入居者トラブル・退去・家賃滞納

賃貸滞納の督促には内容証明郵便が有効|家賃滞納者への督促効果と文書作成方法

賃貸滞納の督促には内容証明郵便が有効|家賃滞納者への督促効果と文書作成方法

アパートやマンションなどの賃貸経営を行っている大家さんにとって、
悩みの種である「家賃滞納」。

家賃を滞納されている間は、
不動産投資の賃料収入が減少してしまうため、
早急な対策が必要です。

しかし実際に入居者へ家賃督促をする事態となった場合、
その対応方法については詳しくご存知ない方も多いのではないでしょうか。

そこで今回は督促をする際に利用すべき「内容証明郵便」について、
そのメリットや注意点をご紹介します。

また、内容証明を利用する場合やそのメリット、
督促などの効果がなかった場合の対処法についても詳しくまとめているため、
賃貸滞納にお悩みの大家さんは必見です。

※督促状のテンプレートはこちらの記事からダウンロードできます

家賃滞納者への督促状作成と禁止行為|法的手段を取る前にするべきこと
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督促をする際の内容証明の書き方と出し方

督促をする際の内容証明の書き方と出し方督促をする際の内容証明の書き方と出し方

内容証明は、取り扱い方や書き方記載すべき内容が決められています

内容証明郵便をきちんと提出するためには、
決められたルールを確認しておきましょう。

ここからは、
大家さんが家賃滞納者に送付する内容証明の書き方と出し方について、
詳しく解説します。

内容証明の取り扱い・書式条件

内容証明は、相手に送付する「内容文書」を1通
差出人と郵便局がそれぞれ保管する「謄本」2通の作成が必要です。

また送付できる文書は1通のみで、
他の図面や返信用封筒などは同封できません。

①内容証明の書式条件

謄本を作成するときは、以下の書式に則って作成する必要があります。

書き方1行あたりの字数1枚あたりの行数
縦書き20字以内20字以内
横書き20字以内26行以内
26字以内20行以内
13字以内40行以内

内容証明に使用できる文字は、
仮名・漢字・数字・英字(固有名詞のみ)・括弧・句読点・その他一般的に記号として使用されるもののみです。

謄本の余白には、
差出人と受取人の住所や氏名の記載が必要ですが、
内容文書に同一のものが記載されているときは、省略可能です。

また、謄本の枚数が2枚以上にわたる際は、
そのつづり目に契印を押す必要があります

②内容証明の用紙のサイズ

内容証明に用いる用紙のサイズに特に指定はありませんが、
A4で作成される場合が多いです。

また用紙のサイズは、内容文書と謄本の全てを統一しましょう。

③内容を訂正する場合

謄本に書かれている文字や記号などの訂正や修正・削除を行う際は、
その字数と該当箇所を欄外または末尾の余白に記載した上で、
差出人の押印も必要です。

そのため内容証明を発送する際は、
念の為に印鑑を持参しておきましょう。

大家さんが督促の際に内容証明に記載すべき内容

内容証明で家賃滞納者へ支払い督促をする場合は、
次の事項を記載するようにしましょう。

①賃貸借契約の内容

賃貸借契約を結んでいる建物の住所と部屋番号・契約日・月額賃料など

②家賃の督促

滞納者が家賃を滞納している期間に加え、滞納している家賃と遅延損害を含んだ支払い総額

③支払い先の口座情報

支払い先の銀行と支店名・預金の種類・口座番号・名義人の名前

④支払期日

督促した金額を支払ってもらう期日

⑤契約解除の示唆

期日までに支払いできない場合、記載した契約を解除する旨

⑥法的措置の示唆(最後通告)

督促に従わなかった場合、法的な措置も検討している旨

これらの内容を盛り込むことで、
早急に家賃を支払ってもらいたいという大家さんの
強い意志を正しく伝えることができます。

内容証明郵便送付にかかる費用と出し方

内容証明は、必ず一般書留郵便での送付が必要で、
普通郵便や簡易書留での送付はできません。

また、相手が受け取ったかどうかを確認するため「配達証明」で送付する必要があります。

そのため、内容証明を送付する際は、
最低でも以下の料金が必要となります。

種類料金
一般書留料金430円
郵便料金82円
内容証明の加算料金430円
(2枚以上の場合は1枚追加ごとに260円)
配達証明料310円

内容証明は郵便局の中でも、
地方郵政局長が指定した集配郵便局のみで出すことができます。

送付前に中身を確認されるため、封筒の封はしないようにしましょう。

※督促状のテンプレートはこちらの記事からダウンロードできます

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内容証明で督促をしても家賃の支払いがない場合の対処法

内容証明で督促をしても家賃の支払いがない場合の対処法内容証明で督促をしても家賃の支払いがない場合の対処法

大家さんが家賃滞納者に対して内容証明を送付しても特に反応がなく、
家賃の滞納が続いた場合には、次の対策を行う必要があります。

ただ、いくら内容証明の効果がないからといって、
すぐに強制的に滞納者を退去させることはできません。

そのため、内容証明を送付しても家賃の支払いがない場合は、
連帯保証人に連絡し、最終的には弁護士に相談して法的手続きに移る必要があります。

借主に内容証明の受け取りを拒否された場合

内容証明を送る際には、「特定記録郵便」も併用すると良いでしょう。

特定記録郵便は、ポストに投函された時点で、
相手が受け取ったと法的にみなされるため効果的です。

内容証明の受け取りを拒否された場合は、
裁判の証拠用として拒否された文書を保管しておきましょう。

このとき内容証明の中身と封筒の両方を保管しておくことがポイントです。

そして、連帯保証人にも督促状を内容証明にて送付しましょう。

内容は、滞納額や法的な手続きも検討していることを記載します。

内容証明を連帯保証人にも送付すると、
連帯保証人から滞納者へと連絡が行き、
家賃の支払いにつながる可能性があります。

送った内容証明は、すべて差出郵便局で保管され、
いつでも謄本を閲覧することができます。

ただし、保管期間は5年で、謄本の閲覧には430円の料金が発生するため注意しましょう。

家賃の滞納が続く・借主の応答がない場合

内容証明や特定記録郵便の送付、
連帯保証人へ連絡をしても効果がない場合は、
民事訴訟・少額訴訟・支払督促・民事調停などの法的措置をとりましょう。

滞納家賃を回収するのみであれば、
少額訴訟や支払督促などの手続きが簡単かつ費用がかからない方法で事足ります。

しかし、家賃滞納の回収だけでなく、
滞納者の立ち退きも希望する場合は、
民事訴訟や場合によっては強制執行手続きが必要です。

強制執行が裁判所に認められると、
滞納者を強制退去をさせることができ、
かつ賃料を回収するための差し押さえも可能です。

また民事調停を利用すると、
裁判所が選定した調停委員が間に入り、
当事者の話し合いで解決できます。

入居者がいるにもかかわらず、家賃が滞納されれば家賃収入が得られません。

空室を埋めるだけで家賃収入を得られる見込みのある空室問題よりも、
厄介な問題となることも考えられます。

全ての大家さんに必ず起こるとは言えない問題であるからこそ、
きちんと知識を得ていない大家さんも少なくありません

長く安定した賃貸経営を続けていくために、
家賃を滞納されたときにはどのような対処をとると良いのかを事前に必ず知っておく必要があります。

「内容証明郵便」とは?

「内容証明郵便」とは?「内容証明郵便」とは?

内容証明郵便とは、
「いつ」「誰が」「誰に」「どのような内容の手紙を送付したか」
を証明してくれる郵便のことです。

賃貸経営を行う中で、
家賃を滞納する入居者が発生してしまうことも珍しいケースではありません。

家賃の支払いを口頭で催促後、
すぐに支払ってくれるのであれば問題はないものの、
なかなか家賃を支払ってくれない入居者もいるかもしれません。

その場合は、大家さんが家賃滞納者に対して「内容証明郵便」を送付する必要があります。

内容証明郵便は訴訟手続きとして行う一つの手段である
と勘違いしている大家さんも多いですが、実はそうではありません

ここからは、内容証明郵便とは具体的にどのようなケースに送付するのか、
また送付するメリットは何なのかということについて詳しく解説します。

大家さんが内容証明郵便を利用すべきケースについて

大家さんが内容証明郵便を利用すべきケースは主に、
「家賃滞納者に賃料の支払いの催促や退去の連絡を電話や文書などで伝えても、相手がなかなか応じない場合」が挙げられます。

その他は、騒音問題や迷惑行為、
違法行為など家賃滞納以外でもさまざまな
トラブルの発生時の連絡手段として活用できます。

しかし、家賃の支払いがない旨を電話などで伝えた際に、
借主に支払う姿勢や誠意が見られたときや、
滞納者との信頼関係を良好に保ちたいときなどは、
内容証明郵便を出さない方が良い場合もあるため、
状況を見極めて送付する必要があります。

家賃滞納が発生した場合の対処法は?対応の流れから滞納リスクを防ぐ方法まで
家賃滞納者への大家さんの対処法は?対応の流れから滞納リスクを防ぐ対策まで家賃滞納問題は、賃貸物件のオーナーにとって大きなリスクのひとつです。今回は、家賃を滞納された時の適切な対応方法と、家賃の未払いを事前に防ぎ、安定した賃貸経営のために、大家さんが予め身につけておきたい知識をご紹介します。...

大家さんが内容証明郵便を利用する4つのメリット

大家さんが家賃滞納者に内容証明郵便を送付するメリットは以下の4つです。

①文書を送ったことの公的な証明となる

内容証明郵便は「内容証明制度」という郵便法と約款に基づいて運営されています。

そして内容証明を発送すると、送り主と郵便局それぞれの保管用として、
計2通の謄本が作成され、送付したことが公的に証明されます。

②裁判時に証拠となる

もし裁判で滞納者から
「そのような書面を貰った覚えはない」と言い逃れをされてしまっても、
内容証明を利用していれば、
相手に通知していたことが公的に証明されます。

③心理的圧迫を与えて賃料支払いにつなげる

郵便局長の証明印が押されており、
かつ格式ばった公的な文書である内容証明は、
裁判の前段階で利用されることが多いです。

電話や普通郵便よりも大家さんの強い意思を伝える効果があるため、
受け取った滞納者は心理的圧迫を感じ、
賃料の支払いに応じる可能性が高まります。

④時効が中断される

家賃滞納の時効は民法で5年間と定められており、
これを過ぎると家賃を回収できなくなる可能性があります。

そこで「家賃を支払わなかった場合、賃貸契約を解除する」旨が
書かれた督促状を内容証明で送付すると、
時効を6ヶ月間延長することができます。

この6ヶ月の間に裁判を起こすなどの行動を起こす必要があるため、注意しましょう。

まとめ

「家賃滞納」が発生した際に借主が支払いに応じなかった場合は、
公的な証明能力のある内容証明や、
法的措置を駆使して解決に導く必要があります。

家賃滞納者が出たからといって、
すぐに法的な措置を取るのではなく、
順序よく対応していくことが大切です。

また、近年では入居者に連帯保証人を立ててもらったり、
家賃保証会社に加入している大家さんも多いため、
たとえ入居者が家賃を滞納したとしてもリスクは少ないでしょう。

しかし連帯保証契約を結ぶのみで、
家賃保証会社に加入していない場合は、
家賃を滞納している入居者だけでなく、
連帯保証人にも内容証明を出すようにしましょう。

家賃の回収は賃貸経営を行う上で重要な業務の1つです。

ここまでの内容を参考に、
もし家賃滞納者が出てしまった場合の対処法をあらかじめ決めておき、
業務フローをまとめておくと、スムーズに解決できるでしょう。

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家賃滞納者への督促状作成と禁止行為|法的手段を取る前にするべきこと
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フドシル専属監修者 東
賃貸不動産経営管理士。 2017年、不動産管理事業の立ち上げから1200戸を新規受託。 リーシング、入居者対応、トラブル対応、リフォーム、保険対応、キャッシュフロー見直しなどあらゆる業務をこなす。 自身も不動産オーナーとして日々奮闘中。 株式会社TonTon執行役員。
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