賃貸経営

アパート・マンション経営の利回り計算方法|実質利回りや高利回りなど用語解説から注意点まで

アパート・マンション経営の利回りの目安と計算方法|正しい考え方から注意点まで徹底解説

アパート経営やマンション経営といった不動産投資で成功するためには、投資家のみなさんが「利回り」について正しく理解する必要があります。

利回りとは、投資金額に対してどのくらいの収益があがるかという割合を示す数値です。

利回りは物件選びの際に優良物件を見極めるための指標となりますが、高利回り=優良物件というわけではありません。

利回りの算出方法や相場、リスクやリターンの考え方を正しく理解し、確実に収益があがる投資物件を手に入れ、適切なアパート経営・マンション経営を行いましょう。

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アパート経営・マンション経営における利回りとは?

アパート経営・マンション経営における利回りとは?アパート経営・マンション経営における利回りとは?

「利回り」とは、「支出に対する利益の割合」のことです。

アパート経営やマンション経営での利回りは、「物件取得金額に対して年間どの程度の家賃収入が得られるか」を表します。

利回りの数字が高いほど収益性が高く、低いほど収益性が低いということを指します。

不動産投資の物件情報などを見ると「利回り〇%」という表記がされているため、一見、「利回りが高い物件を選べば儲かる」という気がしますが、そういうわけでもありません。利回りだけで優良物件だと判断することは、実はとても危険な行為です。

例えば、東京の一等地の物件と、人口の少ない地方都市の物件を比べてみましょう。

  • 東京の一等地:土地の価格が高い→低利回り
  • 地方の物件:土地の価格が低い→高利回り

この2つの物件の年間収益が同じ場合、利回りの数字だけ見ると、地方物件の方が高くなります。

しかし、「市場ニーズはどちらが高いか」という視点に立つと、地方よりも東京の一等地に住みたいという人の方が多いことがわかるでしょう。

ニーズが高い方が、空室リスクが少なく、出口戦略が立てやすくなるため、事業を成功させられる可能性が高まります。

利回りの数字だけにとらわれず、リスクとリターンを適切に判断することが重要です。

※これから土地を購入して不動産投資を考えている方はこちらの記事もご参考ください。

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リスク&リターンから見る正しい利回りの考え方

利回りとは「投資に対してどの程度のリターンが得られるか」を示していると同時に、リスクの指標ともなっています。

投資におけるリターンには、キャピタルゲイン(資産の売却時に得られる一時的な収入)とインカムゲイン(資産の保有時に得られる継続的な収入)の2種類があります。

通常、不動産投資での利回りにおいては、インカムゲインを指します。

アパート・マンション経営で特に注意したいリスクは、「空室リスク」です。家賃収入が得られなければ、事業が立ち行かなくなるためです。

ここで、同額の家賃年収を稼ぐ、2つの居住用賃貸物件を比較してみましょう。

物件A(都心部)物件B(地方・郊外)
年間収入240万円240万円
物件価格6,000万円3,000万円
利回り4%8%
市場ニーズ高い低い
空室リスク低い高い
→ローリスクローリターン→ハイリスクハイリターン

収益率が高い投資はリスクも高く、収益率が低い投資はリスクも低いということがわかります。同じ収入を得られる物件でも、立地条件の差で投資金額や利回りに大きく開きが出るのです。

そのため、不動産投資では、リスクとリターンが高すぎず低すぎず、バランスの良い利回りの物件を選んでいくことが重要となります。

一般的に、都内の利回りの相場は3%を基準に考えます。新築で3〜5%、中古で5〜7%が、都内のアパート・マンション経営における利回りのだいたいの相場となっています。

利回りの種類と計算方法

「表面利回り」と「実質利回り」利回りの種類と計算方法

不動産投資でよく使われる指標は、「表面利回り」と「実質利回り」です。優良物件を判断したり、利益を考えて収支計画を立てたりするのに使います。

この2つは計算方法・利回りから判断できる内容が異なるため、物件を比較する際には、どちらの利回りが使われているかを認識することが重要です。

また、アパート経営で利回りを考える際には、満室なのか空室なのかで収益に大きく差が出ます。入居率を考慮した利回りの考え方についても理解しておく必要があります。

表面利回り

「表面利回り」とは、アパート経営で得た年間の収入を物件の購入価格で割ったものです。その物件の収益力をはかる指標として、よく物件情報などに掲載されています。

計算式
  • 表面利回り(%)=年間利益(家賃収入)÷投資額(不動産購入価格)×100

注意点は、上記の表面利回りには、物件の購入時にかかる費用や、アパート経営にかかる諸経費などの経費が考慮されていないということです。

そのため表面利回りでは、実際に手元に残る正確なお金を計算することはできません。

例えば、購入価格が3,000万円のAとBのアパートの表面利回りは、以下のように計算します。

A年間収入240万円
表面利回り=240万円/3,000万円×100=8%
B年間収入300万円
表面利回り=300万円/3,000万円×100=10%

不動産購入価格が同等の場合、年間家賃収入が高いBのアパートの方が、表面利回りが高くなります。

表面利回りは、物件ごとの利益を比較するときや、融資の計画書への記載などに用います。

実質利回り

「実質利回り」とは、物件に毎年かかる税金や経費、建築時の諸経費などを加味した利回りのことです。

表面利回りよりも、正確な収益力を判断することができます。

計算式
  • 実質利回り(%)=(年間利益(家賃収入)-年間必要経費)÷投資額(不動産購入価格)×100

年間必要経費に含まれるもの

  • 各種税金(固定資産税、都市計画税など)
  • 各種保険料(火災保険料、地震保険料など)
  • 管理費、修繕積立金 …など

投資額(不動産購入価格)に含まれるもの

  • 物件購入価格
  • 登記費用
  • 司法書士報酬
  • 不動産取得税
  • 印紙代 …など

実質利回りを見る際に気をつけておきたいのが、経費はあくまでも想定額であるということです。必ずしも実際に運用した結果と一致するとは限りません。

満室想定利回り(満室時の利回り)

「満室想定利回り」とは、収益物件の入居が満室であると想定したときの利回りのことです。

計算式
  • 想定利回り(%)={(満室想定収入(募集賃料含む)/月間×12ヶ月} ÷ 物件購入価格

一般的に、表面利回りは「満室」を前提として計算されています。

不動産物件情報などに記載されている利回りは、満室想定利回りであることが多いです。

実際アパートを運用していく中で、入居率はどの程度になるかはわかりません。

空室が増えると年間の家賃収入も変わってくるため、満室想定利回りはあくまでも目安として考えるようにします。

現況利回り(現在の賃貸状況)

「現況利回り」とは、実際に得られている収入をもとに計算された利回りです。

中古アパートなどで、現在のオーナーが受け取っている賃料をもとに計算します。

計算式
  • 現況利回り(%)=(現況家賃収入/月間×12ヶ月)÷物件購入価格

通常、物件情報などに掲載されている表面利回りは満室想定ですが、中古アパートなどでは現況の表面利回りを併記していることがあります。

現況利回りは実際の収益性を確認することができるため、これからの運営を考えるのに非常に参考となります。

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利回りをアパート・マンションの経営判断に使用する際の5つの注意点

利回りは物件の収益力をとらえるための重要な指標となりますが、あくまでも1つの目安です。利回りの数字だけで判断すると、実際に手元に残ったお金が想定以上に少なくなってしまうこともあります。

アパート経営を適切化するためには、実態の数字にできるだけ近い利回りを算出する必要があります。

利回りと合わせて立地条件やニーズ、コストといった各要素も確認しながら、しっかりと利益を確保しましょう。

所有物件の経営判断の際は実質利回りを参考にする

不動産投資における実態を表す利回りは、実質利回りです。新たな収益物件を買うか否か、所有している物件の経営がうまくいっているか否かは、ランニングコストを加味した実質利回りを見て判断できます。

実質利回りの理想は、10%以上と言われています。

そのときの金利や市場の状態等によっても異なりますが、実質利回り10%以上あれば、どのような物件でも大半がキャッシュフローに余裕が出ます。

実質利回りが低い場合は、空室率を改善することで経営を改善することが可能です。

入居者が少ない原因として、部屋の設備が充実していない・外観が悪いなどの理由で入居者が他物件へ流れていることが考えられます。

部屋のリフォームや外観・共有部の修繕・ニーズの高い設備を導入することで物件の価値を高め、入居率アップが期待できます。

また、入居者がこまめに入れ替わると、部屋の原状回復や広告料などに余計に費用がかかってしまいます。

入居期間を長くするためには、管理会社を見直したり清掃を増やしたりと入居者への対応や住み心地を良くすることが大切です。

あまりに利回りが低い状態が続く場合は、損失が出る前に不動産売却も検討してみましょう。

所有物件によって異なるキャッシュフローを重視する

所有物件によって異なるキャッシュフローを重視所有物件によって異なるキャッシュフローを重視する

不動産購入時には利回りが重要な指標となりますが、最終的に重要な点はキャッシュフローの確保です。キャッシュフローとは、投資で得た収入から支出を差し引いて手元にどの程度のお金が残ったかというお金の流れのことです。

実質利回りは、年間必要経費は考慮されますが、税金や不動産ローン返済額については考慮されていません。実質利回りから税金と住宅ローン借入金返済額を差し引くと、キャッシュフロー利回りを算出することができます。

投資資金のうち自己資金額があがるにつれてキャッシュフローは高い数字となり、借入の割合が増えるとキャッシュフロー利回りは低くなります。

実質利回りが5%程度の物件を借入金70%で購入した場合、キャッシュフロー利回りは2〜3%程度です。実質利回りが3%を切るような物件では、キャッシュフロー利回りが0〜1%となることもあります。

あまりに低すぎる利回りだと、空室が発生したときにキャッシュフローがマイナスになる可能性もあります。

賃貸アパート・賃貸マンション経営では利回りが低いとリスクも低いですが、あまりに利回りが低すぎるとキャッシュフローが確保できない可能性もあるため、綿密な事業計画が重要となります。

新規物件購入には適正な利回り感を身に着けておく

ほとんどの物件情報には、実質利回りではなく表面利回りか想定利回りが掲載されています。新しく投資用不動産を購入するときには、利回りの感覚を身に着けておくことが大切です。

適切な実質利回りは4〜6%程度が目安と言われています。一般的な経費率30%を使って換算すると、適切な表面利回り5.7~8.6%となります。

このことから表面利回り5.7%以下の物件は価格が高く、8.6%以上の物件は購入後の運用リスクが高い可能性があるため、慎重に検討を行います。

また、中古の場合は物件購入価格が低くなるため表面利回りは高くなりますが、修繕費用などがかさむため手元に残るお金は少なくなります。

都心部の投資用マンションの表面利回りは、だいたい以下のような値が相場です。

<都心部の表面利回りの相場>

区分マンション木造一棟アパート
新築4~6%程度4~6%程度
中古5〜8%程度6~8%程度

アパートの場合は、マンション投資より価格が低く利回りは高くなる傾向にあります。

もっと実際の運用に近い利回りを考えるなら、空室率を加えた表面利回りを算出して検討すると良いでしょう。

計算式
  • 空室率を加えた表面利回り=年間利益(家賃収入)÷投資額(不動産購入価格)×(100 – 空室率)

特に空室リスクが多い地方の物件の場合、満室想定ではなく空室率についても考えておくことが大切です。

利回りの数字のみで判断しない

利回りの数字はあくまでも目安です。基本的には利回りが高い物件の方が有利ですが、利回りの数字のみにとらわれず他の要素も十分に考慮しての事前検証が必要です。

以下のような条件も考慮して、収益性や物件価値など総合的に見て判断します。

  • 空室率
  • 立地条件
  • 築年数
  • 間取り、広さ
  • 売買価格の相場
  • 上層階・角部屋などの付加価値

利回りが高いということは、物件の価格が安いという可能性があります。例えば、借地権物件など低価格の理由が明確な場合もあるため、購入する前にはリスクやニーズをしっかり考慮します。

反対に、利回りが低くても、立地条件等が非常に良く需要が高いなら、投資対象として価値のある物件であるといえるでしょう。

リノベーションや設備投資を行うことで、満室も十分期待できます。

家主(管理会社)の腕次第で利回りが変わる

家主(管理会社)の腕次第で利回りが変わる

実質利回りは、毎月のランニングコストはもちろんのこと、さまざまなコストやリスクによって大きく変わります。どの程度の収益が出るかは、家主や管理会社の腕にかかっているといっても過言ではありません。

毎月のランニングコストも加味した実質利回りを算出し、そこから修繕リスクや空室リスク、募集時の広告料などを踏まえた状態で購入の判断をします。考慮すべき内容は、以下にあげるコストやリスクです。

①毎月のランニングコスト

不動産投資物件の運用には、入居者や建物の管理等といったコストが毎年かかります。

  • 賃貸管理料
  • 建物管理料
  • 水道光熱費
  • インターネット代(インターネット代無料の物件の場合)
  • 修繕積立金 …など

建物の質を保ち入居者確保するためにも、必要なコストはきちんとかけていくことが重要です。

②年間のコスト

不動産物件を保有していると、収益の有無には関わらず、毎年税金支払が発生します。

必ず各種税金(固定資産税、都市計画税など)を計算し、資金計画を立てておきましょう。

③退去時、新規募集時のコスト

賃貸住宅では入居者が退去すると、部屋を原状回復させるための費用がかかります。

空室率を下げないためには、入居者募集のための広告料などの支払いが必要です。

不動産会社に入居者を紹介してもらうと、仲介手数料として賃料の1ヶ月分ほどがかかります。

また、他物件より優先して入居者を紹介してもらうために、賃料の0.5〜3ヶ月分程度の宣伝広告費を支払うこともあります。

④空室時の損失

空室分の損失もはじめから見込んだ上でシミュレーションします。

ここで大切なことは、その物件で365日のうち何日間賃料が発生しているかという「稼働率」です。

総戸数が10戸の物件で1〜6月は全戸空室、7〜12月が全戸満室だとすると、12月時点での入居率は100%ですが、年間の平均稼働率は50%となります。

極端な例ですが、満室だった場合の半分に家賃収入が減ることとなります。

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まとめ

不動産投資において、利回りはとても重要な指標です。

しかし、利回りの数字だけで購入する投資物件を決めることは、危険な行為であるといえます。見せかけの利回りに惑わされず、物件を購入した後の資金繰りをしっかりと考えなければなりません。

アパート経営・マンション経営で大切なことは、投資家のみなさんの手元に確実にお金を残すことです。

利回りの数字と共にさまざまなリスクやコスト・ニーズといった要素も考慮して綿密な事業計画を立てましょう。

ABOUT ME
フドシル専属監修者 東
賃貸不動産経営管理士。 2017年、不動産管理事業の立ち上げから1200戸を新規受託。 リーシング、入居者対応、トラブル対応、リフォーム、保険対応、キャッシュフロー見直しなどあらゆる業務をこなす。 自身も不動産オーナーとして日々奮闘中。 株式会社TonTon執行役員。
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