
注意するべきことは、年収が基準に満たない場合は融資が受けられず、事前審査で落ちてしまう可能性です。
とはいえ、低金利政策が継続中であり、金融機関側が条件を引き下げているため、年収の基準は年々低下しつつあります。
自己資金を豊富に用意できる
賃貸物件の取得価格に対し自己資金の割合を増やすことでも、金融機関の信用度を上げることができます。
借入額が少なくなり、金融機関側のリスクが減じられるからです。
借り入れの条件として、物件価格の1割から2割ほどの頭金を金融機関が求めるケースも存在します。
フルローンという選択肢もありますが、不動産投資ローンを申し込む際はある程度まとまった自己資金があると安心です。
頭金のほかにも、不動産投資ローンの事務手数料、登記の移転費用、不動産仲介会社への仲介手数料など、さまざまな諸経費がかかるからです。
物件の実質利回りが高い
不動産投資ローンの審査では、個人の返済能力だけでなく、賃貸物件の収益性もチェックされます。
住宅ローンと異なり、不動産投資ローンの返済原資は家賃収入だからです。
賃貸物件の収益性が高いと評価されるほど、金融機関側のリスクが少なくなるため、審査に通りやすくなります。
ただし、収益性の評価は表面利回りではなく実質利回りである点に注意が必要です。
年間の家賃収入から、管理費、損害保険料、固定資産税などの必要経費を差し引き、物件の取得価格で割ることで実質利回りを算出します。
築年数が古いなどランニングコストがかかる物件では、実質利回りが低くなり、高評価が得られにくくなります。
物件の担保力が高い
不動産投資ローンの審査では、賃貸物件の収益性に加えて、物件の担保力もチェックされます。
金融機関は融資を行う際、賃貸物件に対して抵当権を設定します。
なんらかの事情で不動産投資ローンの返済ができなくなった場合、賃貸物件を売却し、ローンの残債を補填するためです。
そのため、万が一の際の担保力が高い物件は高評価が得られ、ローンの審査に通りやすくなります。
賃貸物件の担保力は、土地の資産価値と建物の資産価値を合計することで求められる「積算価格」で評価します。
土地の資産価値は、公示地価や路線価、固定資産税評価額などを総合的に評価して算出されるものです。
将来的に値上がりしそうな土地であれば、地価の上昇もふくめて担保力が評価されます。
一方、建物の資産価値は、建物の再取得に必要な再調達価格と、延べ床面積の広さによって求められます。
一般的に新築の物件の方が中古の物件よりも担保力が高い傾向にあります。
また、建物の構造の面でも、鉄筋コンクリート造など耐用年数の長い賃貸物件の方が、担保力が高く評価されます。
不動産投資ローンで重視される「属性」とは
不動産投資ローンで属性が重視されることを知っていても、属性とはなにかよくわからない方も少なくありません。
ここでは属性の定義のほか、属性を判断する代表的な項目、融資審査における属性の影響力を解説します。
属性とは融資の際に金融機関の判断基準となるもの
不動産投資ローンにおける属性とは、融資を受ける人物の返済能力を判断するための情報という意味です。
不動産投資では、金融機関は数千万円の融資を行うことになるため、大きなリスクを負います。
そのため、さまざまな項目をもとに融資希望者の属性を判断し、融資の可否や融資額を決定しています。
属性を判断する代表的な7つの項目
融資希望者の属性を判断する項目として、代表的なものは7点あります。
融資を行う金融機関が知りたいのは、貸付金がきちんと返済されるか、どの程度まで貸付してよいか、といった点です。
したがって、融資希望者に長く安定した収入があるか、ローンを返済する上でリスクがないか、という点が調査の対象です。
たとえば、融資希望者の勤務先の情報や直近3年間の年収、信用情報などが重視されます。
下記にわかりやすく表でまとめています。
個人を識別できる情報 |
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勤務先の情報 |
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住居の情報 |
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家族構成 |
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連帯保証人の有無 |
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直近3年間の年収 |
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信用情報 |
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属性が評価されると融資額と金利が優遇される
融資希望者の属性は、融資の可否そのもののほか、融資額や金利にも影響します。
まず、融資額については、属性がよい評価を受けるほど上限が高くなります。
融資額の上限が高いと一棟マンションやアパートなど、高額な物件も購入可能です。
逆に属性が評価されづらい場合は、ワンルームマンションのような自己資金が少なくてもはじめられる不動産投資が選択肢になります。
また、属性が高い評価を受けると、金利において優遇が受けられる点も重要です。
とくにメガバンクでは、きびしい審査基準をクリアできれば、1%前後の低金利で融資を受けることも可能です。
借入期間が長ければ長いほど、年利が1%違うだけでも大きな差が生まれます。
たとえば、金融機関から15年間の返済期間で5,000万円の融資を受けたと仮定すると、年利が2%の場合と3%の場合では、最終的な支払い総額におよそ423万円もの差が発生します。
まとめ
今回は、不動産投資ローンを借りるにあたって、知っておくべきポイントを解説しました。
不動産投資ローンは融資額が大きく、自己資金の少なさをカバーできるというメリットがありますが、そのかわり返済リスクも増大する点に注意が必要です。
不動産投資ローンを利用できる金融機関には、地方銀行、都市銀行、日本政策金融公庫などがあります。
金利の安さと融資の受けやすさは連動しており、金利が安いほど審査基準が厳しくなることを知っておきましょう。
不動産投資ローンで金利や融資額の優遇を受けるには、融資希望者の属性が重要です。
直近3年間の年収や、勤務先の勤続年数、信用情報など、安定した収入があることをアピールできれば、金融機関の信頼を得られます。

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