所有している土地を駐車場にして、利用者から賃料収入を得る駐車場経営。気軽に始められる土地活用の方法として注目されていますが、駐車場経営に適した土地に設置しなければ、収益を上げることは困難です。
駐車場経営は低コストで始められることが大きな魅力とも言えますが、全く賃料収入を得られなければ、土地活用の意味がありません。
そこで今回は、駐車場経営のメリットとデメリットから、駐車場経営が最適な場合について詳しく説明します。
さらに、駐車場の種類や初期費用についても解説しているため、土地活用として駐車場経営を検討している方は、ぜひ参考にしてください。
目次
【アパート経営と駐車場経営】土地により異なる向き・不向き
土地が持っている特性により、最適な活用方法は異なります。所有している土地の特性を把握した上で、最適の投資方法を選ばなければ収益は見込めません。
まずは所有している土地が、アパート経営と駐車場経営だとどちらに向いているのかを判断する方法を紹介します。
基本の判断基準は、以下の3点です。
- 投資・経営のハードル
- 土地の対応性
- 収益性
投資・経営のハードル
投資や経営のハードルは駐車場経営の方が低いです。
駐車場経営は、アパート経営に比べて初期投資にかかる費用が少ないだけでなく、失敗しても新しい活用方法に移行しやすいためです。
また、駐車場経営はアパート経営のように、入居者対応に追われる可能性も低く経営しやすいという特徴があります。
投資の経験が少ないなど、投資や経営のハードルが低い活用方法を選びたい場合は、駐車場経営の方が適しているでしょう。
土地の対応性
所有している土地が、高低差がなく道路に接している場合は、駐車場経営が向いています。
土地に高低差がないと駐車しやすく、道路に接した土地でなければ、駐車時に車の出し入れがしやすいためです。
一方で、所有している土地にある程度の広さがあり、駅に近いなど利便性が高い場合は、駐車場よりもアパート経営の方が有効でしょう。
収益性
駐車場経営の方がアパート経営に比べて、収益性が低いという特徴があります。駐車場経営での賃料収入が、アパート経営による賃料収入に比べて低いためです。
さらに、平地の駐車場の場合は、土地の広さで駐車できる車の数が決まるため、得られる収益にも限界があります。
アパート経営であれば、駐車場よりも1契約あたりの賃料が高く、階数を多くすることで、限られた土地でも、収益性を高めることができます。
土地活用として駐車場を経営するメリット・デメリット
その他の土地活用と同様、駐車場経営にももちろんメリット・デメリットが存在するため、きちんと把握した上で経営を行いましょう。
ここからは、土地活用として駐車場を経営するメリット・デメリットについて、詳しく解説します。
駐車場経営のメリット
駐車場経営を行うメリットは、以下の4点です。
初期費用や維持費が少ない
駐車場経営は、他の土地活用に比べて少ない資金で始めることができます。コインパーキングなど専門の設備導入がする駐車場でも、初期投資代は賃貸アパートやマンション経営ほどかかりません。
投資資金が少ないため、銀行などの金融機関から融資を受けて投資を始める場合でも、融資を受けやすく返済しやすいという点が特徴です。
また修繕費やメンテナンス費なども、精算機や車止めなどの機器類、さらにフェンスや敷地内の舗装にしか発生しないため、アパート経営と比較してとても安価です。
アパートのように老朽化しても賃料を下げる必要はなく、災害等で破損しても少額の負担で再開できます。
転用しやすい
駐車場経営は、建物を建築する必要がないことに加え、売却時にも建築物の解体費用がかからず更地にも戻しやすいため、転用性が高い点が大きな魅力です。
また、駐車場はアパートなどの不動産と異なり「借地借家法」は対象外です。利用者に立ち退いてもらう際は、事前の通告のみで1~3ヶ月程の期間で行えます。
基本的に契約期間も2年ほどであり、管理コストも比較的低いことから、駐車場経営は投資リスクの低い活用方法であると言えます。
活用しにくい土地でもできる
駐車場経営は立地を問わず行えるため、アパートやマンションなどが建てられないような、狭い土地でも始められます。
さらに「市街化調整区域内」という建物の建築に制限がかかっている区域でも、駐車場であれば制限されることなく設置することが可能です。そのため、他の活用方法が向かないような土地でも活用することができます。
労力がそれほど必要ではない
駐車場を設置した後の主な業務は、駐車場の清掃や敷地内での事故の対策などです。
入居者とのトラブル対応など人への対応が発生するアパート経営と比べて、駐車場経営はオーナーの労力がそれほど必要ではないと言えるでしょう。
敷地内での事故が起こった場合も、駐車場の不具合による場合を除き、オーナーの管理責任が問われるケースはあまり多くありません。
駐車場経営のデメリット
駐車場経営におけるデメリットは、以下のものがあります。
税務上の優遇を受けられない
土地の活用方法として駐車場経営を選んだ場合は、税制上の優遇を受けられません。土地を所有していると固定資産税や都市計画税が発生しますが、活用方法によっては税金の額が軽減されます。
例えば住宅を建てた場合、固定資産税が最大で1/6、都市計画税も1/3まで減額することが可能です。しかし駐車場を設置した場合、税法上では「更地」と同じ扱いを受けるため、税金の軽減措置を受けることができません。
また、土地にアパートを建てた場合は土地の相続税評価が下がるため、相続税の額も減額されますが、駐車場の場合は減額されないため注意しましょう。
収益が少ない
駐車場経営は、初期投資の額や維持費用が低い一方で、収益性の低さに注意しなければなりません。土地の広さは決まっているため、収容できる車の数にも限界があり、得られる収益にも上限が発生します。
立体駐車場(タワーパーキング)にして、限られた広さを高さでカバーする方法もありますが、その分初期投資費用や維持費などは増加してしまいます。自分の土地に駐車場のニーズがあるかどうかは、入念に調査しましょう。
駐車場の種類と4タイプの経営方式|それぞれの初期費用について
駐車場の種類は、「月極駐車場」と「コインパーキング」の2種類に分けることができます。土地の周辺環境により適切な方法を選ぶ必要があります。
月極駐車場
駐車スペースを月単位で利用者に貸し出し、賃料を得る駐車場です。
コインパーキング経営に比べて、車止めや精算機を設置する必要がないため、以下のような特徴を持っています。
- 駐車台数を多く取れる
- 設備投資にお金がかからず維持費も安価
自己資金がなくても住宅地や郊外に土地を所有している場合は、簡単に始めることができ安定収入を得られます。
一方で、賃貸契約に空きが出た場合は、収入の減少が大きくなります。コインパーキングよりも新規の契約者募集に力を入れる必要があるため、注意しましょう。
コインパーキング
駐車スペースを時間単位で利用者に貸し出す駐車場です。駅近や商業施設の周辺など需要のあるエリアにおいては、月極駐車場よりも多くの収入を得られ、高い利回りが期待できるでしょう。
しかし、月極駐車場よりも需要のあるエリアが限られてくる点と、初期投資や維持費などのコストがかかるというデメリットがあります。
月経駐車場・コインパーキングは、それぞれの経営方式により5つのタイプに分かれます。ここからは、それぞれのタイプについて詳しくご紹介します。
月極駐車場・自己経営方式
方式の特徴
整地や運営・管理業務のすべてを自分で行う経営方式です。
駐車区画割・設備導入や駐車料金等の経営計画はもちろん、利用者の募集や集金、クレーム対応、敷地内の清掃なども行います。近隣道路に契約募集の道路看板を設置したり、折り込みチラシを作成するなどの地道な募集努力が必要です。
メリット・デメリット
月極駐車場の自己経営方式のメリットとデメリットは以下の通りです。
メリット | デメリット |
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初期投資額の相場
自己経営方式の場合は、整地や設備の導入にかかる費用をすべてオーナーの費用から賄わなければなりません。それぞれの初期投資額の相場は、以下を参考にしてください。
舗装タイプ | 1㎡あたりの 舗装費用 | その他の費用 |
未舗装 | 3,000円/㎡程度 | 区画用ロープ:40〜50円/m 歩道縁石の切り下げ工事:約50万円 |
アスファルト舗装 | 5,000円/㎡程度 | ライン引き:50,000円〜/5台 駐車番号:700〜1,000円/1枚 車止め:3,500円/1個 歩道縁石の切り下げ工事:約50万円 |
コンクリート舗装 | 8,000円/㎡程度 |
設備 | 設置費用 |
フェンス | 約1万円~/1台 |
監視カメラ | 約2万円~/m |
場内照明 | 3万円前後/1基 |
月極駐車場・管理委託方式
方式の特徴
月極駐車場の運営や管理業務を不動産業者に委託する方式です。
利用者の募集や集金、クレーム対応、敷地内の清掃などは、不動産業者が行ってくれますが、駐車区画割や駐車料金等の経営計画は自分で行う必要があります。
メリット・デメリット
月極駐車場の管理委託方式のメリットとデメリットは以下の通りです。
メリット | デメリット |
点検や清掃だけでなく、契約業務や賃料の回収など駐車場を管理する手間やコストを削減できる | 駐車区画や利用料金などの設定は自ら行う必要がある |
管理を不動産業者に任せられる一方で、収益を伸ばすための経営戦略は自分で立てる必要があるため、オーナーの力量が問われる管理方式と言えるでしょう。
初期投資額の相場
初期投資として必要な費用は整地費用のみで、舗装する種類や駐車場を区画する方法によって、費用は異なります。詳しい相場は、月極駐車場・自己経営方式でご紹介した舗装タイプ別の相場を参考にしてください。
月極駐車場・一括借上方式
方式の特徴
駐車場を不動産業者が一括で借り上げて管理を行うだけでなく、マーケティングも担当し駐車区画の割り方や、料金設定等の計画も不動産業者が提案してくれます。
そしてオーナーは、不動産業者から毎月一定の賃料を受け取ることができます。
メリット・デメリット
一括借上方式には、管理委託方式とは異なったメリットとデメリットがあります。
メリット | デメリット |
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収益を伸ばすための経営戦略は不動産業者が立ててくれるため、管理委託方式と比べてオーナーの力量はそれほど問われません。
一方で、初期費用はオーナーが負担する必要があり、賃料収入も駐車場の契約数を問わず一定であるため、収益を最大化できない点に注意しましょう。
初期投資額の相場
管理委託方式と同じく、整地費用のみが初期投資費として必要です。
10台の車を駐車できる広さであれば、最も安い未舗装の場合は70~80万円ほどで、最も高額なコンクリート舗装では200万円弱の初期費用が発生すると考えておきましょう。
コインパーキング・土地賃貸方式
方式の特徴
コインパーキング業者に土地だけを貸し、毎月の土地の賃料を収益として得られる方法です。駐車場の設備の設置や管理、集客などはコインパーキング業者が全て行ってくれます。
メリット・デメリット
土地賃貸方式のメリットとデメリットは以下の通りです。
メリット | デメリット |
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自己経営方式と比べて、初期投資がかからず収入が安定している反面、収益が最大化できない点に注意が必要です。
初期投資額の相場
整地費用のみを負担するコインパーキング業者の場合は、月極駐車場の場合と同じく、10台分の駐車場であれば未舗装で70~80万円程度、コンクリート舗装で200万円程度の初期費用が必要です。
コインパーキング業者によっては、整地費用も全て負担してくれるところもあります。
コインパーキング・自己経営方式
方式の特徴
月極駐車場の自己経営方式と同様、駐車場の設置や土地の整備などから、運営・管理・集客までをすべて自分で行う方式です。
料金精算機やフラップ板などの設備を設置する必要があるものの、稼働状況によりさらなる高収入が狙えるという特徴があります。
近隣にコインパーキングがある場合は、競合に負けない料金を設定するなど集客のための経営計画を練る必要があります。
メリット・デメリット
自己経営方式のメリットとデメリットは以下の通りです。
メリット | デメリット |
稼働状況が高いと高収入が狙える |
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初期投資額の相場
整地費用に加え、精算機や車止めの購入代金として数百万の費用を負担する必要があります。そのため駐車場経営の中では、最も初期投資費がかかる方法だと言えるでしょう。
具体的な初期投資額については、月極駐車場の自己経営方式で必要となる設備投資額と以下を参考にしてください。
設備 | 設置費用 |
料金精算機 | 60~100万円/1台 |
フラップ板 | 約20万円/1台 |
まとめ
駐車場経営を行う上で、所有している土地の活用方法として駐車場経営が相応しいかどうかを判断することはとても重要です。
なるべくリスクを避けたいという理由だけで判断するのではなく、所有している土地が駐車場に適しており、かつ収益が見込めるかを事前に検討しましょう。
駐車場経営にも様々な形態があるため、それぞれの違いを理解した上で、オーナー自身が土地をどのように活用したいかを考えて選択する必要があります。
ここまでの内容を参考に、ぜひ所有している土地や自己資金額に適した駐車場経営を選んでください。

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