アパートやマンション経営をしていると、空室が出たり、それにともなう賃料の値下げに直面したりと、さまざまな問題が出てきます。
そのため、多くの賃貸経営オーナーは空室対策の一環として設備投資を検討しますが、具体的にどんな設備に投資したら良いのか。そもそも設備投資が空室対策につながるのかどうかなど、疑問を感じている方も少なくありません。
そこで今回はアパート経営・マンション経営における設備投資の必要性や、空室対策に役立つ設備投資のポイントについてまとめてみました。
目次
賃貸アパート・マンション経営に設備投資が必要な3つの理由
そもそもなぜアパートやマンション経営に設備投資が必要なのか、その理由を大きく3つのポイントに分けて説明します。
空室リスクを減らせる
よほどの好立地でなければ長期間にわたって常時満室というケースはめずらしく、特に同じような条件の賃貸マンション・アパートが周辺にある場合、入居者が分散して空室リスクが大きくなりやすい傾向にあります。
設備投資を行うと、以前より快適性・利便性がアップするため、周辺の賃貸アパート・マンションとの差別化を図ることが可能。
設備が充実している賃貸マンション・アパートはそれだけで付加価値がつき、借り手の印象も良くなります。
賃料の値下げを防げる
経年劣化が進んできた賃貸マンション・アパートは築年数が浅い物件に比べて見劣りするため、賃料を下げてアピールしようと考えるオーナーは少なくありません。
しかし、一度賃料を下げてしまうと再び値上げするのは難しいですし、何より家賃収入が減ってしまうため、賃貸経営自体が厳しくなってしまうおそれがあります。
設備投資の場合、一時的に費用はかかりますが、生活環境が充実すれば入居者の満足度が高くなるため、賃料を値下げせずに済みます。
設備投資の費用は経費として計上できる

賃貸経営用のマンションやアパートに設備投資した場合、その費用は必要経費として計上できます。
経費を計上すると事業所得が縮小され、所得税や住民税といった税金を節約することができます。
設備投資を成功させる3つのポイント
賃貸経営を成功させるには設備投資を行うのがおすすめと説明しましたが、やみくもに設備投資をしてもコストがかかるばかりで効率的ではありません。
設備投資が原因で赤字経営になってしまっては本末転倒ですので、成功させるためのポイントをしっかり押さえてから実行に移りましょう。
地域性に合わせた設備を導入する
効率の良い設備投資を行うには、入居者ニーズに合致した設備を厳選する必要があります。
それには物件のある地域の特徴を調べるのがポイント。たとえば付近に大学があるのなら学生の入居を見込んでインターネットを無料で利用できる環境を整えたり、シニア世帯が多い地域なら室内や共有部分をバリアフリー設計にしたりなど。
他にも、単身者なら無人でも宅配便を受け取れる宅配ボックスを設置したり、人数の多いファミリー世帯ならお風呂に追い炊き機能をつけたりと、入居する人を想定して設備を選ぶと入居率アップに直結しやすくなります。
半数以上の人が設置を希望!セキュリティ強化は現代の常識
警察庁の調べによると、住居を対象とした侵入窃盗の認知件数は一時期より減少傾向にあるものの、平成30年には31,505件に上っており、一日あたり約86件のペースで住宅が被害に遭っていることが判明しています。[注1]
その影響からか、TVモニター付きインターホンや防犯カメラ、セキュリティシステムなどの防犯設備を希望する方が多く、入居者の防犯意識が高くなっていることが伺えます。
なお、これらの防犯設備は一人暮らし、夫婦またはカップル、3人以上のファミリー世帯といずれの層でも希望者の割合が多いことから、入居者の属性にかかわらずセキュリティの強化は必要不可欠なものとなっています。
節税効果を狙うなら年始より年末に実施するのがオススメ
年末は何かと忙しいので、設備投資は年明けにしよう…と考える方も多いのですが、節税効果を狙うのなら年内に済ませてしまった方がお得です。
なぜなら、確定申告は1月1日~12月31日までの一区切りとし、翌年の2月16日~3月15日の間に申告手続きを済ませるものだからです。
年明けに行った設備投資はさらに翌年の確定申告に持ち越しとなってしまいますので、設備投資で税金対策するのなら年末までに終わらせておくようにしましょう。
セキュリティや水回りなど空室対策に絶対役立つオススメの設備投資

賃貸マンション・アパートに投資する設備はいろいろありますが、予算などを考慮すると、入居者からの需要が高いものを優先的に取り入れた方が高い費用対効果を期待できます。
全国賃貸住宅新聞より発表されたアンケート調査によると、賃貸入居者からのニーズが高い設備は以下の通りです。[注2]
単身者向け物件
年度 | 2018年度 | 2019年度 |
1位 | インターネット無料 | インターネット無料 |
2位 | 宅配ボックス | エントランスのオートロック |
3位 | エントランスのオートロック | 宅配ボックス |
4位 | 備え付け家具・家電 | 浴室換気乾燥機 |
5位 | 浴室換気乾燥機 | ホームセキュリティー |
6位 | ホームセキュリティー | 独立洗面化粧台 |
7位 | 独立洗面化粧台 | 24時間利用可能ゴミ置き場 |
8位 |
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9位 | ||
10位 | システムキッチン | システムキッチン |
ファミリー向け物件
年度 | 2018年度 | 2018年度 |
1位 | インターネット無料 | インターネット無料 |
2位 | 追い焚き機能 | 追い焚き機能 |
3位 | エントランスのオートロック | エントランスのオートロック |
4位 | 宅配ボックス | ホームセキュリティ |
5位 | システムキッチン | システムキッチン |
6位 | ホームセキュリティ | 宅配ボックス |
7位 | ガレージ | 浴室換気乾燥機 |
8位 | ウォークインクローゼット | 24時間利用可能ゴミ置き場 |
9位 | 浴室換気乾燥機 | ガレージ |
10位 | 太陽光パネル(入居者個別売電) | ウォークインクローゼット |
以上のランキングをもとに、特におすすめの設備投資を3つ紹介します。
[注2]全国賃貸住宅新聞(2019年10月21日号)「2019 入居者に人気の設備ランキング この設備があれば周辺相場より家賃が高くても決まるTOP10」
インターネット環境の設備投資

一人が一台スマホを持つ現代、賃貸マンションや賃貸アパートでもWi-Fiなどのインターネット環境を完備している物件が増えてきています。
導入費は意外とリーズナブルで、初期工事費用は20~30万円程度、維持費は月額10,000~20,000円くらいが相場のようです。
アパートやマンションのように戸数が多いとそのぶん費用がかかると思われがちですが、実際は光ファイバー回線を1本引き込み、入居者全員でシェアするやり方が一般的なので、戸建てよりも1世帯あたりの費用は安く済ませることができます。
スマホの方は無料Wi-Fiを利用するケースが多いですが、回線の状態が安定しませんし、パソコンを使う方も一定数いますので、有線LANとWi-Fiの両方を設置するのがおすすめです。

セキュリティ対策に役立つ設備投資


住居を対象とした窃盗被害が未だに多い現状を考慮すると、入居者が安心して暮らせるよう、セキュリティ対策に役立つ設備に投資するのはもはや必要不可欠です。
セキュリティ強化のための設備はいろいろありますが、上位にランクインしたのはエントランスのオートロック、ホームセキュリティ、TVモニター付きインターホンの3つです。
エントランスのオートロックは近代マンションに標準で設置されているセキュリティシステムで、開閉のたびに自動で施錠される仕組みになっています。
解錠するには入居者が持っている鍵を使用するか、来訪者が部屋番号を入力し、入居者が許可するかのどちらかしかありません。
来訪者はインターホンを介した通話や、モニターの映像などで確認することができるため、安心して許可を出すことができます。
一方のホームセキュリティは、警備会社と契約して有事の際の安全を確保してもらうサービスです。
室内にはセンサーが設置されており、空き巣などが侵入してきたら警報音が鳴ると共に警備会社に通報が入り、すぐさま警備員が駆けつけてくれます。
同時に警察にも通報が入るという徹底ぶりなので、ホームセキュリティに契約していること自体に高い防犯効果を期待できます。
そしてTVモニター付きインターホンは賃貸マンション・アパートともに設置率が増えているセキュリティシステムです。
玄関の呼び鈴が鳴ると、インターホンに設置されたカメラが自動で作動し、室内のモニターに映像を映し出してくれます。入居者は声だけでなく、モニター越しに来訪者の姿を見ることができるため、怪しい人の侵入を許しません。
不在でも安心!宅配ボックスの設置


単身世帯はもちろん、共働きが増えてきた昨今、不在でも宅配物を置いていってもらえる宅配ボックスがにわかに注目を集めています。
とはいえ、まだまだ賃貸アパートやマンションに設置しているところは少ないので、宅配ボックスを導入することで他の物件との差別化を図ることができます。
気になる設置費用ですが、ダイヤル式の宅配ボックスは1個50,000円~。タッチパネルなどで暗証番号を入力するコンピューター式は1個10万円~が相場となっています。



水回りやキッチン回りの設備投資


先ほどのランキングを見ると、単身者向けでは浴室換気乾燥機、ファミリー向けでは追い炊き機能がそれぞれ上位にランクインしています。
特に女性の一人暮らしでは洗濯物を外に干すのは気が引けるという方が多いので、浴室換気乾燥機付きの部屋を好んで選ぶ傾向にあります。
一方、ファミリー世帯は人数が多いので、時間差でお風呂に入れる追い炊き機能付きの物件が人気です。
そのほかにも、火災の心配がなく、手入れもしやすいIHクッキングヒーターや、ウォシュレット付きの温水洗浄便座など毎日使用する利便性の高い設備がついていると入居率アップにつながります。
設備投資は計画的に!失敗しないための注意点
賃貸マンションやアパートの設備投資に失敗しないためには、計画性や家賃設定などに注意を払う必要があります。
無計画な設備投資は失敗のもと!
いくら空室対策のためとは言え、設備投資にお金を掛けすぎると、たとえ入居者が入ったとしても費やした費用を回収できず、資金繰りが悪化してしまうおそれがあります。
設備投資をする際は周辺環境や入居者のニーズを踏まえた上で、必要な物だけを適切に導入するのが成功の鍵です。
設備の中には導入費だけでなく、ランニングコストがかかる物もありますので、賃貸経営を圧迫しないよう事前の計算をしっかり行うようにしましょう。
家賃がアップすれば入居者は増えない
設備投資の費用を回収するには家賃を上乗せする方法が手っ取り早いですが、いくら設備が充実しているからといって、周辺の価格相場を大幅に超えると入居率が低下する原因となります。
入居者にとって家賃は重視すべきポイントのひとつですので、設備投資をする時は価格相場を大きく上回らないよう、種類や規模を厳選することが大切です。
まとめ
好立地かつ新築物件であれば黙っていても安定した入居率を見込めますが、年数が経過したり、アクセスがあまり良くない場所にあったりすると空室対策が必要となります。
入居者は賃貸アパートやマンションに利便性や快適性を求めますので、ニーズに合わせて必要な設備を整えるようにしましょう。
特にセキュリティは必須。入居者が安全性に妥協することはほとんどありませんので、オートロックやTVモニター付きインターホンなどの防犯設備は優先的に導入することをおすすめします。

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