不動産投資

不動産投資における出口戦略とは?基礎知識から成功させるためのポイントまで

不動産投資における出口戦略とは?基礎知識から成功させるためのポイントまで

「不動産投資は出口戦略が9割」と聞いても、「そもそも出口戦略って何だろう?」と疑問になる方は多いようです。

実は不動産投資にもゴールがあり、ゴールである出口戦略に失敗するとそれまでの利益が吹き飛ぶ、なんてこともあり得ます。

そんなことにならないために、出口戦略について大切な情報をお伝えします。不動産投資を成功させたい方は必見です。

不動産投資における出口戦略とは?

不動産投資における出口戦略とは?

不動産投資の出口戦略とは、購入した不動産をいつ・どのように売却するのか、という戦略のことです。

売却に失敗した場合「家賃収入は黒字だったのに売却で損をして最終的には赤字になってしまった…」なんて可能性も考えられます。

できれば利益が最大となる時点で売却する計画を最初に描いておくことが重要です。

それでは、より多くの利益を得るため、出口戦略について詳しくみていきましょう。

「インカムゲイン」と「キャピタルゲイン」

「インカムゲイン」と「キャピタルゲイン」

不動産投資は下記の2つを合算して全体の収支が決まります。

  • インカムゲイン:家賃収入
  • キャピタルゲイン:売却益

例えば、常に満室の状態で家賃収入をバッチリ得られて、最終的に物件が高値で売れて売却益もたくさん得られたとするならば、その投資は黒字の大成功といえるでしょう。

ここで覚えておいていただきたいキャピタルゲイン(売却益)は下記の式で求められます。

  • キャピタルゲイン=売却価格-(購入時価格-減価償却累計額)

式にある「減価償却累計額」とは、「毎年一定額、資産の価値を減額する」額のことです。

不動産などの資産は減価償却といって毎年価値が減額するように決まっています。

例えば、物件が購入した時と全く同じ価格で売れた場合をシミュレーションしてみましょう。

購入価格売却価格(6年目)減価償却累計額
1億円1億円300×6=1,800万円
  • 1億円-(1億円-1,800万円)=1,800万円

と、減価償却累計額の分だけキャピタルゲインが出ます。

購入時よりも高い価格で物件が売れた場合にはさらにキャピタルゲインの額が大きくなります。できるだけキャピタルケインの額を大きくできるよう戦略を立てておくことがとても重要になります。

出口戦略は「不動産の購入前」に立てることがベスト

では出口戦略をいつ立てるのかが気になりますね。出口戦略は「不動産の購入前」に立てるのが正解。

不動産購入を検討する時点で出口戦略を立て、十分な勝算がある、と判断できた物件に投資をするのがベストです。

要注意!購入後の期間で異なる税率について

不動産の売却時期を考える時には税率にも注意が必要です。

不動産を売却する時に得る「譲渡所得」には「譲渡税」がかかります。これは物件の所有期間によって税率が下記のように異なります。

所有期間税率
5年以下(短期譲渡所得)39.63%
5年を超える(長期譲渡所得)20.315%

5年を超えると大きく税率が下がるのが分かりますね。

せっかく高く売れても税率が高い時期に売ってしまっては損になることもあります。税率が下がる時期に注意して物件を売却するという作戦も考えましょう。

【代表的な土地活用の方法別】出口戦略の成功例・失敗例

出口戦略の成功例

それでは不動産投資で代表的な物件のタイプ別に、出口戦略の成功例と失敗例をご紹介いたします。

インカムゲイン(家賃収入)+キャピタルゲイン(売却益)の合計額が、購入額を上回った場合は成功といえるでしょう。

具体的な数字は理解しやすいよう簡略化してあります。実際に出口戦略を立てる場合には経費や金利などのもっと緻密な戦略が必要になりますよ。

アパート経営の場合

【一棟アパートの成功例】

一棟アパートの出口戦略成功例をシミュレーションします。(※)なお、購入価格に利息は含んでいません。

購入価格(※)5,000万円
家賃収入5万円×7戸
売却価格4,500万円
運用期間5年
空室率15%

家賃収入は下記のように計算できます。

5万円×7戸×12ヶ月×5年×85%=1,785万円
1,785万円(家賃収入)+4,500万円(売却価格)−5,000万円(購入価格)=1,285万円

最終的な収支は大きくプラスとなり投資は成功と言えます。

この場合には4,500万円と高値で売却できたことが収支を大きくプラスに引き上げています。

こちらの物件は、

  • 都心からのアクセスが良く立地条件が良かった
  • 築年数が浅く状態の良い物件だった

という理由ため、有利な条件で売却できたことが成功のポイントです。アパート経営では手放すタイミングの見極めも大切です。

マンション経営の場合

東日本不動産流通機構によると、2017年の首都圏の中古マンション成約件数は37,329件と3年連続で前年を上回り、中古マンション市場の需要が高まってきていることが分かります[注1]。

ここでは中古マンションで不動産投資に成功した例をご紹介いたします。

【中古ファミリーマンションの出口戦略成功例】

都心のワンルームマンションを3,500万円で購入し、6年間運用したとします。

購入価格(※)3,500万円
家賃収入16万円
売却価格2,400万円
運用期間10年
空室率5%

5年間の家賃収入は下記のように計算できます。

16万円×12ヶ月×10年間×95%=1,824万円

ここに売却価格を加えると、

1,824万円(家賃収入)+2,400万円=4,224万円

と、購入時の価格を上回り、出口戦略は成功したと言えます。

成功のポイントは下記になります。

  • 中古だが環境の良い場所でファミリーの需要があった
  • 入居者がファミリー世帯のため長く入居する傾向があり空室率が低かった

このように周辺環境の良い中古ファミリーマンションを新築より安く購入し、低い空室率で運用し、価格が下がりきらないうちに売却するという出口戦略の立て方もあります。

[注1]中途件不動産流通市場の動向(2017年)|東日本不動産流通機構[pdf]

駐車場経営の場合

駐車場経営の場合

駐車場経営で利益を出すポイントは

  • 商業施設に近い場所
  • 交通量が多い場所

などがあります。これらを満たしていても駐車場経営に失敗してしまう例もあります。

【駐車場経営の失敗例】

途中まで順調に運営していたが、近くに大型ショッピングモールが建設され、周辺の駐車場で価格競争が激化。

当初より駐車料金を安くしたが採算が取れなくなり土地を売却したいがなかなか買い手がつかずに安く売却することになってしまった。

初期費用4,000万円
料金1H300円×7台
売却価格3,000万円
運用期間5年
空室率35%

40坪の土地を購入し、初期費用を多くつぎ込んだ結果4,000万円で駐車場経営をはじめた。

初期の見込みでは年間500万円を想定しており2年目までは順調だったものの、3年目からの価格競争により稼働率は10%にまで低下してしまった。

料金を1H200円にまで下げて抵抗したが効果は薄く、買い手もつかず結果3,000万円で手放すことになった。

●初年度、二年目の収益
440万円(初年度収益)+440万円(二年目収益)ー4,000万円(初期費用)=-3,120万円

●三年目から
-3,120万円(二年目までの収益)+50万円(三年目収益)+50万円(四年目収益)+50万円+3,000万円(売却費用)=30万円

上記の場合の失敗してしまったポイントは

  • 売却するタイミングを見誤った
  • 転用しやすい土地を購入しておかなかったため売却が不利になってしまった

ことにあります。

駐車場経営で出口戦略を立てるのであれば、売却時に有利な条件で売却できるよう、アパートやマンションにも転用できる場所を選ぶと良いでしょう。

不動産投資における出口戦略を成功させるためのポイント

不動産の出口戦略では、基本的には安く購入してできるだけ高く売却するが鉄則。

そのためには物件選びから戦略は始まっています。また、売却時に利益を得るためには売却するタイミングも大切です。

出口戦略を意識して購入物件を選ぶ

不動産選びの時点で出口戦略は始まっています。ここで勝算のある出口を描いて物件を選べたなら不動産投資はほぼ成功したとも言えるでしょう。

ここで出口戦略のために想定したいのが投資家の目線です。購入した不動産を次に買うのも投資家の方と考え、売却する時が来ても他の投資家が買いたくなる物件を選びましょう。

投資家が買いたくなる物件とは、年数が経っても確実に収益が見込める物件。

つまり、入居者が途切れることなく入居して潤沢な家賃収入が見込める物件、年数が経っても売却額が下がりづらい物件です。

具体的には

  • 都心からアクセスが良い
  • 駅から近い
  • 周辺環境が良い
  • 物件の状態が良い

ことが挙げられます。

例えば、将来は日本の人口は減少しますが、その影響を受けづらい物件を選ぶことも出口戦略では大切です。

都心であれば今後も地方からの人口流入が見込まれます。都心に近い物件であれば将来的にも需要のある物件であり、上手く売却できることが見込めます。

買主が購入したいと思える状態で売却する

物件をできるだけ高く売却するためには「購入したい物件」にしておくことが大切です。

一般的に買主が購入したいと思う物件には下記の傾向があります。

  • アクセスが良い
  • 周辺環境が良い
  • 外観や内装の状態が良い

アクセスや周辺環境は売主の努力ではどうにもならない部分でもありますが、物件をきちんと手入れして綺麗な状態にしておくことはできます。

このためには

  • 売却前にしっかり清掃をする
  • 壁紙の張替えなどの修繕を済ましておく
  • 共用部の電球を交換しておく

といったように、買主が見学に来て目につく箇所は必ず綺麗にしておきましょう。

最も高く売却できる不動産仲介会社を選ぶ

最も高く売却できる不動産仲介会社を選ぶ

不動産仲介会社によっても売却額に差が出ます。複数の会社から見積もりを取って最も高く売却できる不動産仲介会社を選ぶと良いでしょう。

例えば、オンライン申し込みで複数から一括して見積もりをもらえるサイトもあります。

1度の申し込みで複数社の査定額を受け取れ、手軽に比較できます。こういったサービスを活用してみるのもおすすめですよ。

また、定期的に査定を行って、物件が高値で売れるタイミングを見計らうようにしましょう。

また、フドシルでも不動産売却に関する各種お問い合わせを受け付けています。不動産売却でお悩みの場合は、ぜひお声掛けください。

まとめ

不動産投資では最終的に収支がプラスとなるよう最初にゴールを設定しておく出口戦略が大切です。

そのためには、出口に繋がる入り口(物件選定)から、目標を明確にするのに加えて、掲げた目標にどれだけ近づけているか定期的にチェックをしましょう。

また、どれだけ好立地の物件であっても修繕や清掃が行き届いていないと、売却価格も下がってしまいます。日頃から物件の状態を保持しておくことも忘れてはなりません。

これらを意識した不動産運営を行い、少しでも高い売却に繋げましょう。

ABOUT ME
フドシル専属監修者 東
賃貸不動産経営管理士。 2017年、不動産管理事業の立ち上げから1200戸を新規受託。 リーシング、入居者対応、トラブル対応、リフォーム、保険対応、キャッシュフロー見直しなどあらゆる業務をこなす。 自身も不動産オーナーとして日々奮闘中。 株式会社TonTon執行役員。
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