賃貸(アパート・マンション)経営でも地震保険への加入は必要?オーナーが知っておくべき基礎知識

賃貸(アパート・マンション)経営でも地震保険への加入は必要?オーナーが知っておくべき基礎知識

賃貸物件には火災保険のほか、地震による建物や家財の損害を補償する地震保険があります。

しかし、火災保険に詳しい賃貸物件の大家さんは多くても、地震保険はあまり知らない方も少なくありません。

火災保険だけでは地震や津波による損害をカバーできないため、地震保険への加入にはメリットがあります。

そこで今回は、賃貸(アパート・マンション)経営での地震保険の必要性や、賃貸オーナーが知っておくべき地震保険の基本情報を解説します。

アパート・マンション賃貸物件に地震保険は必要?

アパート・マンション賃貸物件に地震保険は必要?アパート・マンション賃貸物件に地震保険は必要?

賃貸物件(アパート・マンション)は火災保険だけでなく、地震保険にも加入しておくとより安心です。

地震保険の加入率は、東日本大震災熊本地震をきっかけに増加しています。

賃貸物件向けの地震保険は、万が一の際の損失を抑えられるばかりか、オーナー自身も居住する場合は節税対策にもなります。

地震保険の加入率が増加している背景

地震保険の加入率は年々増加しています。損害保険料率算出機構によれば、地震保険に加入している世帯の割合は、2017年では31.2%に達しています。[注1]

また、火災保険とセットで地震保険に契約することを示す付帯率という指標では、63%が地震保険にも加入していることがわかります。

加入率が増加している背景として、東日本大震災や熊本地震の影響が挙げられます。

地震保険の付帯率は、東日本大震災が起きた2011年度には全国計で5.6%、宮城県内では12.4%も増加しています。また、熊本地震の起きた2016年度も、熊本県内で10.5%も増加しています。

実際に大地震の被害を目の当たりにし、地震保険を選ぶケースが増えたのが理由です。

[注1]損害保険料率算出機構:グラフで見る!地震保険統計速報(2017年)

賃貸物件の地震保険は「家財」にも有効

賃貸オーナーが火災保険とセットで地震保険に加入する場合、補償対象は居住用の建物家財の2種類です。

地震や津波などによる火災で「家財」に損害が出た場合、火災保険では補償されない点に注意が必要です。また、入居者が地震保険に加入する場合は、家財の部分のみが補償対象となります。

補償対象となる家財は、食器陶器類、電気器具類、家具類、衣類寝具類、書籍やピアノ、レジャー用品などの身の回り品の5種類です。

ただし、1点30万円を超える貴金属類、絵画、骨董品、株券や証券などは対象になりません。

地震保険に加入するメリットはリスクマネジメントと節税対策

地震保険に加入するメリットとして、主に下記の2点が挙げられます。

  • 万が一の際に損失を抑えられる
  • オーナーも居住する場合は、保険料控除など節税対策になる

まずは賃貸物件が大地震に見舞われるなど、万が一の際に損失を抑えられるのがメリットです。

地震保険は火災保険とちがい、買い替えや建て替えの費用まで補償されませんが、住宅ローンの当面の返済資金や、被災してからの生活の安定に寄与します。

地震や津波による被害は、火災保険だけでは補償されないため、万が一に備えて地震保険に加入しておくと安心です。

また、オーナー自身か、オーナーと生計を共にする配偶者・親族が賃貸物件に居住している場合は、地震保険料控除制度が利用できます。

ただし、建物の住居部分のみが対象であり、入居者へ貸し出している部分や、共用部分については対象とならない場合が多いため注意が必要です。

所得税からは最大5万円、住民税からは最大2万5,000円まで控除され、節税対策にもなります。

地震保険で支払われる金額と保険料をチェック

「居住用の建物」「家財」の損害地震保険で支払われる金額と保険料をチェック

地震保険の補償対象は、地震・噴火・津波による「居住用の建物」「家財」の損害です。

ここでは万が一の際に受け取れる補償金額や、保険料について具体的に解説します。加入を考えている方はチェックしてみてください。

地震保険加入で万が一の時に受け取れる金額

地震保険では、補償対象となる損害を

  • 全損
  • 大半損
  • 少半損
  • 一部損

の4種類に区分しています。これは建物、家財の両方に共通します。

損害区分 建物

  1. 主要構造部(屋根、柱、土台、壁)の損害額
  2. 焼失または流失した床面積
家財の損害額
全損
  1. 時価の50%以上
  2. 全体の70%以上
時価の80%以上
大半損
  1. 時価の40%以上50%未満
  2. 全体の50%以上70%未満
時価の60%以上80%未満
少半損
  1. 時価の20%以上40%未満
  2. 全体の20%以上50%未満
時価の30%以上60%未満
一部損
  1. 時価の3%以上20%未満
  2. 床上または地盤面から45cmを超える浸水
時価の10%以上30%未満

地震保険の補償金額は、火災保険の契約金額の30~50%までであり、なおかつ建物の場合は5,000万円、家財の場合は1,000万円が上限です。

また、損害の区分に応じて、下記の表のように補償金額が定められています。

地震保険に関する法律施行令が改正されたことにより、2017年1月1日以降とそれ以前によって、損害の区分や補償金額が異なります。

保険契約が2017年1月1日〜の場合

損害区分 補償金額
全損 保険金額の100%
大半損 保険金額の60%
少半損 保険金額の30%
一部損 保険金額の5%

保険契約がそれ以前の場合

損害区分 補償金額
全損 保険金額の100%
半損 保険金額の50%
一部損 保険金額の5%

地震保険の保険料は建物の構造と所在地により異なる

地震保険の保険料は、建物の構造と、建物の所在地の2点によって算定されます。

鉄骨・コンクリート造などのイ構造と、木造などのロ構造があり、後者の方がより保険料がかかります。また、東京、神奈川、千葉などの都市部や、愛知、三重、和歌山などの沿岸部は保険料が高くなる傾向にあります。

なお、下記のケースに該当する場合は保険料から割引されます。

免震建築物割引 免震建築物である場合は50%の割引
耐震等級割合 1級から3級までの耐震等級に応じ10%から50%まで割引
耐震診断割引 法律に定められた耐震性能がある建物は10%の割引
建築年割引 1981年6月以降に新築された建物は10%の割引

地震保険の料金は2019年1月に改定され、全国平均で3.8%値上げされています。お住まいの建物や所在地ごとに最新の数値を把握しましょう。

地震保険に加入する時の注意点

ここまで、地震保険に加入するメリットや、地震保険の具体的な補償金額や保険料を解説してきました。

しかし、地震保険に加入することには注意点が存在します。メリット、デメリットの両方を検討することが大切です。

地震保険のデメリットは、保険金の物足りなさや保険料の高さ

地震保険に加入するデメリットとして、下記の4点に注意が必要です。

  • 火災保険とセットで加入する必要がある
  • 保険金だけでは賃貸物件の建て直しができない
  • 損害の度合いによって保険金が支払われない場合がある
  • 地震のリスクと比較して保険料の割高感がある

まず、地震保険は単体で申し込むことはできません。火災保険に付帯して契約する必要があり、保険料が余分にかかるため注意が必要です。

なお、火災保険との契約期間中であっても、後から地震保険を契約することができます。

地震保険の目的は被災者の生活の復興です。そのため、建物の立て直しを目的とした火災保険とちがい、再建費用が全額出るわけではありません。

また上記と関連して、地震保険には損害区分に応じ、補償される条件があります。建物や家財に損害が出ても、基準に満たなければ保険金が出ない場合があります。

いつ起こるかわからない大地震に対し、保険料の割高感を覚える人もいるでしょう。住宅や家財の規模、周囲の状況によって保険料は上下します。一般的に相場は1〜3万円と言われています。

しかし、東日本大震災や熊本地震の後で地震保険の加入率が上昇している点や、地震・津波などの被害は火災保険では補償できない点も考慮しましょう。

地震保険以外の補償(火災保険・水災保険・地震共済)も検討しよう

地震保険以外の補償も検討地震保険以外の補償(火災保険・水災保険・地震共済)も検討しよう

賃貸物件が災害に遭った際の損害を補償するものとして、まずは火災保険があります。火災保険がカバーする範囲は広く、火災のほかに落雷、爆発、台風、雪や雹などの災害も含みます。

また、火災保険に水災補償をつけると、河川の氾濫や、台風・豪雨・暴風による床上浸水、土砂崩れなどの水災もカバーできます。ただし、火災保険には地震や津波の被害への補償はふくまれていません。

地震保険と似たような補償内容を持つものとして、各都道府県や協同組合の「地震共済」もあります。

地震共済は民間の保険とちがい、居住地の制限があったり、特定の職業である必要があったりする点に注意が必要です。

まとめ

今回は、賃貸経営をする場合の地震保険の必要性や、地震保険の支払い金額・保険料などを解説しました。

地震保険には万が一の備えや、条件によって節税できるというメリットがあります。一方、保険金の支払いの際に条件があることや、火災保険とちがい再建費用が全額出ないことに注意しましょう。

とくに一棟物件を運用する場合、アパートやマンションの一室を貸し出す場合と比べて、建物全体の補償が必要となります。

地震や津波が起きた際のリスクも高まりますので、万が一に備えて加入しておくと安心です。

ABOUT ME
フドシル専属監修者 東
フドシル専属監修者 東
株式会社TonTon 不動産管理課 マネージャー。 2017年、不動産管理事業の立ち上げから1年半で650戸を新規受託。 リーシング、入居者対応、トラブル対応、リフォーム、保険対応、キャッシュフロー見直しなどあらゆる業務をこなす。 自身も不動産オーナーとして日々奮闘中。 2018年、賃貸不動産経営管理士試験合格。
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