不動産投資を始める際のシミュレーション方法を徹底解説

不動産投資を始める際のシミュレーション方法を徹底解説

不動産投資をはじめるなら、事前のシミュレーションが必須です。

しかし、シミュレーションにはIRR(内部収益率)、CF(キャッシュフロー)など聞いたことのない言葉が多く、困惑してしまう方も少なくありません。

また、数字やデータを用いて正確にシミュレーションするには、適切なシミュレーションの方法を選ぶ必要があります。

そこで今回は、不動産投資のシミュレーション方法や注意点を解説にします。これから不動産投資をはじめる方はぜひ参考にしてください。

不動産投資のシミュレーションが必須の理由

不動産投資には、多くの数字やデータが関係しています。

不動産投資で成功するためには、数字やデータを使ってシミュレーションを行い、なるべく不確実性を排除することが大切です。

不動産投資をシミュレーションすることで、万が一のリスクに対処し、適切なタイミングで出口戦略をとれるようになります。

万が一の損失にも余裕を持って対応できる

不動産を長期的に保有していると、外的要因によって損失が出てしまう局面が存在します。

たとえば、下記のような不動産投資のリスクがあります。

  • 空室が生じるリスク
  • 金利が上昇するリスク
  • 自然災害に遭うリスク
  • 家賃や物件価格が下落するリスク
  • 不動産管理会社が倒産するリスク

外的要因による損失もシミュレーションに含めることで、想定外の出費に対する余裕を持たせ、万が一の事態に備えた経営計画を立てられます。

たとえば、ローンの返済計画を建てる際は、あらかじめ金利の上昇リスクをシミュレーションに加えておくと、返済総額の増加に対処できます。

家賃・物件価格の下落リスクなどの要素も、キャッシュフローを計算する際に役立つでしょう。

売却タイミングを把握して出口戦略を立てられる

不動産投資のシミュレーションをすると、売却時に利益を最大化できるタイミング(=出口戦略)が分かります。

物件を長期保有していると、建物の経年劣化による資産価値の減少や、築年数の増加による家賃収入の低下などのリスクを抱えます。

これらの要素を事前にシミュレーションすることで、売却して利益確定を行う最適なタイミングが想定できるのです。

不動産投資のシミュレーション方法と注意点

ここでは、不動産投資のシミュレーションを行う際の方法や注意点を解説します。

賃料や物件価格などの具体的な数字を用いて解説しているため、購入予定の物件のデータに合わせて、ぜひシミュレーションをしてみてください。

不動産投資の収支・ローンシミュレーション方法

不動産投資のシミュレーションには、下記の4つのステップが必要です。

  • 家賃収入と必要経費を計算する
  • ローン返済額を計算する
  • 毎月の収支を計算する
  • 長期的な収支を計算する

まず、不動産管理会社から貸借条件一覧表をもらうなどして、購入予定の物件のデータを集めます。

賃料のほか、管理費や修繕積立金などの必要経費の金額が必要です。

ここでは、賃料を8万円、必要経費を1万4,000円、賃貸物件の取得価格は2,000万円としてシミュレーションを行います。

次は毎月のローン返済額を計算します。融資額、返済回数、月利の3つのデータが必要なため、融資を受ける予定の金融機関のデータを集めましょう。

毎月のローン返済額の計算式は、

  • 「借入額×{月利(1+月利)^返済回数/(1+月利)^返済回数-1}」

です。

月利の数値は、年利を12ヶ月で割ると算出できます。

たとえば、借入額が1,600万円、返済回数が360回(30年)、月利が0,133…%(年利1.6%)と仮定すると、毎月の返済額は約5万6,000円となります。

毎月の収支は、家賃収入から必要経費とローン返済額を差し引くと求められます。

今回のシミュレーションでは賃料を8万円とし、必要経費を1万4,000円、ローン返済額を5万6,000円としているため、賃料から7万円を差し引き、毎月のキャッシュフローが1万円だとわかります。

実際は物件購入時の諸費用や、所得税や住民税などの税金がかかるため、数字に余裕を見ておくことが必要です。

最後に長期的な収支を計算します。

重要なのは賃料の下落を考慮する点です。築年数が増加するにつれて、賃料は平均して毎年1%ほど下落します。

初年度の賃料収入が8万円だと、25年後には6万2,226円まで逓減します。賃料は築25年を目処に下げ止まるため、以降は6万2,226円が賃料収入となります。

この下落分を加味してもなお、キャッシュフローが生まれるかをチェックしましょう。

シミュレーションツールを活用する際は損失リスクも考慮する

不動産投資をシミュレーションする際にツールを活用すれば、自分で計算する必要がないため、迅速かつ正確に行えます。

しかし、ツールを活用する際は、リスクの想定が漏れていないかを確かめましょう。

たとえば、家賃の下落リスクのほかにも、金利の上昇リスクや空室リスクの考慮が必要です。

金利の上昇リスクは、年利を1%〜2%増やした上で、キャッシュフローが生じるかどうかでチェックできます。

空室リスクの場合は、満室時の賃料から10%~20%ほど差し引いた上で、キャッシュフローに余裕があるかを確かめられます。

不動産投資のIRR(内部収益率)の算出方法や目安について

不動産投資の成功ラインを見定めるには、IRR(内部収益率)という指標が役立ちます。

表面利回りや実質利回りなどと異なり、一般的に普及している指標ではありませんが、不動産投資の実態に即した投資評価基準です。

ここでは、IRRの考え方や算出方法のほか、不動産投資における目安を解説します。

不動産投資のIRR(内部収益率)とは全期間の利回りの平均

IRRはInternal Rate of Returnの略語で、「内部収益率」と呼ばれるのが一般的です。

投資評価基準としてのIRRの強みは、時間経過と複利計算を考慮し、不動産を所有している全期間の利回りの平均が分かる点です。

仮に利回りが5%の物件を20年間保有していた場合、全期間の利回りを100%とするのは正確ではありません。

収益が出れば翌年度以降に複利運用できるため、初年度の利益と10年後、20年後の利益には大きな違いが発生するからです。

IRRは、「現在価値」と「割引率」という2つの言葉で表現されます。

現在価値とは、5年後や10年後の資産価値を、現在時点の資産価値に置き換えた数値のことです。

その際の割戻し率のことを割引率と呼びます。

つまりIRRとは、全期間にわたって不動産投資で得られるキャッシュフローの現在価値の合計を、不動産投資に要した投資額で割り戻す際の割引率によって表現されます。

IRR(内部収益率)の算出方法とExcelの活用法

IRRを計算で求める場合の数式は下記の通りです。

必要なのは物件の取得などに要した初期投資額と、保有している全期間のキャッシュフローです。

投資額とキャッシュフローの合計が等しくなるよう、IRRを方程式で求めます。

  • 投資額={1年目のキャッシュフロー ÷(1+IRR)}+{2年目のキャッシュフロー÷(1+IRR)の数字の二乗}+…+{X年目のキャッシュフロー÷(1+IRR)のX乗}

下記のExcel関数を用いることで、簡単にIRRを求めることもできます。

  • IRR関数:=IRR(範囲1:範囲2)

範囲指定する最初のセルには、初期投資額を入力します。

以降は毎年のキャッシュフローを入力していき、範囲全体をIRR関数に代入します。

Excelに投資額と毎年のキャッシュフローを書き出すだけでよく、非常に便利な方法です。

IRR(内部収益率)の目安は5%程度

不動産投資で成功するIRRの目安は一般的に5%程度です。

仮に物件を10年間保有しつづけた場合、売却時に投資額の50%の利益が得られる計算になります。

たとえば、物件を3,000万円で購入し、10年後に2,500万円で売却するとします。

初年度の利回りは8%、家賃の下落などによりキャッシュフローが毎年4%ずつ減少していくものとします。

この条件の場合、保有期間10年のIRRはおよそ5.2%と不動産投資の成功の最低ラインであり、10年後に売却するのが最適なタイミングだとわかります。

このように、IRRを正確に求めることで、出口戦略のタイミングも計算できます。

IRRは表面利回りよりも不動産投資の実態に即した投資評価基準です。

上記のシミュレーションの場合、表面利回りだけでは、毎年のキャッシュフローの減少というリスクに対応できません。

また、不動産の資産価値の減少に伴い、売却という出口戦略をいつとるかも判断できません。

ExcelのIRR関数を活用するなどして、自分自身で所有する物件のIRRを計算してみましょう。

不動産投資のCF(キャッシュフロー)の計算方法や目安

不動産投資におけるCF(キャッシュフロー)とは、手元に残るお金のことを意味します。

毎年のキャッシュフローを計算し、緻密な年表を作成することで、経営状態を視覚化し、出口戦略に着手するタイミングを理解できます。

ここでは、キャッシュフローの計算方法や、毎年の支出を抑える方法を解説します。

不動産投資のキャッシュフロー表とは毎年の損益の一覧表

キャッシュフロー表とは、不動産投資における毎年の損益を項目ごとに一覧表にまとめたものです。

家賃収入、ローン返済額、諸経費など、損益に関わる要素をすべて書き出すため、キャッシュフローを視覚的にわかりやすく表現でき、デフォルトを回避しやすくなります。

また、不動産投資における損益分岐点がわかるため、出口戦略に着手するべきタイミングを知ることができます。

不動産投資の最低限の目的は、物件の売却価格によって、不動産投資ローンの残債を補填することです。

不動産市場の状況によっては、売却益によるキャピタルゲインも狙います。

月々の家賃収入や支出を計算し、緻密にキャッシュフロー表を作成することで、出口戦略までのシミュレーションができます。

不動産投資のキャッシュフローを計算する方法

キャッシュフローの計算でポイントになるのは、家賃収入、ローン返済額、諸経費の3点です。計算式は次のように求められます。

  • キャッシュフロー=家賃収入-ローン返済額-諸経費

毎年の家賃収入からローン返済額と諸経費の2点を差し引いたものが毎年のキャッシュフローです。

ローン返済額については、融資額、返済回数、利率の3つのデータを用意し、自分でシミュレーションを行う必要があります。

キャッシュフローを計算する際の諸経費としては、次のようなものが代表的です。

  • 管理委託費
  • 水道光熱費
  • 修繕費
  • 原状回復費
  • 租税公課
  • 損害保険料
  • 減価償却費

返済比率の目安や返済比率を下げる方法

キャッシュフローは、家賃収入からローン返済額と経費の2点を差し引いて計算します。

キャッシュフローを大きくするためには、ローン返済額や諸経費の割合を減らすことが大切です。

家賃収入に対するローン返済額の割合のことを「返済比率」と呼びます。

計算式は下記の通りです。

  • 返済比率=ローン返済額/月 ÷ 家賃収入額/月

不動産投資における返済比率の目安は、区分(ワンルーム)マンションであれば40%、中古や新築の一棟マンションでも40%~50%が安全圏です。

とくにワンルームマンションは一部屋しかないため、慢性的に空室が生まれればキャッシュフローが悪化します。

そのため、返済比率は低く抑える必要があります。

返済比率を下げるためには、自己資金を多く用意する方法や、金融機関に金利の引き下げを依頼する方法が代表的です。

自己資金を多く投入すれば、その分借入額を小さくできます。

変動利率で不動産投資ローンを組んでいる場合は、金融機関に引き下げ交渉を行い、金利を下げられる可能性があります。

金利が1%高いだけでも総返済額は大きく異なるため、なるべく相談してみましょう。

不動産投資にかかる経費率の目安や計算方法

ローンの返済額と同様にして、諸経費を減らすことも大切です。

家賃収入に対する諸経費の割合のことを「経費率」と呼びます。

経費率については、単純に経費の金額を家賃収入で割って算出できます。不動産投資における経費率の目安は、一般的に家賃収入の10%から30%程度です。

諸経費のなかでも、固定資産税などの租税公課や、水道光熱費、損害保険料などは、ほとんど変動しない項目です。

経費率をコントロールする場合は、修繕費と原状回復費の2点が重要です。

家賃収入に占める割合も大きいため、セルフリフォームや業者への直接発注などで節約すると、高い効果が得られます。

まとめ

今回は、不動産投資をはじめる際のシミュレーション方法や注意点を解説しました。

事前にシミュレーションを行うと、万が一の際に備えてキャッシュフローに余裕をもたせたり、適切な売却タイミングを選んで出口戦略を行ったりできます。

不動産投資のシミュレーションをする際は、毎月の収支だけでなく、家賃の下落リスク、空室リスクなどを含んだ長期的な収支も重要です。

不動産投資の実態に即した投資評価基準として、IRR(内部収益率)が存在します。

毎年のキャッシュフローを積み上げた全期間の平均利回りを求められるため、表面利回りよりも重要な指標です。

キャッシュフローを増加させ、IRRを高めるには、投資額に対して返済比率や経費率を下げる必要があります。

ABOUT ME
フドシル専属監修者 東
フドシル専属監修者 東
株式会社TonTon 不動産管理課 マネージャー。 2017年、不動産管理事業の立ち上げから1年半で650戸を新規受託。 リーシング、入居者対応、トラブル対応、リフォーム、保険対応、キャッシュフロー見直しなどあらゆる業務をこなす。 自身も不動産オーナーとして日々奮闘中。 2018年、賃貸不動産経営管理士試験合格。
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