借地上での建て替えは要注意!トラブル・契約解除の回避方法とは?

借地上での建て替えは要注意!トラブル・契約解除の回避方法とは?

いま住んでいる土地・借りている土地に借地権が設定されている場合、自由に建て替えができません。

借地権とは、他人から地代を払い土地を借りている権利です。借地権が設定されている土地とは、いわゆる他人から借りている土地ということになります。

そのため、借地が設定されている土地を借りている場合、土地所有者から建て替えが制限されているケースもあります。

勝手に建て替えした場合、借地権を解除されてしまう恐れもあります。そこで今回は、借地上での建て替えは要注意であること、そしてトラブル・契約解除の回避方法を紹介します。

借地上での建て替えにおける3つの重要事項

借地上での建て替えをするにはどうしたらいいのかを知る前に、借地権について簡単に学んでいきましょう。借地権を知ることで、どのような場合に建て替えができるのか、どのような許可が必要となるのか理解を深めることができます。

借地権には契約期間が定められており、一般的な借地権の契約期間は30年以上です。更新したい場合、最初の更新は20年以上、2度目の更新からは10年以上ごとという更新による期限が法律で定められています。

借地権は、このように定められた契約が終了すれば土地を地主に返還しなければいけません。そのため、地主との間で増改築禁止特約がある場合は、特約に反して勝手に建物を建てるなど地主(=借地権設定者)との契約や意思に契約違反するようなことがあれば、借主と地主の信頼関係が破壊され、借地権は地主により契約解除される場合があります。

しかし、契約時に借りた・建てた建物は寿命や用途変更により、契約期間内に建物を建て替えざるを得ない時期がやってくることもあります。

こうした場合には、以下のような方法で建て替えを行うことが可能です。

①借地にある建物の建て替えに必要な「地主の承諾」

借地上にある建物を建て替える場合に地主の許可が必要です。

上記で簡単に説明したように、借地権には期限が設けられているため、建て替えをする場合には地主から許可を得なければなりません。

②建て替えできないケースと地主に無断で建て替えるリスクについて

地主との間で増改築禁止特約がある場合・建て替えに関して地主から承諾を得られなかった場合は、建て替えすることができません。

万が一、承諾を得られないままに建て替えした場合には、契約違反行為に該当し借地権契約が消滅、立退きを要求される場合があります。

ちなみに、建て替えとは「再建築」を意味します。

そのため、全ての工事に承諾が必要なわけではなく、承諾が不要な場合もあるため、それぞれみていきましょう。

  • 承諾が不要な増築
    クロスの張り替え・屋根・外壁のような劣化を修繕するためのリフォーム
  • 承諾が必要な増築
    全面改装や間取りを増やすなど、床面積が増えるリフォーム

毎日生活をする上で、どうしても建物は劣化するものです。この場合には承諾は不要ですが、フルリフォームや間取り変更のような大規模な修繕に関しては、承諾が必要です。

無許可で施工を行いトラブルにならないよう注意しましょう。

③更地にした土地から算出される「建て替え承諾料」

地主によっては建て替え時に承諾料(=譲渡承諾料)を支払うケースがあります。

これを建て替え承諾料と言い、一般的な相場額は建物の材質により異なるので注意しましょう。

また、増築に関しても承諾料が必要となる場合があります。それぞれ、以下の表にまとめたので参考にしてください。

木造(非堅固建物) 鉄筋(堅固建物)
建替承諾料 更地価格×2〜5% 更地価格×8~12%前後
増改築承諾料 増改築費用の10%程度

更地価格とは地価のことです。地価は自治体や国土交通省のホームページから固定資産税評価額を見ることで調べることが可能です。

さらに、木造か鉄筋か構造により承諾料が異なる理由は、建物の寿命の長さが深く関係しています。木造の耐用年数は20~24年に対し、鉄筋は41~50年です。

建物の寿命が長くなれば、借地契約も長くなる可能性があります。そうなると、地主へ土地を返還するまでの残存期間が伸びてしまうため、建物の形状により承諾料が異なるという仕組みです。

承諾なしに建て替えを行ってしまうと、借地契約を解除されるケースもあるので、自己判断で行動しないよう注意してください。

気を付けておきたい「定期借地」について

借地権には、更新ができる契約と更新しない契約があります。これを「定期借地権」と呼び、時期が来たら借地契約が終了する契約です。

定期借地権には3つの種類があり、それぞれ契約期間と方法が異なります。定期借地権の違いについて比較してみましょう。

契約期間 契約方法
一般的な借地権 30年以上 口頭でも可
定期借地権 50年以上 公正証書等での契約
事業用定期借地権 10年~50年未満 公正証書での契約
建物譲渡特約付き借地権 30年以上 口頭でも可

上記の表をみてわかるように、定期借地権のように契約期間が長くなる場合は、契約書での締結が必要です。

また、事業用定期借地権という事業を行う場合の長期的な借地権の場合は、公正証書という公正役場で作成した書面での契約が必要となります。

このような規制の多い定期借地権が制定されたのには理由があります。平成19年1月以前までの借地法では、一般的な借地権でも50年以上の契約が可能でした。

しかし、このように存続期間が長すぎると、地主に土地が返還されにくくなるため、土地を貸し出そうとする地主が減少するという事態に陥ってしました。

そこで、地主の権利も保護するために、以前よりも借地権が短くなり、定期借地権のように様々な種類の借地権を制定するために借地法が改定されました。

つまり、定期借地権は「時期が来たら地主にきちんと土地を返す」という法律であり、通常の借地権よりも規制が厳しくなっています。

定期借地権は建て替えで借主が不利になる

通常の借地権とは異なる定期借地権ですが、建て替えについてもみていきましょう。

定期借地権の場合、通常の借地権と同様に建て替えすることは可能ですが、借主(=借地人)に不利となるケースがあります。

一般的な借地権 定期借地権
建て替え 地主の承諾が必要 地主の承諾が必要
更新の有無 更新可能 更新不可
建物買取請求権 請求できる 請求できない

地主に建て替えを拒否されたら「借地非訟」を検討しよう

借地上の建物を建て替えたい場合、地主の許可が必要となりますが、地主から許可をもらえなかったり、建て替えの更新拒絶された場合は、「借地非訟(しゃくちひしょう)」を検討するという方法もあります。これは、借地非訟事件とも呼びます。

借地非訟とは、裁判所が地主に変わって承諾や許可を与える法的な措置です。この借地非訟は、賃貸借契約のトラブルを避けるための予防策のひとつとされています。

借地非訟の流れ
  • 裁判所に申立書を提出
  • 裁判所が当事者(借地人と地主)の意見の聴衆
  • 鑑定委員会が土地を調査
  • 裁判所の審査
  • 決定書の送付

借主が建て替えをしたいと申立てているにも関わらず、地主が建て替えを拒否し、話し合いが平行線のままだと、土地を借りた目的を達成することができません。建物の劣化がある場合、使用者の身に危険が及ぶ可能性もあります。

このような場合、裁判所に地主に代わる建て替えの承諾を求めることが可能です。

借主の申し出てに正当性があり、かつ建て替えたとしても地主に不利益なことがない場合一般的には借地非訟で地主に代わる承諾を得ることができます。

ただし、借地非訟は、建物の建設費用を支払った2カ月以内に申請しなければ手続を行うことができません。また、地主との関係が悪化する恐れもあるので、できるだけ話し合いで解決できるよう努めましょう。

まとめ

借地上の建物を建て替えたい場合には、地主の許可が必要です。許可もなく勝手に建て替えした場合は借地契約が終了してしまう可能性もあるので注意しましょう。

建て替え以外にもリフォームなどの大規模改修をした場合、承諾が必要になる場合があります。自己判断で工事を行い地主とのトラブルにならないよう、承諾を得ておいた方が無難です。

契約期間が過ぎれば契約が満了する定期借地権の場合、建て替えしても契約更新ができないため、建設費用が無駄になってしまう恐れもあります。

そのため、借地上の建物を建て替えたい場合は、借地契約書を見直して地主と話し合い交渉するように心がけてください。

ABOUT ME
フドシル専属監修者 東
フドシル専属監修者 東
株式会社TonTon 不動産管理課 マネージャー。 2017年、不動産管理事業の立ち上げから1年半で650戸を新規受託。 リーシング、入居者対応、トラブル対応、リフォーム、保険対応、キャッシュフロー見直しなどあらゆる業務をこなす。 自身も不動産オーナーとして日々奮闘中。 2018年、賃貸不動産経営管理士試験合格。
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