アパート経営はするな!と言われる理由|事業を成功させるリスク対策まで

アパート経営はするな!と言われる理由|事業を成功させるリスク対策まで

巷には「アパート経営はするな」という言葉が出回っています。また、アパートや賃貸マンションの経営を検討している際、周囲に制止された経験がある方も多いでしょう。

ひとつの要因として、アパート経営を含む不動産投資をする人がまだまだ少ない点が挙げられます。借り入れをしている2人以上世帯のうち、土地・建物等の実物資産への投資資金の割合は4.5%にすぎません[注1]。

「アパート経営はするな」という言葉の真意を理解するには、アパート経営のリスクを具体的に知る必要があります。そこで今回は、アパート経営の危険性や、その対策方法を解説します。アパート経営で地獄を見ないためにも、アパート経営のリスクと対策の両面を知りましょう。

[注1]時系列データ(昭和38年から平成30年まで)|知るぽると

「アパート経営はするな」と言われる理由は借金・トラブルリスクにある

「アパート経営はするな」と言われるのは、アパート経営に2つのリスクがあるからです。

よく知られているのは、慢性的に空室が続いたり、自然災害に見舞われたりして、多額の借金を抱えるリスクです。また、不動産管理会社に管理を委託するサブリース契約でトラブルが生じた事例もあります。

損をするリスク・多額の借金を抱えるリスクがある

アパート経営で損をする原因が、空室問題自然災害の2点です。

慢性的に空室が生じると、インカムゲインである家賃収入が減ります。アパートローンの返済原資に家賃収入を見込む場合は注意が必要です。とくにアパートは戸数を増やしづらいため、たった1戸の空室でも収益性に影響します。

また、経営するアパートが自然災害に遭うリスクもあります。建物に損害が生じた場合は補修費用がかかり、建て替えが必要になる場合も。もちろん、アパートに保険をかけていれば保険金から費用を捻出できます。

しかし、補修や建て替えを行う間、アパートから家賃収入を得られません。

一括借り上げ契約ではサブリース会社が優位にいる

サブリース契約とは、サブリース会社が物件を借り上げ、入居者へ転貸する契約のことです。

一定の家賃収入が見込め、アパートの管理を委託できることから普及しています。しかし、契約内容を確認していなかったり、悪質な会社と契約したりしたことが原因で、トラブルも発生しています。

2018年3月27日、消費者庁がサブリース契約の注意喚起をしています。サブリース契約には「家賃保証」がありますが、これは定額の家賃保証とは限りません。多くのサブリース契約では、サブリース会社が定期的に賃料を見直しています。

したがって、入居状況の悪化や家賃相場の下落により、契約期間中に賃料が減額される場合があります。また、契約内容によっては、契約期間中でもサブリース会社が一方的に契約解除できる点もポイントです。

同様に、悪質なサブリース会社にも注意が必要です。「定額の家賃保証」や「30年一括借り上げ」といった謳い文句で、巧みに消費者を騙すサブリース会社も存在します。

想定外の賃料減額や、唐突な契約解除が起きると、バランスシートが狂ってしまいかねません。建築請負契約のついでにサブリース契約を提示されるケースもあるため、契約内容は必ず把握しておきましょう。

リスクがあっても投資する人が多いアパート経営の魅力とは

「アパート経営はするな」という言葉の通り、アパート経営にはリスクがあります。しかし、それでもアパート経営に挑戦する人は今後も見込まれるでしょう。

国土交通省の報告によれば、2018年の貸家の着工戸数は396,404戸です。2017年からは5.5%の微減ですが、長期トレンドで見れば2009年から着工戸数は増加傾向なのが分かります[注2]。

ここでは、アパート経営のリスクを考慮してもなお、投資が後を絶たない理由を説明します。

[注2]建築着工統計調査報告 平成30年計|国土交通省総合政策局建設経済統計調査室[pdf]

インフレに強い資産となる

アパート経営では現物資産を持つため、物価が上昇するインフレ局面に強くなります。

インフレ時は不動産価格が上がるため、アパート自体の価値も高まります。また、インフレ局面では物価に加え居住者の給与水準も上がるため、家賃も引き上げられます。家賃の引き上げはインカムゲインの上昇につながります。

近年の日本経済はインフレ率の上昇がつづいています。インフレ率を測る指標として、「消費者物価指数(CPI)」という物価の動きを示す数値があります。総務省によれば消費者物価指数は2015年を基準に上昇傾向にあり、2018年では前年比1.0%の上昇です。

今後もインフレ傾向がつづくと見られており、アパート経営の強みが増しています。

相続税対策になる

アパート経営が相続税対策になることはよく知られています。実際、土地にアパートを建てると、建物と土地の両面で相続税評価額を下げられます。

アパートが建った土地は貸家建付地となり、地域の借地権割合によりますが、おおむね更地の8割程度の評価に。

また、相続の際は建物の取得価格ではなく、取得価格の60%が目安の固定資産税評価額が基準です。アパートの評価額は全国一律で30%減額されるため、取得価格のおよそ60%の評価減を得られます。

副業として始められる

アパート経営は本業の傍らにできることもポイント。日中忙しいサラリーマンでも、手間がかかるのは投資先の物件選びだけです。

サブリース契約などで賃貸管理会社に委託してしまえば、後は働きながら運用益を得られます。また、アパート経営をしていると「損益通算」ができる点も重要です。

仮にアパート経営で赤字が出た場合でも、赤字部分を自らの給与所得から差し引くことができます。結果として、確定申告の際に所得税や住民税を節税できるため、アパート経営は副業としても人気を得ています。

ローンが生命保険代わりになる

アパート経営のために銀行から融資を受ける際、「団体信用生命保険」に加入できます。

団体信用生命保険への加入には、取扱い金融機関の審査が別途必要ですが、万が一の際の心強いリスクマネジメントになります。

ローンの残債を1物件につき1億円まで保険会社が肩代わりしてくれる利点のほか、物件の所有権が家族に引き継がれるというメリットがあります。家賃収入も引き続き得られるほか、不動産の売却にも制限がありません。

団体信用生命保険は掛け金が割安であることも見逃せません。

取扱い金融機関ごとに利用者分をまとめて申し込む仕組みのため、ほかの生命保険と比べて掛け金が安く、なおかつ金融機関によっては掛け金が無料のところもあります。アパート経営に興味がある方は、生命保険としての効果も期待できるでしょう。

アパート経営が失敗する危険があるケースとそれぞれの対策方法

アパート経営はインフレ局面に強く、相続税対策になるなど、投資としての魅力があるのも事実です。

たしかにアパート経営には失敗する恐れがありますが、個々の危険性について正確に理解し、対策を立てておくことでリスクを軽減できます。そこで、アパート経営が失敗するリスク6点と、それぞれの対策方法を解説します。

立地条件が悪い(賃貸ニーズがない)地域・場所で経営する

アパート経営は入居者がいなくては成り立ちません。入居者がいなければ、インカムゲインとしての家賃収入を期待できず、アパートローンの返済原資にも充てられないからです。

利便性や生活環境が悪く、賃貸ニーズの乏しいエリアでアパート経営をすることには、慢性的に空室が生まれるリスクがあります。

また、賃貸需要の低い土地は、現物資産として見た場合の価値も低い傾向にあるため、不動産の値上がりや売却益が目的の場合もおすすめできません。

しかし、相続税対策として、すでに所有している土地をアパートとして活用したい方もいるでしょう。その場合は、家賃や共益費を抑えて、より立地のよいアパートと価格面で差別化を図るのがひとつの方法です。

また、駅から遠いなど利便性が悪い場合は、駐車場を用意しておくのも入居者を惹きつける要素です。

相場よりも高く物件を購入してしまった

「高利回り物件」や「高額賃料物件」などの謳い文句に惹かれ、相場よりも高い価格で物件を購入する人がいます。

たしかに数年は高い運用益を得られるかもしれませんが、不動産は建物が古くなるにつれて、どんどん資産価値が下がっていきます。

とくにアパートは物件の立地や利便性が悪いことが多く、資産価値が下がりやすい傾向にあります。万が一、アパートを手放すような状況になった場合、購入価格より損をしてしまう可能性の方が高くなります。

まずは近隣のよく似た物件と比較し、適切な相場を知ることが大切です。しかし、新築のアパートやマンションを購入したい場合、相場よりも高くなるケースがあります。その場合は長期的な修繕計画を用意しましょう。

建物の劣化を減らしたり、細かくメンテナンスしたりすることで、資産価値の低下を抑えられます。

経営方法が一括借り上げ契約(サブリース)しか選択肢がない

日中忙しいサラリーマンの方のように、アパート経営の選択肢がサブリース契約しかない場合は、契約内容に注意が必要です。

「定額の家賃保証」や「30年一括借り上げ」などの謳い文句があったとしても、サブリース会社は実質的に家賃を見直したり、契約期間中に契約を破棄したりできます。

たとえば、借入金を多くし、長年の運用益でアパートローンを返済するモデルを立てていた場合、突然の契約破棄によってバランスシートに狂いが生じるリスクがあります。

まずはサブリース契約の内容を把握し、とくに家賃保証や契約期間については必ず確認しておきましょう。

建物の修繕費用や原状回復費用の負担、契約解除の規定についても、こちらに不利な条件でないかチェックが必要です。

また、サブリース会社が倒産すると収入が得られなくなるため、経営状況についても調べましょう。

契約内容を理解し、サブリース会社と良好な関係を築くことができれば、サブリース契約はアパート経営の心強い味方になってくれます。

自己資金が少なく借入額が大きすぎる

一般的には物件価格に対し、諸費用も含めて20%~30%の自己資金が必要です。しかし、自己資金を用意できず、なかにはフルローンでアパートを購入する方もいます。

家賃収入で月々の返済額をまかなえるうちはよいですが、空室が増加したり、建物の経年劣化で家賃が下落したりすると、キャッシュフローがマイナスになってしまいます。また、借入額が大きいほど金利上昇時の影響が大きくなるため、結果として総返済額が増大しかねません。

最低でも、不動産の取得後に必要な不動産所得税や登録免許税などの諸経費の分は自己資金を用意しましょう。目安としては物件価格の8%~10%です。

自己資金のない状況でどうしてもアパートを購入したい場合は、金融機関の評価が高く信頼性のある物件か、投資総額を抑えられる中古物件を選びましょう。

災害・事故リスクへの備えがない

万が一の災害・事故リスクへの備えがないと、アパート経営で失敗するリスクがあります。

自然災害によって建物が壊れてしまったら、建物の修繕費用や、場合によって建て替え費用が必要です。また、建物を修繕したり建て替えたりしている間は、家賃収入が得られなくなります。

もし地震保険や火災保険に加入していなければ、こうした負債や諸経費をすべて自前で払わなくてはなりません。

地震保険や火災保険に加入することで、万が一の際に資産を守ることができます。とくに火災保険は「総合保険」と呼ばれるように、水災リスクや台風・落雷による被害もカバーしているため重要です。

また、地震保険は単体で契約できず、火災保険と同時に加入しなければならない点に注意です。

賃貸管理会社に任せきりにする

賃貸管理とは、賃料の徴収や、入居者の募集、クレーム対応などの業務の総称です。日中に時間がとれない方は、こうした業務を賃貸管理会社に任せがち。

しかし、形だけの入居募集しかせず、原状回復費用を過剰に請求する悪質な賃貸管理会社もあります。経営するアパートにほとんど足を運ばない方は、こうした実情に気がつかず、結果としてアパートの収益性を下げる可能性があります。

賃貸管理会社を選ぶ際は、賃貸管理の良し悪しが収益性につながるというイメージを持ちましょう。

賃貸管理に定評のあることはもちろん、レスポンスが早く、担当者との連絡がつきやすいという点もポイントです。賃貸管理会社と密にコミュニケーションを築くことができれば、物件の現状を正確に把握できます。

まとめ

「アパート経営をするな」と言われる理由は、アパート経営にリスクがあるからです。しかし、アパート経営にはインフレ局面への強さや相続税対策などの魅力があり、挑戦する人が跡を絶ちません。

たしかにアパート経営にはリスクがありますが、リスクの背景を理解し、対策方法をとることで、リスクに備えることができます。

アパート経営に興味のある方は「アパート経営をするな」という言葉の真意を理解し、アパート経営のリスクと対策の両面を知りましょう。

ABOUT ME
フドシル専属監修者 東
フドシル専属監修者 東
株式会社TonTon 不動産管理課 マネージャー。 2017年、不動産管理事業の立ち上げから1年半で650戸を新規受託。 リーシング、入居者対応、トラブル対応、リフォーム、保険対応、キャッシュフロー見直しなどあらゆる業務をこなす。 自身も不動産オーナーとして日々奮闘中。 2018年、賃貸不動産経営管理士試験合格。
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