マンションを売却したくても、具体的にどうすればよいのかわからない方は少なくありません。
マンション売却で失敗しないためには、資金計画や書類作成といった入念な事前準備が必要です。
また、マンションを査定してもらい、買主との契約に至るまで、さまざまなプロセスを経る必要があります。
そこで今回は、マンション売却の流れや注意点を解説します。マンションを売却しようとしている方は、気になるポイントをチェックしてみてください。
マンション売却に必要な準備・手続き・流れ

ここではマンション売却に必要な事前準備や、売却方法ごとの流れを解説します。
不動産仲介会社に依頼する方法と、自力で売却する方法の2つがあるため、それぞれのメリットやデメリットを知ることが大切です。
マンション売却に必要な4つの準備をそれぞれ解説
マンション売却の準備のポイントは4点あります。
まずは入念な資金計画を立てておきましょう。まだローンがある場合、売却によって残債がどれだけ減るかの確認が必要です。
買い替えであれば、売却額から頭金に捻出できる金額も確認します。マンション売却の収入と、今後の支出のバランスを考えましょう。
マンション売却の必要書類は多く、すべてそろっているかチェックが必要です。
必要となるのは、以下の6点の書類です。
売買契約書 | 必要な取り決めを記載し、買主と売買契約を結ぶ書類です。 |
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登記済証または登記識別情報 | 物件の特定と所有権の移転に必要です。 |
印鑑登録証明書 | 最寄りの市区町村で印鑑登録をすると発行できます。 |
登記事項証明書 | 登記簿謄本とも呼ばれます。法務局で発行できます。 |
固定資産税の評価証明書 | 固定資産税、登録免許税を確認したり算出したりするために必要です。 |
マンションの管理規約 | マンションの管理状況の確認のために必要です。 |
次のステップとして、ローンや管理費の未納がある場合は完済しましょう。
支払いが必要なのは、住宅ローンや不動産投資ローンの残債、管理費や修繕積立金などの維持費です。
もし資金での完済が難しい場合は、売買代金での支払いが可能か金融機関に相談してみましょう。
最後に、不動産仲介会社へマンション売却の査定依頼をします。確実にマンションを売るなら、適切な売出価格を設定することが大切です。
複数の不動産仲介会社の意見を聞き、マンションの客観的な価値に見合う価格を決めましょう。
買い手探しは不動産仲介会社を経由するか個人で行うか
中古マンションを売るには、不動産仲介会社に依頼する方法と、個人で買い手を探す方法の2つがあります。
不動産仲介会社に依頼するメリットは、全国ネットで買い手を募り、物件の広告も利用できるため、買い手が見つかりやすい点です。
また、不動産仲介会社が買主との間に立つため、トラブル対応も任せられます。ただし、不動産仲介会社への仲介手数料が必要なのがデメリットです。
個人で買い手を探すメリットはコストの削減です。
仲介手数料が不要な上、営利目的でない不動産売買には消費税がかかりません。デメリットは売買契約の手続きを一人で行うため、相応のノウハウが求められる点です。
また、買主とのトラブルでも矢面に立たされます。安心・安全を求める方や、確実に買い手を探したい方は、不動産仲介会社への依頼も検討しましょう。
不動産仲介会社を通して売却する場合の4つの手順と注意点
不動産仲介会社を通して売却する場合、下記の4つの手順が必要です。
- 必要書類を用意する
- マンションの売出価格の査定依頼をする
- 不動産仲介会社と媒介契約を結ぶ
- 売却後に仲介手数料を支払う
重要なのは不動産仲介会社と媒介契約を結ぶ際です。
媒介契約には一般媒介契約、専任媒介契約、専属専任媒介契約の3種類があり、違いは制約の多さです。
一般媒介契約のみ、複数の不動産仲介会社に打診できます。専任媒介契約、専属専任媒介契約は自由度が下がる一方、不動産仲介会社の本気度が上がります。
不動産仲介会社を選ぶ際、まずは査定額を見ます。最高額を考慮しつつ、複数の査定結果を比較し、相場観をつかむことも大切です。
また、担当者に査定額の根拠や販売戦略を質問し、信頼できるパートナーかどうか判断しましょう。
個人で売却する場合の5つの手順と注意点
ここでは個人でマンションを売却する際の手順を解説します。
営利目的でなければ、宅地建物取引士の資格がなくとも、個人で不動産を売却できます。しかし、価格設定や広告宣伝、売買契約などを自力で行う必要があります。
個人で不動産売買を行う流れは下記のとおりです。
- マンションの相場をつかむ
- マンションの売出価格を決める
- 広告やネットサービスで物件を宣伝する
- 現地確認や価格交渉、契約書作成などの売買契約
- 買主と契約を締結する
個人売買のリスクはトラブル対応にあります。
購入した物件に瑕疵が見つかるなどのトラブルが起きると、自力で対応する必要があります。また、トラブル予防のために契約書や重要事項説明書を作成するのも大変です。
マンション売却時の失敗事例とその対策をチェック

マンション売却に興味があっても、失敗するのが不安な方も多いでしょう。
ここでは不動産を売却する際の注意点を解説します。マンション売却で陥りがちな失敗事例を知り、その対策を理解しておくことが大切です。
マンション売却における3つの代表的な失敗事例
マンションを売却する際、よく陥りがちな失敗事例は下記の3つです。
- マンションがいつまでも売れない
- 売却したものの希望価格を下回った
- 売却を依頼した不動産仲介会社の対応が悪い
マンションが売れないのは代表的な悩みです。
同じ地域に競合するマンションがたくさんあったり、立地が良くなかったりするとなかなか売れません。
マンションが売れないと管理費や修繕積立金など、月々の費用負担も発生します。また、売却できたものの、希望価格を下回ってしまったケースもあります。
想定より利益がなければ、ローンの返済や買い替えの頭金といった資金計画に影響します。
原因としては期限内に売却できず売却価格を下げたケースや、そもそも希望価格が相場より高いケースがあります。
不動産仲介会社の選定を誤ったケースも散見されます。
不動産仲介会社がマンション売却に消極的だったり、マンション売却が得意分野でなかったりしたため、満足のいく結果にならないケースです。
これは査定額に釣られ、信頼できるパートナーかどうかを判断しなかったのが原因です。
マンション売却での失敗を防ぐ3つのポイント
マンション売却の失敗事例をふまえ、3つの対策をとりましょう。
まずマンションがなかなか売れない事態を避けるには、相場に見合う売却価格を設定する必要があります。
物件の査定価格は高めにつけられることがあり、つねに相場とはかぎりません。複数の査定結果を比較し、相場観をつかみましょう。
希望価格で売却し、想定通りの利益をあげたい場合も、売却価格を適切に設定しましょう。
マンション売却の税金について知り、節税するのも有効です。
売却益が出た場合は、最大3,000万円まで控除できるマイホーム特例が使えます。買い替えで売却損が出た場合、ほかの所得と相殺する損益通算が利用できます。
不動産仲介会社のミスマッチを防ぐには、訪問査定のような機会を利用して、慎重に選定することが大切です。
査定額の根拠や販売戦略を担当者に質問し、売却の具体的なプランがあるか確認しましょう。また、報告・連絡・相談が適切であり、パートナーとして信頼できるかどうかも重要です。
マンションをできるだけ高く売却するには
マンションを売るなら、なるべく高く売りたいところです。
ここではマンションの査定方法や、どういうところが見られるのかを解説します。査定方法をふまえ、利益を上げるためのマンションの売却方法を4つ紹介します。
マンション売却時の査定の流れや見られるポイント
マンション売却時の査定は、まず不動産仲介会社に依頼をします。
手軽に査定ができる簡易査定と、実際に物件を見てもらう訪問査定の2種類があります。媒介契約を結ぶ場合は、査定結果をもとに不動産仲介会社と契約します。
査定でチェックされる主なポイントは、以下の4点です。
- 立地
- 部屋の階数や広さ
- 築年数や構造
- 管理状況
立地ではとくに駅からの距離が見られ、駅から近いマンションほど高評価となります。
家族向けのマンションであれば、公園や教育機関、買い物のしやすさといった周辺環境の良さもチェック項目です。
部屋の階数は3階以上の需要が高く、上に行くほど高評価です。また、広ければよいのではなく、マンションがある地域の需要に合致するかもポイントです。
築年数は新耐震基準が適用された1981年以降であるかが重要です。
ただし、1981年以降でも旧耐震の場合があるので注意しましょう。構造は鉄骨鉄筋コンクリート造、鉄筋コンクリート造、鉄骨造の順に評価が高いです。
最後にマンション全体の管理状況も見られます。清掃やメンテナンスが定期的に行われており、管理人が常駐であれば査定額がアップします。
マンションを高く売却するための4つのポイント
マンションを高く売却するポイントは以下の4点です。
- マンションの査定は複数社に依頼する
- 売れやすい3月のタイミングに売る
- 瑕疵担保保険を付保しておく
- 物件の状態を清潔に保つ
査定依頼は必ず複数社に対して行いましょう。
マンションのある地域に強く、マンション売却が得意な不動産仲介会社が見つかれば、高く売却できます。ただし、査定額で売れるとは限らないため、相場観をつかむことも大切です。
また、マンションの購入は3月がピークのため、この時期を狙うのも有効です。
学生や社会人など、日本では4月から年度が変わるため、需要が高まります。3月の売却をターゲットにし、1月ごろから販売活動を行うのがベストです。
売却後、物件に瑕疵があった場合、民法上1年間は買主が契約解除できます。実際は特約を定め、瑕疵担保責任期間を3ヵ月とすることが多いです。
瑕疵担保保険は期限後でも修繕費の一部をカバーできる保険であり、売主として加入しておくと買主へのアピールになります。
また、瑕疵担保保険に加入すると買主側の登録免許税が安くなるため、ほかの物件と差別化できる要素になります。
最後に物件が清潔で、設備がメンテナンスされているかも重要です。内見の印象にかかわるため、不備があればマンション管理会社に依頼しましょう。
マンション売却を成功させるには入念な事前準備と対策が必要

今回は、マンション売却の流れや注意点を解説しました。
マンション売却には資金計画、必要書類の用意、ローンや管理費の完済、査定依頼など事前準備が必要です。
不動産仲介会社に依頼するか、個人で行うかによって異なるため、売却方法についても事前に検討しましょう。
マンション売却の際は失敗事例を知り、失敗を防ぐための対策が必要です。
マンションが売れなかったり、売却額が希望を下回ったりしないよう、売出価格は相場を考慮しましょう。また、不動産仲介会社の選定も重要です。
マンションの査定の流れや見られる項目をふまえ、高く売却する方法も知っておきましょう。
マンション売却を検討中の方はぜひ参考にしてください。


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