所有している不動産投資用のマンション・アパートが経年劣化してきた時や、中古物件を購入した時は、空室対策としてリフォームやリノベーションが有効になる場合があります。
中にはリフォームやリノベーションを前提として、あえて中古のボロ物件を購入する方もいますが、どちらを行うにしてもそれなりの費用がかかりますので、無計画に実行すると損をしてしまうおそれがあります。
そこで今回は不動産投資に役立つリフォームやリノベーションの基礎知識をはじめ、メリットやデメリット、どちらを選ぶべきかのポイントなどをまとめました。
目次
幅広い意味で使われるリフォーム・中古物件に新たな価値を生み出すリノベーション

ここ数年、あちこちで見聞きするようになったリノベーションですが、リフォームと何がどう違うのかいまいちわからないという方も多いでしょう。
まずリフォームですが、本来はクロスの張替えやキッチンカウンターの増設といった規模の小さいプチリフォームから、間取りの変更、外壁工事といった大規模改修まで、住まいの改修全般を意味します。
ただ、リノベーションという言葉が普及するようになってからは、経年劣化などで古くなった建物を修繕し、状態を回復させるという意味合いで使われることが多くなっています。
一方のリノベーションは、中古物件を住む人の好みやライフスタイルに合わせて作り替え、新たな価値を生み出す改修のことを指します。
具体的には、ファミリー世帯向けの3LDKを一人暮らし向けの1LDKに改修する、一室を丸ごと作り替えてシアタールームにする、といったものです。
リノベーションの性質上、修繕・回復を目的とするリフォームより大規模な改修になりやすい傾向にあります。
リフォームとリノベーションのメリットを徹底比較!
不動産投資用の物件をリフォームまたはリノベーションするとどんなメリットがあるのでしょうか。
まずはそれぞれのメリットがわかりやすいよう、一覧表にまとめてみました。
リフォーム | リノベーション | |
費用 | 比較的安い | やや高め |
間取りの自由度 | 費用をかければ自由度は高い | 高い |
対応物件の数 | 多い | 少ない |
工期 | 短め | 長め |
上記の比較表を踏まえ、リフォームとリノベーションそれぞれのメリットを紹介します。
リフォームのメリットは低コスト・短期間で仕上がること
リフォームのメリットは、リノベーションに比べてコストが安く、かつ短期間で工事を終わらせられるところです。
修繕を目的としたクロスや床の張替え、設備の交換などは安いと数万円~。高くても150~200万円程度で収まるため、人によってはローンを組まずにリフォームすることができます。
工期も1~2日程度で終わるものがほとんどなので、長らく空室のまま放置する必要もありません。
また、リフォームは基本的に部屋の構造や性能を大きく変えることがないため、完成後の状態をイメージしやすいのも利点のひとつです。
リノベーションのメリットは自由度の高さ
リノベーションのメリットは、何といっても好みやニーズに合わせて自由に構造・性能を作り替えられるところです。
内容によってはかなり大胆なイメージチェンジも可能ですし、ファミリー向け物件を単身者向け物件にするなど、入居者層を変更できるような改修も実現できます。
また、新築に比べて物件の選択肢が増えるのも魅力のひとつ。
新築の場合、「立地はいいけど間取りが気に入らない」など、すべての条件が合致することはなかなかありませんが、リノベーションならまず立地から物件を選び、条件に合わない部分(間取りや内装など)は改修することも可能です。
リフォームとリノベーションのデメリットを一覧表で比較!
リフォームとリノベーションには良いところがある一方、不満に感じる点もいくつかあります。
こちらも一覧表を見ながら順に紹介していきましょう。
リフォーム | リノベーション | |
費用 | 比較的安い | やや高め |
間取りの自由度 | 費用をかければ自由度は高い | 高い |
対応物件の数 | 多い | 少ない |
工期 | 短め | 長め |
リフォームのデメリットは住居スタイルの変更が不可でコスパが悪くなることがある点
リフォームのデメリットは、ライフスタイルに合わせた柔軟な改修ができないことと、繰り返し修繕を行った場合、コストパフォーマンスが悪くなってしまうところです。
リフォームは古くなった部分を修復し、元通り使えるようになることを目的としているため、住んでいる人の好みやニーズに合わせて住居スタイルを変更することはできません。
また、一ヵ所あたりの費用は比較的安く済みますが、複数箇所をリフォームするとその都度費用が発生し、かえってコストがかさんでしまう可能性があります。
修復しなければならない箇所がたくさんある場合は、建て替えやリノベーションを検討した方が費用を抑えられるでしょう。
リノベーションのデメリットはコスト高である点
リノベーションのデメリットは、改修の規模が大きいぶん、一度に大きなコストがかかることです。
新築や建て替えに比べれば割安ですが、小規模なリフォームに比べるとかなりの費用がかかるため、場合によってはローンを組む必要があります。その場合はリフォームローンを利用することになりますが、一般的な住宅ローンに比べて金利が高いのもネックです。
また、間取りを変更する際、柱や壁を取り払わなければならないケースがありますが、物件の構造によっては取り壊しが不可能な場合もあるので要注意です。
10倍以上差が出ることも!リフォームとリノベーションの価格相場

改修の規模にもよりますが、リフォームとリノベーションでは価格に大きな差が出ることがほとんどです。
それぞれの価格相場を事前に把握し、予算内でリフォームやリノベーションを行うようにしましょう。
リフォームの価格相場は10~150万円程度
リフォームの価格相場は修繕する場所によって異なりますが、代表的なリフォームとその費用相場を表にまとめてみました。
場所 | 価格相場 |
トイレ | 約20~50万円 |
キッチン | 約10~100万円 |
浴室 | 約50~150万円 |
洗面所 | 約10~50万円 |
クロスの張替え | 約10~30万円 |
価格に開きがあるのは選んだ設備によって価格が異なるためで、たとえばキッチンはセパレートまたはユニットタイプなら10~30万円程度で済みますが、システムキッチンだと30~70万円程度かかります。
リノベーションの費用相場は500~1,200万円程度
間取りなどを変更するリノベーションの場合、大規模な改修になることから、費用も多額になりがちです。
実際にかかる費用は改修規模によって違いがありますが、丸ごとリノベーションする場合は建て替え費用の50%~のコストがかかります。
一例を挙げるとLDKと水回りを刷新するプランは約500万円、全室の間取り変更をするような丸ごとリノベーションなら1,000万円~1,200万円程度が相場となっています。
リフォームとリノベーションどちらを選ぶべきかを物件の種類ごとに紹介
リフォームとリノベーションのどちらを選ぶべきかについては物件の種類や状態によって異なります。
区分マンションならリフォームで十分
区分マンションの場合、一棟マンションに比べて家賃収入が少ないため、多額の費用をかけてリノベーションしてもコストを回収するのが困難になります。
リフォームなら少額費用から改修することができるので、一室単位の区分マンションならプチリフォームで十分でしょう。
一棟マンションは築年数と空室率で判断
一棟マンションの場合は戸数が多いので、どちらを選ぶかは築年数と空室率で判断します。
築年数がかなり経過している物件の場合、部分的なリフォームでは欠点をカバーしきれないのでリノベーションを選んだ方がコストや手間を省けます。
また、空室率が高い物件の場合もリノベーションがおすすめ。少々のリフォームよりもリノベーションを実施してイメージを刷新した方が入居率アップにつながる可能性が高くなります。
アパートの場合は構造の違いが判断材料になる
木造アパートの構造は在来工法と2×4(ツーバイフォー)工法の2つがあります。在来工法の場合、建物を支えている柱や梁、筋交などは比較的移動しやすいため、間取り変更の自由度が高くなります。
一方、2×4工法は木枠に合板パネルを組み合わせて床や壁、柱を組む構造となっているため、在来工法に比べると間取り変更の自由度が低くなるので注意が必要です。
ただ、在来工法でも築年数の経過によって柱や筋交が劣化している場合は構造体そのものを補強するリフォームを行う必要があるでしょう。
低コスト・入居者目線がポイント!リフォーム・リノベーションを成功させるコツ

不動産投資でリフォームやリノベーションを成功させるためのポイントは大きく分けて2つあります。
まず1つ目は、費用をできるだけ抑えること。不動産投資の場合、改修費用は経費として計上できるので節税効果を期待できますが、やり過ぎると費用の回収が難しくなり、経営に支障を来す可能性があります。
たとえば壁紙は無地・白地のスタンダードな物を選んでコストを下げたり、床材はフローリングではなく部分補修が容易なクッションフロアを選んだりすると費用を安く抑えられます。
2つ目は、むやみやたらに設備投資せず、入居者目線で必要最低限のリフォームを行うこと。
実際にリフォームを実施した人を対象に行われたアンケート調査によると、「リフォームしてよかったと思う場所」はトイレ、浴室、キッチン、洗面室などの水回りが上位を占めたそうです。[注1]
水回りを含むリノベーションを行うか、部分的なリフォームを行うかは築年数などにもよりますが、おさえるべきポイントがわかっていれば無駄な費用を使わずにリフォーム・リノベーションを行えるでしょう。
[注1]SUUMO(スーモ)リフォーム「リフォーム経験者に聞く! リフォームしてよかった場所ランキング」
不動産投資用の物件をリフォームする方法と手順
不動産投資用の物件を改修することが決まったら、専門業者にリフォームを依頼しましょう。
ここではリフォームを依頼する手順や、ぜひ活用したい補助金について説明します。
リフォーム業者は複数比較して検討する

同じ内容のリフォームであっても、業者によってかかる費用は異なります。
先にも説明した通り、改修費用はできる限り抑えるのがポイントですので、複数の業者に見積もりを取り、じっくり比較検討することが大切です。
ただ、費用だけを重視して業者を選ぶと、手抜き工事をされるなど思わぬトラブルに見舞われるおそれがあります。
特にリノベーションのような大規模改修を行う場合は、理想のイメージを形にするために業者との打ち合わせが必要不可欠となりますので、豊富な経験と実績を兼ね備えた信頼できる業者を選ぶようにしましょう。
実際に施工が始まったら、あわせて入居者募集をスタートすると空白の時間がなくなり、損失を最小限に抑えられます。
ただし、入居者募集に気を取られて仕上げの確認を忘れてしまうのはNG。
施工が完了したら、イメージ通りに仕上がっているかどうか、不具合はないかどうかなどを一通り確認し、納得してから支払いを済ませましょう。
いくら入居が迫っていても、リフォームに不具合が見つかったら後のトラブルの原因となりますので、妥協しないことが大切です。
リフォーム・リノベーションに活用したい補助金
不動産投資用の物件をリフォーム・リノベーションする際、所定の条件を満たせば国や自治体から補助金を支給してもらうことができます。
たとえば平成29年10月に施行された新たな住宅セーフティネット制度では、民間の空き家や空室を活用して高齢者・低所得者・子育て世帯などの住宅確保要配慮者を拒まない賃貸住宅の登録を行うことで、改修費の1/3(上限50万円/戸)を補助してもらえます。
他にも、一定の省エネ効果が見込める高性能建材を使用した断熱リフォームを行った場合に経費の1/3以内を補助してもらえる「断熱リノベ」や、性能向上・良好なマンション管理対応など一定の条件を満たしたリフォームに対して補助金が支給される「長期優良住宅化リフォーム推進事業」などさまざまな補助金制度が設けられているので、条件が合致したら積極的に活用しましょう。
まとめ
不動産投資用の物件に適切なリフォーム・リノベーションを行うことは有用な空室対策となります。
ただ、コストを掛けすぎると費用対効果が薄れてしまうので、いかにコストを抑えて必要なリフォームを行うかが重要なポイントとなります。
入居者目線でアイデアを出したり、補助金を活用したりするなど有用な手段はいろいろありますが、不動産仲介業者やリフォーム業者などプロの意見を参考にするのもオススメ。
特に大規模なリノベーションを行う時は、業者と綿密に打ち合わせることでイメージが形を結び、より理想に近い仕上がりになるでしょう。

- ・ちゃんと管理してくれているのかよくわからない
- ・毎月の管理手数料が腑に落ちない
- ・担当者がイマイチ冴えない
- ・空室が長期化して困っている
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