建物の取り壊しや経済的な理由から、
オーナーが賃貸経営を続けられなった場合は、
入居者に立ち退きをお願いしなければなりません。
しかし、引っ越しには時間も手間もかかるため、
立ち退き交渉に応じてくれない入居者も存在します。
そのため、立ち退きをお願いする場合は、
入居者の引っ越しや新居への入居の負担が減るよう「立ち退き料」の支払いが
必要になることを知っているオーナーも多いでしょう。
しかし、支払いの条件や金額で、入居者とトラブルになる場合もあります。
立ち退きをお願いする理由により、
立ち退き料を支払うべきか否かとその金額が決まるため、
入居者とトラブルにならないよう
正しく立ち退き交渉を行わなければならないのです。
今回は、立ち退き料を支払うべき状況や立ち退き料の相場から、
立ち退き交渉のトラブルを回避するためのポイントまで解説します。
入居者に穏便に退去してもらうために、
正しい立ち退きに関する知識を備えておきましょう。
目次
入居者の立ち退きにかかる費用「立ち退き料」とは?

入居者に退去をお願いする際に、立ち退き料を支払うケースが多く見受けられます。
一時金としてお金を支払うことが多くなりますが、
中には代替物件などお金以外の形で立ち退き料を支払う方法もあります。
立ち退きに関しては、オーナーは入居者に対して、
賃貸契約の更新を1~半年以内に通知しなければなりません。
これは、借地借家法第26条にも明記されています。
しかし、立ち退き料に関しては法的用語でなく、
法的には「財産上の給付」と言います。
立ち退き料は絶対に支払わなくてはならない費用というわけでもありません。
大切なことは、賃貸人が「なぜ入居者に退去してもらいたいのか」という理由です。
この理由が正当事由として認められるか否かで、
貸借人に支払う立ち退き料の費用が変わります。
立ち退き料が絶対的なものではないとお伝えしましたが、
立ち退き料を払うことで正当事由が認められ、
借地契約を更新しなくてすむよう有利に働きます。
このように立ち退き料とは、「正当事由を補完するために支払う費用」です。
正当事由によっては立ち退き料を大きく抑えられるため、
立ち退き料と正当事由の関係性についてしっかり知っておきましょう。
立ち退きに必要な「正当事由」と「立ち退き料」の関係性
正当事由とは、
「貸主が更新の拒否・解約を申し入れる時に必要となる理由」のことを言います。
立ち退き料を考える際に、
この正当事由と比較するのが「入居者側の不都合」です。
この正当事由の定義や要件は、
借地借家法第28条に明記されています。
オーナーが所有している物件とは言え、
そこに住んでいる方がいる限りは勝手に手放したり、
立て替えたりすることはできません。
入居者は退去するにあたり、
引越し費用や新たに賃貸借契約を結ぶための敷金・礼金など、
費用が必要となります。
入居者側の不都合と借主側の正当事由を比較し、
正当事由を補強する、もしくは足りない分を補償するために、
立ち退き料の額を判断していきます。
代表的な正当事由として挙げられるのは以下の理由です。
- 老朽化による建て替え
- オーナー自身が居住用として使用する
- 物件を所有し続けることが不可能な問題が発生した
単に老朽化による建て替えというのであれば、
正当事由としては弱くなります。
しかし、古い建物は一定の耐震基準をクリアしていない可能性があるため、
基準に沿った建て替えを行政から迫られている場合は多少の立ち退き料を支払って、
退去を求める理由として認められます。
さらに、経済上の理由でオーナーが物件を運営していくことが困難な場合も、
正当事由に該当します。
退去をお願いする理由が
正当事由かどうかは立ち退き料の費用を決める上で重要項目と言えるため、
しっかり把握しておきましょう。
オーナー都合で行う立ち退き料の費用相場

立ち退き料の費用は、どのような理由から退去してもらうのかにより大きく異なります。
そのため、明確な立ち退き料に相場は存在しません。
一般的には家賃6ヵ月分と言われていますが、
それ以上支払わなくてはならなかったケースも、
それ以下だったケースも存在します。
また家賃を数ヶ月滞納したことなどによる立ち退きは入居者都合であるため、
一切支払わなくても問題ありません。
一方で、建て替えなどの理由はオーナー都合と言えます。
入居者都合とは違い、
オーナーの都合から立ち退きを交渉する場合、
立ち退き料は高額になる傾向にあります。
物件の老朽化が進んでいるケースが良い例です。
古いアパートを建て替えればより高い収益を生み出せることから、
入居者に退去を交渉する場合は「オーナー都合」とみなされます。
ただし、耐震性の問題や災害による被害で、
大規模な修繕が必要となる場合や、
既に行政からの勧告を受けている際はオーナー都合ではありません。
また、立ち退き交渉は契約満了から最低でも6ヵ月前が原則となっています。
スムーズに交渉を進めるためにも、
金額のみならず、期間にも注意しましょう。
立ち退き料を巡り入居者とトラブルを起こさないためには

立ち退き料の費用は相場は明確ではないため、
立ち退き料を巡って入居者とトラブルになる可能性が上がります。
退去して欲しい貸主側と住み続けたい借主側の意見が合わないケースが多く、
低額の立ち退き料では納得してもらえず、
裁判に発展するケースも実際にありました。
ここからは、なるべくトラブルを起こさないためのポイントを詳しく解説します。
立ち退き料の上限をそれぞれ決めておく
オーナー都合による立ち退きの場合、
入居者が立ち退き料をいくらでも請求できてしまうのではないか、
と不安に感じる方も多いでしょう。
立ち退き料は基本的に新居の家賃6ヵ月分の支払いが一般的とされていますが、
入居者が請求する立ち退き料は、
法外な金額を支払う必要はありません。
しかし、
入居者が希望する転居先が自身の物件よりも
はるかに家賃の高い物件だった場合もあるでしょう。
このような場合を想定した対処法として、
「家賃6ヵ月分・敷金礼金込みでで○万円まで」など立ち退き料の上限を予め定めておく方法があります。
上限の金額を予め伝えておけば、
法外な金額を請求されるなどのトラブルは起きにくくなるでしょう。
お互いに気持ち良くやり取りするためにも、
話し合う時間を惜しまず、
理解を得る努力をすることが大切です。
立ち退き料を支払う期限を設ける
立ち退き料を支払う場合は、支払い期限を設けることも大切です。
立ち退きの通知は契約満了から最低6ヵ月前ですが、
立ち退き料の支払いも期限を6ヵ月にする必要はありません。
6ヵ月の猶予をあらかじめ通達していたにも関わらず、
期限ギリギリに立ち退き料の交渉をしてくる入居者なども考えられます。
急を要する事態に発展してしまうと、
正確な立ち退き料を冷静に考えられず、
必要以上に金額を支払わなくてはならない場合もあります。
このようなトラブルを回避するためにも、
入居者には予め「3ヵ月以内に退去してもらえた場合、立ち退き料を支払います」などと通達しましょう。
立ち退き料を支払う期限を設けることにより、
期限までに退去してもらえないなどといった事態を防ぐことができます。
余裕を持って退去してもらえるよう、
3~4ヵ月程度を目安に立ち退き料の支払い期限を設けておきましょう。
実際に立ち退き料を支払う場合は、
設定条件をオーナーと入居者双方が同意した場合を除き、
賃貸契約では同時履行の抗弁権を行使することができるため、
立ち退き料の支払いと明け渡しを同時に行うのが一般的です。
スムーズに立ち退き交渉できるか不安な場合は「弁護士への依頼」も視野に

どのような都合での立ち退きであろうと、
これまで住んでくれていた入居者に対して「出ていってほしい」と交渉することは、
あまり気が進まない方も多いでしょう。
日頃から入居者とコミュニケーションを取っている大家であっても、
立ち退き交渉は気が引けるものです。
スムーズに立ち退き交渉できるか不安な場合は、
弁護士への依頼を検討しましょう。
専門家が対応することで、
入居者とのトラブルも発生しにくく、
例えトラブルが発生してしまった場合でも安心です。
代行報酬など追加で費用が必要となりますが、
スムーズな退去や和解の手続きを進められることは、
オーナーにとって大きなメリットと言えます。
立ち退き交渉の必要性が生じた際は、
弁護士へ相談し回答を求めてみましょう。
まとめ
入居者とのトラブルは、今後の賃貸経営にも大きく関わる問題です。
そのため、「立ち退き料」でトラブルが起こりやすい立ち退き交渉の際は、オーナーがきちんと知識を身につけた上で、真摯に対応する必要があります。
入居者に立ち退いてもらう目的は人によりさまざまですが、スムーズに退去してもらえるよう、ここまでご紹介した内容を参考に、誠意を持って交渉を進めてみましょう。

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